会社で後輩に見せてもらった 『いるの いないの』 という「怪談えほん」。 京極夏彦作/町田尚子絵。
3歳の息子さんに読み聞かせをして、 最後のページをめくったら ふたりで「きゃ〜!!」と叫んで盛り上がるんだとか。 小さくてまだあんまり怖さがわかっていないのか、 意外と平気らしい。
私も見せてもらったけど、 怖いというよりも・・・ 古い日本の民家とか裏山の鳥居とか、 子どもの頃夏休みに泊まりに行った 田舎のおばあちゃんの家を思い出して なんだか懐かしくて・・・ Amazonで買ってしまった。
主人公の男の子は、 リュックとショルダーバッグを持って バス停からひとり、うつむき加減に歩いている。 「おばあさんのいえでくらすことになった」。 古い田舎の家の玄関で つつじ色の割烹着を着たおばあさんが出迎える。
居間に座って見上げると、 上のほうは暗くて、太い梁がある。 男の子はずっとその暗闇が気になって 何度も見上げていたら、 ある日、見てしまった。
おばあちゃんは 「みたのかい じゃあいるんだね」 「うえをみなければこわくないよ」 「なにもしないよ。だってあんなにたかいしね みなければ いないのと おんなじだ」と 言ってくれるけど・・・。
見てしまった怖さよりも 私が気になったのは・・・
男の子がひとりでおばあさんの家に来たこと。 彼が寝る部屋には勉強机とランドセルと 荷物の入った段ボール箱も置いてあって、 ただ遊びに来たんじゃないことがわかる。
最初は「おばあさん」と呼んでいた男の子が 途中から「おばあちゃん」と呼んでいること。 おばあちゃんに心を許したからかな。 おばあちゃんしか頼れる人がいないからかな。
でも、おばあちゃんの顔は描かれていない。 それが、男の子とおばあちゃんの距離感を 表している気がした。 親の親だから自分のことを大事に思ってくれているのは 何となく感じるけど、親とは違う大人。
おばあちゃんの穏やかな物腰には 物事に動じない落ち着きと懐の深さを感じる。 小さな孫を静かに優しく見守る姿が とても素敵に見える。
という方向に気持ちが向いてしまった私には、 ラストシーンもあんまり怖くなくて。 「もしかして、 男の子が見てしまったのは おじいちゃん?」 と思ってしまった。
お話が終わった次のページ。 薄暗い家の中のあちこちで 好き勝手に座ったり寝たりしていた たくさんの猫たちが勢揃いしていた。 数えてみたら、 13匹・・・。
不吉・・・ と思ったけど、 よく見ると、 その中に男の子が持って来た 犬(?)のぬいぐるみが混ざっていた。 だから全部で14匹。 ってことは、 不吉じゃないってことだよね?
もっとじっくり見たら、 ほかにもいろいろ暗示的なものが描かれているかも・・・ と思うけど、 やっぱりちょっと怖いので あんまりじっくり見ていません・・・。
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