☆空想代理日記☆
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昨日は、今年にはいってから1番慌ただしい1日だった。全力で左の道をうさぎ跳びをしながら右折しようとしていた感じだった。
朝から大雨で、近所にある犬をも黙らすサイレンがずっと鳴り響いていた。また、サイレンの音によって、たくさんの老人たちが倒れたのだろうと思う。
それから湿度も異常だった。陸上で溺れてしまうくらいだった。病院へ行かなければならなかったのであるが、湿気で服が躰に貼りついてしまい体格のいいスパイダーマンのようになった。
肩と腰と膝に爆弾をもっている不逞者、湿気の影響で歩いている途中で爆発しないか注意しての通院になった。
膝が普段より78倍も調子が悪かったので、独りでお馬さんごっこをしているように視えただろう。つまり、ニンジンを葉巻のように口にくわえていたということである。当然、嘘である。
それと肩が痛かったので、横断歩道では手を挙げられずに渡った。娘をもつ親として失格である。
病院に到着した頃には汗にまみれており、歩くたびに廊下がびちょびちょになってしまった。
昨日は、太陽を視ながら「キャキャキャハハプネンペ」というふうに笑えるくらいの快晴だった。
不逞者の近頃の食事は動物の肉を焼き肉のタレで味付けしたものばかりが中心だった。マードレがいないので、そのようにしか栄養分は吸収できないのであった。
そのせいか、太陽にあたると香ばしいにおいがするような気がした。野生化しているようである。
といっても、飴玉を最後まで舐めて喰べたいほどの小心者なので、犬などに追いかけまわされそうなのではないかとひやひやした。ひやひやしたついでに汗をかいた。やはり、動物くさいような気がしたのだった。
ただ、せっかくのいい天気なので、外出したい気持ちは8000%くらいはあった。
近所にある、最近店名がかわってしまった大型書店へ行った。新装開店なので、以前とどこが違っているかの調査でもあった。
店内はまったくといっていいほど変化はなかった。しかし、以前に比べて男子便所がくさかった。猛烈だった。自動ドアを抜けたらすぐに鼻をつままなければならなかった。
昨日は曇っていて、久しぶりに過ごしやすいと思った。が、やることがなくて右手の親指をずっとくわえていたのだった。
そのうち親指が甘くなって、ココナッツの味がしたらどうしようかと思った。誰にも言えないし、言ってしまったらおでこにそっと手をあてられるだろうことはたやすく想像がついた。
それでもやめられないでいた。町内を親指をくわえたまま散歩しようかと考えた。
おそらく小学生たちに指をさされて、「口から親指が生えてらあ」とかそれらしいことを叫ばれそうだ。
親指の皮が柔らかくなっていくのが感触でわかった。たぶん、白っぽくなっていて、アメリカ人の指のようになってしまっているのである。
自宅のチャイムが鳴った。どうやら来客のようだった。しかし、親指はくわえたままである。
このまま対応して、上目づかいで会話しようか悩んだすえに、タバコを持ってごまかした。意外と小心者だとわかった。
来客は生命保険勧誘員だった。しまったと思った。最初の作戦通りに対応していれば、無駄な説明は聞かずにすんだ。
今日の一言 先日の友人から、また謎めいたメールが届いた。 『2人でブリキ屋』 一体、なんの嫌がらせでしょうか。
昨日はいい天気だった。太陽熱であぶられ、骨まで黒くなってしまい、死体で発見されたら『黒骨死体』とかなんとかいう新しい呼ばれ方をされそうだった。
当然のごとく汗をだらだらと流しながらたこ焼きを求める旅に出たのだった。
一緒に旅をしてくれそうな友人をあたってみたものの、汗を5万リットルもかいてそうな不逞者とは行動ができないそうだった。
不逞者の申し出を断った彼は、近いうちに信じられないくらい酸っぱい梅干しを喰べて後悔することになるだろうと思う。
不逞者、ひとりでも立派にたこ焼きを買いに行くのである。
不逞者、青のりをまんべんなく前歯につけて独り遊びを極めるのである。
