悩みは人生を充実させる/文集「人生の時」

2014年02月28日(金) 6、性の美感

美感と美意識
 文学・芸術の真・善・美。
 真なるもの・善なるものは、美しい。
 その逆説で言えば、
 美しいものは、真であり、善でなければ
 ならない。
 朔太郎は、美感について、
 それを、アルコールに、例えた。
 「香味を欠いた酒は、好まない。
 詩のにおいは、芳醇でありたい」

六、性の美感

1、ランの花のように、女の匂いのする肌が好きだ
  握りしめた手のひらのなかに、
  軟式テニスのボールのように、やわらかい、
  弾むバストが好きだ
  もりあがる乳輪とサクラ色の乳首がうつくしい

2、私のあこがれは、、私を悩ませる
  最もうつくしい造型は、女性の肉体だ
  肌の細かい質感・なめらかさ・
  肌のかがやき・肌のつや
  化粧した女の肌は、
  大理石の彫刻よりもうつくしい

3、成熟するまえの、女の肌は、私を悩ませる
  女体への深い思い入れは、美意識の現れだ
  胸や腰・ヒップ・下腹部の、やさしい曲線は、
  楕円の図形のように、うつくしい
  球形の美乳・ハート形のちいさな美尻・
  細くて長い直線の美脚
  女の体のやわらかさ、
  下腹部のゆたかさは、
  母性の現れだ

4、女の体は、成長とともに、
  うつくしく形成されてゆき、
  17の青い処女の果実は、
  甘酸っぱい青春の記憶、
  あるいは春の名残(なごり)

5、なやましい桜の匂い
  そして、加齢とともに、崩れてゆく、
  終わりのある、女の心と体
  漆黒(しっこく)の闇に、一瞬光る、
  花火のように、うつくしい

6、咲いた花のはなやかさ
  春の花ざかりの桜のように
  女はなやましい
  桜の匂いのする、女の若い体
  月の光は、白い肌を、しらじらと照らす
  春の月夜、
  咲きほこる桜は、なまめかしい
  盃のなかに浮かぶ、
  ひとひらの花びらは、うつくしい

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2014年02月27日(木) 4、若き日日 5、青春

四、若き日日(ひび)

1、若き日の立志
  広大なキャンパス
  駆け上がる校舎
  名物教授の講義
  繰り返す筆記
  それらは青春の断片
  そうめいに晴れた
  キャンパスの空の飛雲のように
  過ぎ去っていった若き日日
  (私の生涯のなかで
   静穏なる安らかな三年)

2、並木のある冬の日の
  街路の向こうに
  日は沈みゆき
  暗い深い想いは
  再び覆った
  人生はあとからあとから
  陰りゆき
  しおれた花の運命
  虚しく青春の日日は
  失われて
  過去は絶望の岸辺にありて
  未来は寂寥の谷間に連なる

五、青春

  若葉の濃くなってゆく初夏
  森のなかの蒸せ返る精液の匂い

  立ち込める青青(あおあお)しい林のなか
  春の若葉と初夏の青葉の混在する頃
  前日 雨に濡れた樹木の匂い
  初夏の強い日射しが反射して
  蒸せ返る副射熱

  それは少年の青臭(あおくさ)い体液の匂い
  それは若い体の放つ
  青青(あおあお)しい
  官能的な匂いです

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2014年02月26日(水) 2、現代 3、理性

二、現代

1、二人が愛し合っていた日
  天使たちは
  どこにでもいた
  不幸な人とは
  しあわせな日日(ひび)を
  思いださない人たちで
  前向きな人とは
  過去を検証して
  未来を予定する人たちで
  過去のよろこびを
  未来に投影することができる

2、夏の若葉に
  強い日射しは
  反射している
  若い人は
  勉学している
  娘は夏祭りの夜
  浴衣(ゆかた)を着ていた
  良き日良き時代
  若き日の立志
  貧しさのなかで
  希望をいっぱい
  かかえていた

3、飽食の時代に問われる
  何のために生きるのか
  欲望の肥大化と
  物量的充足と心理的苦痛
  飽食の時代に
  何のために生きるのか

三、理性

  神を畏(おそ)れる事を忘れたひとたちに
  善はどこに存在するだろう
  自由と利益のもとに冒す脱法行為
  喪失する道徳と倫理
  理性の保証は神にある
  すべてを神に頼るひとたち
  宗教を軽蔑するひとたち
  かれらは静寂のなかで
  神を畏れることを知らない
  私は神の愛と裁きが
  表裏一体であることを忘れない

