「僕は人を傷つける言葉をたくさん知ってるぞ」 「なるほど。君はつまり優しい人なんだね」
「もしもし」 「はぁい」 「おれさ、今うんこしてるの」 「はは、そうなんだ」 「そっちは何してるの?」 「えー……。えーと、恥ずかしいけど……おしっこだよ」 「奇遇だねぇ。じゃ、せーので流すか」 「いいけどー。なんでまた」「 「おれの大便と君の小便が、長い長い下水管を通って下水処理場で出合う。まるでおれたちの最初のようじゃないか」
「行きつくされた世界で、僕らには、ただ変わった形の石ころを見つけては喜ぶことくらいしかできないんだ」 「山を切りくずし、その向こう側の未知の世界が開けるなんて、もはや神話だよな」
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