近所で評判の、あまり美味しくないたこ焼き屋さんは休業していた。店の前で灯油を頭からかぶって叫ぼうかと思った。ただ、休業しているのかつぶれてしまったのかわからないのが不安だった。
今日の一言 ベッドのことを「ベット」と言っている人を視ると、注意しようか悩む。
昨日は、不逞者日記制作委員会のコンピューター担当である、一身上の都合で自然が満載のところに引っ越したキー坊君の家へいやがらせに行った。
彼は相変わらずパソコンの前で、二日酔いのアンジェラ・アキのような感じで肩を上下に激しく震わせていた。
高速で打ち込まれている文字を視て不逞者はアゴが下にのびてしまった。
『金、金、金。すなわち金。もしくは金。金に土下座。金をお喰べ。はっけよおい、金』などと、金銭に関する文字を狂ったように打ち込んでいたのだった。
どうしてそんなにお金に執着するのかを訊いてみたところ、
「葉っぱで買い物はできないからだぜ」
と、親指をたてて歯こぼれするような笑顔で主張してきた。
そんなことはどうでもよくて、制作に関する質問をした。キー坊君は間髪おかずに、
「中国産のカラスを肩に乗せている男って、しぶいよなあ……」
と言い、不逞者は絶句するよりほかはなかった。
結局、最初から最後まで会話が噛み合わないままであった。
今日の一言 友人から謎のメールが届きました。 『42.195グラムの妖精があらわれた。』 何かの暗号でしょうか。
昨日も雨だった。雨といえども格闘技の練習をせねばならないのである。たぶん。
格闘技の練習のためいろいろと準備した。カバンのなかにはトレーニングに使用する『かっぱえびせん』や『コカ・コーラ』を入れた。ふと、コカ・コーラの・を☆にかえて、コカ☆コーラにしたらどうかとも思った。
家から出ると、前が視えないくらいの雨だった。当然のごとく回れ右をした。しかし、右回転しただけで最初の位置まで戻った。
結局は格闘技の練習に行くことはなかった。湿度のおかげで肩と腰と膝の具合が良くなかったからでもあった。
雨の音を耳にしながら優越感にひたっていたのである。ただ、食材の調達をしてなかったので、カップラーメンだけで1日を過ごした。
不逞者、食生活がとても貧弱だった。
カップラーメンを喰べてチョコレートをかじるという、頭がどうかしてしまっているような食事を摂ったのだった。
今日の一言 弱い人間は自分を理解してもらえないことに苦しみ、強い人間を理解しない。
昨日は一昨日の雨やドライの影響で、お腹のあたりがちゃらんぽらんだった。
ちゃらんぽらんといってもわかりづらいだろうと思う。不逞者の体内で、運動不足の中年男性のこびとたちがたくさん走って転んで舌を噛んでジャンケンのあとだしで責められたりしていたのだった。
それでも食事だけは摂らなければならないのである。
ということでスーパーマーケットへ行った。
あまり行くことがなかったため、陳列されているすべてのものが珍しく感じた。
肉がならんでいるところでは夢中になった。新しいファミコンのカセットが飾られているガラスケースにへばりついていた少年時代のにがい思い出がよみがえった。
牛肉のところでは驚いてしまった。スーパーマーケットの肉は安いという固定観念が吹き飛んだのだった。
その勢いで後ろに跳んだら、おばさんが押していたカートにはねられてしまった。
「プギュアア」
みたいな悲鳴をあげてしまった。赤面したのを感じた。牛肉と間違われないかと不安になったのだった。
昨日の不逞者は困っていた。実に困っていた。
当然、朝からずっと降っていた雨にも困っていた。眉毛がボーゲンの型になるくらいでもあった。
不逞者は湿気に弱く、何もやる気が起きないのだった。食事の時は野良犬のようだったし、白い粉のなかから飴玉を探すゲームのようであった。
しかも目醒めが悪かったことをたった今思いだした。集団登校する小学生たちが声をそろえて、
「かあめぇはあめぇ、はあ?」
などとくだらないことを叫んでいる声に起こされた。
苦情を言おうと窓を開けたら、小学生たちは傘をくるくるして遊んでおり水飛沫が不逞者の顔面を貫いたのだった。
