2006年04月18日(火)...樹海

 注意書きの文字は入り口に白くのっぺりと浮かんでいて、新緑の中でただ、死んでいる。此処は海中から太陽を見る様な、美しい絶望に覆われている気がした。あの日の、後のない希望はもう何処にも無くて、今は躍動感と歓びで満たされている。何時の間にか、冒険と果ての違いを理解していた。

 ほんのりとした明るさの中で拡散してゆくヘッドライトが、懐かしい優しさを持って列を成している。オレンジの光が徐々にその色を強めてゆく様を相槌を付きながらぼんやりと眼で追っているだけで結局、助けて、のひと言が云えずにいた。

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