2006年02月15日(水)...5年前
黄色と青の縞模様のソファー。トイレに立った背中を見送って、開けられた扉が僅かに冷気を引き込みながら閉じるのを眺めていた。扉を透かして非常階段と消火器が見える。
ふたりきりに残されたことに、由の無い罪悪感が湧き上がって、暗くした照明と其れ以上の思考を遮る様にメロンソーダを引き寄せた。ストローを伝う炭酸がぴりぴりして、心を落ち着かせる。黄緑色になぞられてゆくテロップと、しゃかしゃかと音を立てるインストゥルメンタルだけが世界を動かしていた。
緊張を帯びた空気は、徐々に自己と他者の区分を酷く曖昧にして、生命の上に成り立つ総ての努力を無に還し始める。如何でもいい、如何にでも為れ、は沸々と肥大してぐるぐると思考を縛った。二者択一の先にあるぎらぎらとした黒い輝きから眼が逸らせない。