このままではノイローゼみたいな病気で死んでしまいそうだった。とりあえず部屋から湿気をなくすことに力をそそいだ。
ドライにしたが思ったより部屋が冷えてしまい、お腹が痛くなってしまった。
病院に行かねばならなかったのであるが、途中で大変なことになることは明らかである。
仕方なく病院のほうには親戚が死んでしまったと嘘を言った。今年にはいってから様々な理由で、親戚が12人も死んでいる。
昨日は、いろいろな生活雑貨がたくさん落ちている店に行った。
食器や文房具まで落ちている不思議なところだった。落ちているのに拾ってもっていこうとしたら店員さんに肩をつかまれ、「ちょっと」と声をかけられて引き留められるのだった。
どうやらすべての商品が100円で購入できる素晴らしいお店のようだった。
前々から大人になったら必ず手に入れたいものを発見した。誰かに奪われてしまったら、自転車に轢かれて死んでしまいたくなるくらいのショックを不逞者はうけることだろう。
さっそくそれを購入すべく行動にうつした。ペットボトルがたくさん詰め込まれており、丁寧に床に並べた。
あまりの手際の良さに店員さんは不逞者を視てうっとりしていることを想像するのはたやすい。
次に電気ケーブルを抜きとってくるくる巻いた。偶然もっていた輪ゴムで電気ケーブルをまとめることに成功した。
そしてそれをレジのところへ運ぼうとしたら、店員さんが唖然としていたのである。
どうやら、かの有名な100均でも、ジュースを冷やす冷蔵庫は高いようだった。
昨日はいろいろと大忙しだった。
06日記の製本計画が二転三転して半分、頓挫しかけていたのであるが、やはり製本しようということになった。
そこで新たに不逞者日記制作委員会をつくり、いちから企画を出すことになった。
表紙は最初の案のものを採用し、なかのイラストをA-2-C君に依頼することになった。
この友人は不逞者の頭髪を切っている『髪切り般若』としておなじみであるが、少々くわしく書いておく。
顔面の8割が、獄中出産された恵まれない子供の不幸を背負った感じでできており、残りの2割はしょっぱい肩の投手の悲しさである。
ただ、彼の描くイラストは好きである。
依頼しに交渉へ行ったところ、生まれて初めて女性に告白されたような笑顔で快諾してくれた。ひとつのソフトクリームを7人の男性で喰べるような気持ち悪さであった。
これであとは新しい企画を待つだけである。
それと、どうかA-2-C君はこの日記を読まないことを祈る。こんなことを書いているのがバレたら、不逞者は笑いすぎてお腹が破れてしまいそうになるからである。
今日の一言 いまさらながら『模倣犯』を読みました。感想は、本が重たかった。
いつだったかに入院したマードレが退院したと思ったら、またもや知らぬ間に再入院していた。自由を絵に描いたような人物なのであるが、ここまでいくとただの暴走だとしか考えられないのだった。
ということで最近は料理に目醒めつつある。したがって、いままでは眠ったまま料理をしていたことになる。さすがは不逞者である。あっぱれ。
水曜日の夕食後を賑わしている『バンビーノ』とかなんとかいう食事をつくるドラマに影響されて、不逞者もパスタをつくってみようと思った。
幼少の頃より「男子、厨房に入らず」を厳守しているので、内またでまばたきを多くしておけば安心であった。
慣れない作業だったので、ガスコンロが爆発しないかひやひやさせられた。顔面を守るものがなかったため、サンバイザーのツバの部分に沿って下敷きを接着させた。
お湯がはねて火傷してしまうかもしれないので、中学生時代に使っていた野球グローブを装着した。
これで安心かと思われたが、グローブでパスタはつかめないうえに前が視づらかった。
今日の一言 夜、口笛を吹いたら何がでる? と訊かれ、「音がでる」とこたえました。それからその友人とは音信不通です。
このところ野菜を摂取していなかったので、いろいろなところが不調を訴えていた。
運動不足も重なってか、もともと調子が悪くおじいちゃんのような関節だったが野菜を摂取してから超合金の肉体に変化したようだった。そして、8mくらいジャンプできそうだった。
