2006年04月17日(月)...助手席

 緑色が眼に付くと思った。茶色く立ち枯れた草までもが陽射しに照らされて、エネルギーを放出しているかの様な錯覚に陥る。
 対抗車線を走る車の、ボンネットがきらきらして、ゆっくりと眼を閉ざした。少しだけ開けた窓の隙間から風が飛込んで髪を乱す。瞼に光の筋が幾本も流れて、追い掛けてゆくと世界を抜け出せる気がした。
 光の逃げる速度がゆるゆると落ちて、料金所に近付いたのが解る。見上げた標識の、双葉の文字に少しだけ心臓が痛んだ。

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