2014年11月03日(月) |
税金を何だと思っているのか。 |
少し前から気になっていた ふるさと納税。
始まった当初は、 「自分が生まれ育った故郷のために少しでも役に立てば」という 純粋な郷土愛で成り立っているものだと思っていた。 私の場合、「今住んでいる地域≒郷土」なので、 わざわざふるさと納税(ふるさとに寄付)するまでもないなあと思っていた。
でも実際は、 応援したい自治体があれば 自分とは縁やゆかりがなくても 納税(寄付)できるんでしょ。
しかし。 そもそも、「納税≠寄付」じゃない。
何か月か前、 ふるさと納税のことをテレビで取り上げていて、 そのとき街頭でインタビューを受けたおばさんが 「自分の住んでいる市に税金払っても感謝されないけど、 ふるさと納税すると、おいしいものがいただけたり 『ありがとうございます』ってお礼を言ってもらえたりするから 嬉しい。払い甲斐があります」 みたいなことを話していた。
愕然とした。 税金払って、なんでお礼言われなくちゃならないの。 税金を何だと思ってるの。 自分のために払ってるものなのに。 国民の義務なのに。 道路も街灯も水道も市民会館も図書館も駅前広場も 学校も市民病院もゴミ収集もあれもこれも、 そこに住む人たちが税金を納めているからこそ きちんと機能しているものなのに。 払い甲斐がないと思うなら、 税金がちゃんと使われているかチェックするとか そっちに目を向ければいいのに。
ふるさと納税(ふるさとに寄付)すると・・・ 例えば、 4万円寄付すると3万8千円の税金が控除されることも。 そして寄付された自治体から 特産品などをお礼として受け取れる楽しみがある。 テレビでは、 「実質たった2000円の負担で こんなに高級なステーキ肉がもらえた」 みたいなことをやっていたと思う。 ・・・これってつまりは株主優待制度と同じ??
このしくみだと、 自分の住んでいる自治体に満額の税金を納めている人と よそに寄付した分、少ない税金しか払っていない人が 同じ住民サービスを受けられるということになる。
おいしい肉や果物が食べたいのは多分誰でも同じ。 安心して暮らすために住民サービスを受けたいのもみんな同じ。 なんか、不公平じゃない?
「悔しかったら、あなたもふるさと納税すれば?」 と言われて、 たくさんの人がよその自治体に寄付しまくったら・・・ 地元の道路はでこぼこ、水道水が臭う、 火事でも消防車が来ない、小学校の校舎はぼろぼろ、 市民会館が地震で倒壊したけど改築できない・・・ なんてことがなきにしもあらず。 という状態に実際なる恐れが出てきているらしい。
それと。 ウリになる特産品がある自治体と ない自治体の間に格差ができてしまう。 ウリがあってもなくても どこに住んでいても 国民が等しく住民サービスを受けられるようにするのが 国の仕事なのに。 わざわざ地域間格差を助長してどうするの。
実際、ふるさと納税のあおりで 都会(というと大雑把だけど)の自治体に支払われる 住民税が減る懸念が出てきているらしい。 自治体どうしで税金の奪い合い? もうわけわからん。 こんなんでいいのか日本?
そういえばこの制度、 第一次安倍政権のときに作られたのよね。 まったく。 どこまでエコノミックアニマルなんだろ、この人。
義務は義務なんだから。 まず、収入に応じてきちんと税金払いましょうよ。 その上で、どうしても応援したい自治体があるなら 匿名で寄付すればいいんじゃない? そもそも寄付って、 見返りを期待するものじゃないんだから。
|