ジョギングにしてもそうだった。少し走っただけで息切れをおこし世界の終わりのような表情を浮かべていた不逞者、野菜を摂取した瞬間から菩薩のように柔和な表情を浮かべられるようになった。それに浮かんでいるくらい軽やかに走っていけそうだった。
ジョギングが終わるといつもしている自転車磨きも、いつもはすぐにくたびれて中途半端にやめてしまうのだけれど、野菜を摂取した不逞者はひと味違った。ピカピカを通り越えてチカチカになるまで磨くことができそうだった。
ともかく不逞者は野菜が不足していて、それではいけないと野菜を摂取した昨日だった。
不逞者が住んでいるところから車で10分もかからない場所に中型のデパートがある。昨日はそこへ行ったということである。
そこの地下にはカラオケボックスとこじんまりしたゲームコーナーがあって、そしてレンタル店もあるのである。
また、カラオケボックスの一室には、妙なアイテムを使ってマッサージしてくれるとこがあり、無料体験までできるそうだった。やはねばならないのであった。
ただし地下にあるので、携帯電話の電波が届かない。さらに周りはカラオケに夢中なので、何かあっても誰も気づかないのだ。
怪しい組織だとも考えた。裸にされて両手足を縛られ、指で不逞者の背中に『冷やし中華は、冷やされ中華なのだった』とか書かれたりしないだろうかと思った。
こうとも思った。両手足は縛られ、組織の一員は薬品を染み込ませた白い布を不逞者の鼻にあてようとしたが、室内が狭すぎてみんな気絶してしまうかもしれない。
このような危険を予知する想像も無駄に終わった。なぜなら、無料体験は平日のみにだけおこなわれていて、日曜日は開店すらしていなかったのだった。
昨日は治りかけの風邪と闘うため、自然の力を借りた。ということで遊歩道へ行った。
遊歩道へ向かう途中、不思議な小学生が転がるように歩いていた。土曜日なのに通学姿だった。
桃色のランドセルをかつぎ、後ろ姿は三角形だった。つまり、手づかみでショートケーキを喰べて指まで噛んでしまいそうな女子生徒であった。また、後ろ姿だけから想像すると『二足歩行のアポロ』のようだった。
さらに想像を膨らますと、遠足のおやつに関する質問を先生にぶつける時は、「先生、トローチはおやつに入りますか?」などと言いそうな感じだった。
遊歩道の右側には小川が流れていると以前どこかに書いたことがあったが、山肌が露出しているところもある。
そこに例のアポロちゃんが歩いていたら、うっから刺さってしまわないかと心配になった。あくまでも大人として心配しているのであって、悪口ではないのだった。
久しぶりの快晴に不逞者はとても気分が良かった。友人宅に、限界まで振ったコカ・コーラを贈って、爽やかな演出をしようかと悩んだほどだった。
風邪の影響なのか、おたまじゃくしを必死で捕まえようとしたせいなのかわからないのであるが、首というか顎のあたりが痛かった。
顎のあたりにある爆心地を指でおしてみると、目蓋が通常の1.0倍は大きくなった。
しかし、爆心地を指でおさえる行為はやめられないでいた。瘡蓋が完全に乾燥しきっていないのにぺりぺりと眼をつぶりながら剥がす行為にそっくりである。
ということで昨日は、首のあたりに手をあてて過ごした。とても歩きづらかった。
外に出てみると案の定、焼き飯に入っているグリーンピースを残しそうな少年たちが接近してきた。
好奇心ダムから溢れている視線を不逞者にぶつけてきた。首をおさえながらそれをよけていると、少年たちはお腹を抱えて笑いだしたのだった。
不逞者はグリーンピース小僧に向かって「よし、相撲でもしようか」と誘ってみた。
「うっせえ、じじい。ドギャアッ」
と、パンチする素振りをみせてきたのだった。
首は痛いし、チョコレートを口のまわりにつけたままだし、少年には笑われるしで、散々な1日だった。
どうやら梅雨入りしたのか、地球が水浸しのようだった。
そんななか、丁寧にアキレス腱をのばして走る準備をととのえた。雨に濡れない練習をするためだった。
本来、この練習は、裸の状態にトイレットペーパーを巻きつけて行うものである。水溶性の紙が溶けないように、そしてはだけないように走る訓練にもちいられたようだった。そしてこれは、嘘である。
本当の外出の理由を白状すると、最近たて続けに増殖しているメガネ屋さんの偵察のためだった。
噂によると安くて、さらにサングラスにも度を入れてくれるとのことだったからだ。度を入れてくれるらしいのだが、顔面に対して90度だったら、大変である。
店内へ侵入すると、いつも右肩のブラジャーの紐がずり落ちてそうな女性が接客にやってきた。
「お好きなフレームはありましたか?」
と訊かれ、すかさず不逞者は、
「そんなことでは金メダルはおろか、選手宣誓で恥ずかしい思いをするぞ」
などと、おかしな空気をつくりあげたのだった。
ちなみに安いだけあって、ディスプレイされてあったメガネたちは、全部クズだった。
昨日は、風邪の症状から風邪気味くらいまで復活した。
復活した理由として考えられるのは、日頃は飲まない薬をのんだからだと考えられる。また、日頃はあまり睡眠をとらないのであるが睡眠を多めにとったことだとも考えられるのだった。
しかしなぜか、嗅覚と味覚がおかしなことになっていた。
このまま高級メロンの甘い香りをかげないかと思うと、枕をむちゃくちゃにしたくなるのだった。
舌の奥のほうに妙な違和感がある。ぴょんとつる感覚があって、それはストッキングを穿く時の締めくくりみたいな感じであった。
ただ、ストッキングを穿いたことがないので詳しいことはわからない。
頭痛はすっかりなくなった。おそらく、いつもより長い睡眠をとっている時に、ブラックジャックなんとか先生が治療してくれたのであろう。
これで日課である人類平和の盆踊りを不逞者は、堂々と盆踊ることが可能になったのだった。
人類を平和にしてあげるまえに、不逞者の嗅覚と味覚を元に戻してほしい。元の不逞者の嗅覚は警察犬よりも優れていて、舌は8枚舌なのである。
今日の一言 風邪で寝込んでいますが、友人からお題が届きました。たくましい男性を表す言葉とは? でした。 コシヒカリ。
昨日も引き続いて風邪のような風邪ではないような、やっぱり風邪のような症状であった。
立ちあがると眩暈がしてふらふらしてしまうので、貧血ごっこをしていた。校長先生がいれば完璧だと思った。
立ちあがれなかったのでトイレなどは大変だった。なめくじや尺取り虫のように這っていった。自衛隊に入隊してもやっていけると自信がもてた。
どうしても立ちあがらなければならなかったのが食事だった。お菓子などを主食にしようかと思ったが、そのお菓子がひとつもなかった。
ふらふらになりながらも、アーモンドの塩加減は地球で1番素晴らしいなどと考えていたのだった。
水分だけは必ず補給しなければならなかった。かの有名な『アラレちゃん』でもそうである。
お湯を沸かし、マグカップでスープをつくろうと注いだら、マグカップが真っ二つに割れてしまった。スープがだらだらとこぼれてしまった。慣れないことはしないでおこうと決意したのだった。
今日の一言 防水加工のものが水に濡れると、なぜかびびってしまう不逞者です。事実です。
昨日は、というより、昨日から風邪をひいたようだった。
頭がふらふらして海賊船の舳先にいるような感覚もあったし、鼻の奥がつんつんしていた。
体温を計ろうと体温計を探した。それだけで体温が上昇したような気がして、発見してもすぐに計れないのだった。忍耐力がついた。
口に体温計をくわえたほうが確実だと誰かに教えられたが、その誰かを思い出そうとするだけで頭痛の波が襲ってきた。しかし、海賊なのでへっちゃらである。
そして口にくわえようとしたら、なぜか下顎がにょきっと前に出てくる感じがした。独りで笑ってしまい、体温が計れないのだった。
そうして安静にしたままこんにちに至る。
毎日このように日記を書いているので、病気になった時くらいは書かないでおきたいと思った。だが、どうしても書いてしまうので、こんなどうでもいいようなことまでネタにしてしまうのだった。
少しは日記らしくしようと思う。昨夜は、エビピラフにカレーをかけた不思議なものを喰べた。さらに悪化した。
昨日は、優しいそよ風を肌に感じながら桜井亜美の小説を読みテーブルには冷めても美味しい紅茶があって清々しい日曜日の午後を満喫した、ということは一切なく液体人間のようにだらだらと過ごした。
といっても外出しなかったわけでなく、久しぶりにドラッグストアへ行った。
ドラッグストアのわりには薬があまり置いてなく、陳列棚は生活雑貨がたくさんあった。
ドラッグストアへ行った理由は、爪のさきが黒く汚れないような人間になれる薬をさがすためであった。
その、傘をどこからでも拝借してしまう癖を治す特効薬はなかった。
いくら探してもみつからないので店員さんに訊ねてみることにした。
「一週間前に喰べた夕飯を思い出せる薬はないですか?」
店員さんは手を口許にあて、笑いをこらえているようだった。そして、「そんな薬はないですねえ」と真面目にこたえてくれた。
それからしばらく散策していると、スプレーのお試しコーナーがあった。とりあえず全種類を撒き散らして遊んでみた。例の店員さんは、違う店員さんに内緒話をしていた。悪口に違いない。
よそ見しながら歩いていたら足を柱に強打してしまった。だが、不思議と小指は痛くなかった。と思ったら、小指がぽろっと取れてしまったという夢をみた昨日だった。
それにしても雨がすごかった。「ひゃっひゃっ」と半笑いで駆けている人がたくさんいた。
部屋を占拠している小説を片付けるため、ダンボールをいろいろなところにもらいに行こうと思っていたが、あいにくの雨で動けなかった。
雷もすごかった。ついつい録音したくなるくらいの音量だった。しかし録音しようにも外に機械を持ち出したら感電死してしまう危険性があった。やはり、動けなかった。
雷鳴にともなって、地響きもすごかった。お尻がくすぐったくなる程度であったが、なぜか心地良かった。
ただ、あれだけ固めて積んだ小説の山もゆらゆらしていた。まるで一歩でも動いたら爆発してしまう感じもあった。リーサル・ウェポン2のような、トイレのなかでなくてほっとした。
風がびゅうびゅう吹いて、不逞者の住んでいる家を崖下まで寄りきりそうだった。ということで、昨日は1ミリたりとも動けなかった。
昨日はものすごい雨だった。すごすぎてどういった説明をすれば良いのか不逞者はわからないので、ひとまず説明を放棄する。
それから昨日は恒例の病院の日であった。先週、行くのを忘れていたので気まずかった。
まるで初デートのような気恥ずかしさがあり、この場所にいてもいいのだろうかと頭のなかはふわふわとしていた。なぜか急に、宿題を忘れたまま登校した日を思いだした。
しかし、怒られることもなく、難なく診察は終了した。それが逆に怖いようでもあったが、不逞者はふてぶてしく診察室をあとにしたのだった。
帰宅しよう自動ドアを抜けたのであるが、雨がすごくて地面が真っ白に視えた。
不逞者を含めて玄関のひさしの下には8人も立っていた。誰ひとりとしてタクシーに乗ろうとしないところをみると、全員がケチなのであろう。
ひとりのおじさんが雨に関する不満をぶつぶつと唱えれば、それを皮切りにそれぞれが不満を言いだした。ぶつぶつ呪文サークルに勝手に参加させられてしまった不逞者、とにかく他人のふりをすることに尽力したのだった。
昨日は、真夏日のようでもあり梅雨の晴れ間でもあった。どちらでもいいが、とにかく暑かった。汗を2万リットルほどかいた。
そんなにも汗をかいた理由は、健康的な汗をかこうと散歩していたからだった。
しかし常に汗が流れていて、蛭子さんの漫画にでてくるキャラクターのように視えたのではないかと思う。
しばらく歩いていると、小学校の男子児童が女子生徒と下校しているのが眼に入った。サングラスの上からなので、2倍も痛かった。
その男子児童は女子生徒に向かって、
「アッメーリカ。バナアナッ。イエス」
と、頭がどうかしているようなことを言いながら車道に飛び出していたのだった。
小学生たちと不逞者の距離は少し離れているのに、右手を出して男子児童を止めようとしてしまった。空をつかんだ不逞者の右手はとても淋しかった。
とりあえず手首の運動みたいなことをして、指をぽきぽき鳴らしてごまかしたのだった。
よく考えてみたら、止めようとしたこともそしてごまかしたことも不逞者しか知らないことなのに、いったい何をしていたのだろうか。
頭がどうかしたに違いない。
昨日は、どこかの中心で恥を詫びるくらいの快い天気だった。そして友人の誕生日でもあった。
不逞者はいつも友人たちの誕生日になると、何のたしにもならないものをあげて、やっぱり迷惑な人だ、言われるようにつとめているのである。
今年は何をあげようか悩んだ。昨年は、古タイヤに生クリームをたくさん塗ったタイヤケーキをトラックで届けた。
その時の友人の表情は、えもいわれぬ感じだった。1ミリほど反省。
不逞者、閃いた。
どうせならきちんと喰べられるものをあげようと思った。
ということで、バナナひとふさに『北斗の拳』の名セリフを油性マジックで書いて渡したのだった。と同時に、『木刀も剣』と切れ味鋭いジョークも書いておいた。
我ながら良いことをしたと思った。しかし友人の表情は今年もくもっていたのだった。
彼からは昨年の不逞者の誕生日に、錆だらけでいまにも崩れてしまいそうな3輪車をもらったので、それに比べたらかなり良いものだと感じる。
おそらく今年の夏は、不逞者がえもいわれぬ表情をする番であろうことは想像に難くないのであった。
昨日は久しぶりに古本屋を偵察しに行った。定期的に偵察しなければ貴重な本がいつ安売りされるかわからないので、不逞者は鷹の眼を光らせねばならなかった。
それと買わなければいけない本もあったのだ。数年前に出たゲームの攻略本だった。
おそらく友人たちに訊いても、誰も憶えてないような気がするのである。
ただでさえいつも人より遅れてゲームを始めるので、こういった出費は当然だった。
古本屋へ向かう途中、外国人に道をきかれることもなかったし警察に捕まることもなかった。
古いゲームをしているので、予測であるが、不逞者の姿は誰にも視えてはいないようだった。
視えていないついでに、攻略本を万引きして店員さんに捕まろうかと思った。そして店員さんの胸に飛びこんで「いやいや」をするように、頭を左右に振ろうと考えた。
これが透明人間ができる最大の抵抗であり、意思表示でもあると思った。
しかし、お目当ての攻略本はないばかりか、ゲームコーナーのそばは防犯カメラが満載であった。あっさりと退散したのだった。
昨日は砂ぼこりが槍を持ちながら眼球を襲ってくるくらいの快晴だった。澄み渡る空とはこんな感じなのかと考えさせられるようでもあった。
しかし、上を向くと砂ぼこりが口や鼻に入ってしまうのだった。
映画館で映画以外のものをみようと思ったがやっぱりやめて、なんとなくな気持ちで海へ行った。
砂浜には錆びついた自転車が捨てられていたし、数年前まで普通に売られていたコーヒーの空き缶もあった。それを指をくわえながら眺めていた。
不逞者、もちろんゴミが砂浜にあってはいけないと思いつつも手が汚れてしまうので放置したままにしておいたのだった。賢明な判断だといえた。
あれは放置ではなくオブジェとして飾ってあるのだ、と何度も自分に言い聞かせた。
その後は近くにあった魚市場で、魚を値切るだけ値切ってやっぱり買わないという荒業を実行してきた。周りにいたおばさんたちは笑っていたけれど、魚市場のお兄さんは告白された女性に2日後にフラれたような表情だった。
このイタズラに反省した不逞者、建物内のトイレで友人の携帯番号を勝手に記入して深く反省したのだった。
今日の一言 以前、ゲームにハマっている時に手抜きしながら『テトリス』をプレイして『トリス』にしたことがある不逞者です。たぶん超人です。
昨日は晴れなのかくもりなのか曖昧な天気だった。なんとなく、放置されたままの空き缶のような気持ちになった。
雨が降っていなかったので、近所にある金網をよじ登ったりぶらさがったりして遊ぼうかと思った。だが、どこかそれはしてはいけないような気がした。
それから夕食は久々に回転寿司屋へ行った。寿司は相変わらず1ミリも廻っていなかったが、皿はものすごく廻っていたのだった。
「なに握りやしょうか?」
そんな声が飛んでいた。口に出すのも恥ずかしいものを握ってもらえるのか訊ねようとしたが、質問するのも恥ずかしいのでやめておいた。
大好物の『ぶりトロ』が品切れだったため、帰る時は駐輪場にならんでいる自転車を倒してきたのだった。
実に悪者であり暗黒の魂の持ち主である不逞者、ぶりトロの恨みは根が深いのだった。
しかし、自転車のオーナーさんたちには申し訳なく思う。
今日の一言 他人と同じ意見だとイヤがる人がいるが、同時に安心もしている。
昨日は、軽く部屋の整理整頓をした。『2階からメルボルン』とか『トイレにセボン』などのメモが出てきてちょっと恥ずかしくなった。
不逞者の部屋は小説が想像できないくらいあることが想像できるほどあるのである。本棚には入りきらないので積み上げているのだった。
うずたかく積まれた小説はゆらゆらと不逞者の生活をおびやかすくらい揺れている。雪崩などの危険性があった。倒れないよう補助するため、隣りにもうひと山積んだ。
するとふた山同時にゆらゆらしだしたので不逞者の精神状態は大変だった。タバコのフィルターに火をつけてしばらく眺めてしまいそうだった。
小説の山が倒壊しないように、前後左右にそれぞれ同じくらい積んで完璧な補強をほどこした。
これで安心して生活できる。がちがちに小説の山ができたので、ぱっと視、なにかの要塞のようでもあった。
完璧な仕事をしたあとは清々しかった。ただし、読みたい小説を探しだすことが不可能になった。山が倒壊するのをひたすら待つしかないのである。
昨日は、いつだったかにレンタルしたDVDを返却しに行った(5月28日参照)。しかし、TSUTAYAに到着するまでは苦難の道のりだった。
TSUTAYAまで運ぶ途中にスリにあわないだろうかひやひやさせられたし、空腹で倒れそうでもあった。
空腹の理由は、家には誰もおらず、お菓子などを主食として過ごしていたからだった。不健康そうに思われるかもしれないが、実はその通りだった。
工場の作業ラインを止めることなく素晴らしい動きのような感じで無事にDVDを返却することに成功した。
ひと息つこうと自動販売機の前で財布を出したところ、目立つ場所に診察券があった。しまったと思った。
遊び心をふんだんに入れた返却ごっこなどしている場合ではなかった。固まって穴からでてこない塩を細かく砕いている場合でもなかった。
毎週の出来事である病院のことをすっかり忘れていた。ここまで豪快だと、すっかりというよりもぽっかりであった。
無性に面白いことを書こうと思ったが何も浮かばないのだった。なので、視えないギャグを取り入れてみようと決めた。ということで今、不逞者は全裸で書いているのだった。
昨日は雨だった。ざあざあ降りともとらえることができたし、しゃあしゃあ降りとも考えられた。
不逞者の住んでいるところの近くには、怪しい感じの建物がある。人々はそれを浄水場と呼んでいるらしい。
大量の雨が降ったり、野良猫がどこかの食卓から魚をくわえて逃げてしまった時は、大音量のサイレンがなるのだった。
とてつもない大音量なので、今年にはいってから3人の老人がびっくりして死んでしまったようだ。嘘である。
ただ、出産間近の象の鳴き声のようなサイレンは、数々の大人たちをおびえさせているのは間違いないようだった。
不逞者もサイレンから逃げ出すように近所の大型書店へ行った。
本日が最終日であり、つまり引退式のようだった(5月26日参照)。
相変わらずニポンジンの活気に満ち溢れていたのだった。最後なのでいろいろな場所を撮影しようとこころみた。
不逞者の近くを通る女子高生たち数人は、変質者を視るような視線をくれた。ひじょうに申し訳なく思い、泥まみれの壱万円札を渡そうと思った。
変質者への視線は、やはり倍増されたのだった。
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