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2014年02月25日(火) 1、聖人

人は、愛すること・愛されることを、願う。

一、聖人

  人を殺(あや)めるためでなく
  人を愛するために
  戦った
  聖人の墓の前に
  初春を告げようとする
  けがれなき
  純白の
  無垢の
  ハクモクレンの
  花の群れが
  いちどきに
  いっきょに咲いて
  聖人と同じく短く
  三日のいのちで落ちた

  冥福を祈るひとびとの
  群れは
  数百年もの間
  途絶えることなく
  墓標の前は
  いつも
  美しい花で
  飾られていた

  聖人の
  大きな父性を想うとき
  ひとびとは
  他者を愛することを誓い
  他者から愛されることを祈った

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2014年02月22日(土) 案内5 本詩集(1)〜(14)

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 1、2014・02・25 聖人
 2、     02・26 現代
 3、           理性
 4、     02・27 若き日日
 5、           青春
 6、     02・28 性の美感
 7、     03・01 月下の蘭
 8、     03・02 辿りつく場所
 9、     03・03 厳格な愛
 10、    03・04 愛の完結
 11、    03・05 初恋
 12、          人生のうた
 13、    03・06 愛の終わりに
 14、    03・07 終章/人生について(1996)

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2014年02月21日(金) 九、静寂の地 十、日はまた昇る

九、静寂の地

  みどり葉のそよげる春はすぎ
  青空のさあおにはれわたる夏はすぎ
  満月のすみわたる秋はすぎ
  冬はきた かの寂寥地方に 静寂の地に

  月光にひたりて透きとおる
  深みにしずむ わが心よ

  老樹になりて 思想の根をはりて
  知性の枝をひろげて 静寂の地に立つ

  深みにしずむ わが心よ
  月は華やかに 空にのぼりて
  その清明な形を 水に映して
  真理のしずかな神秘をおもう

十、日はまた昇る

1、左方(さほう)に紅天(こうてん)の山はそびえ
  右方(うほう)に海上の日が
  喧騒(けんそう)な姿を映しながら
  いきもののように沈みゆく

2、それはたえず肉体の解体を強(し)いる
  時の流れ

3、やがて亡霊のような月が
  急速に輝きを放ち
  万象は沈静し
  時は醒(さ)めて
  夜もなお流れてゆく

4、明日に
  日はまた昇る
  朝のひかりすがすがしく
  つめたい水 澄み切る風
  そう明に流れる

5、明日に
  清新なる朝に
  いのちを再生させよう

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2014年02月20日(木) 7、夜明け 8、生涯

七、夜明け

  鋭き高峰に
  月は懸かりて
  空と地を峻別する
  空に星 地には影
  何をもよせつけぬ
  きびしさありて
  すべてを拒絶する

  星くずの散らばった空に
  悲歌は流れ
  清冽な冬の星を見つめながら
  私は清らかなこころを持ち
  一人 独覚の静けさを保つ

  やがて 茜さす夜明けに
  西の空の星星は
  輝きを失い
  今 明け方の空に
  星はひとつづつ
  消えてゆく

八、生涯

1、春はあゆみきて
  肌を匂わした
  青樹(せいじゅ)の湿った香り
  咲いた花のはなやかさ

2、やがて春は去り
  暗雲の日ざしが陰(かげ)り

3、やがて夏がきて
  鬱蒼(うっそう)と茂った森林の上に
  荒天(こうてん)が訪(おとず)れる

4、秋になり
  蝕(むしば)んだ回想が廻(めぐ)って
  冬に
  瞑想(めいそう)のしずかさを満たそう

5、空を切る鳥がながれてゆく
  海の果てにしずみゆく落日
  老いたるひとは
  知己の人から
  忘れ去られようとしている

6、紫雲を割りて
  陽(ひ)は注ぎ
  風とともに
  影はながれる

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2014年02月19日(水) 5、秋声 6、深省

五、秋声

  かなしきかな
  凍える五湖のなかに
  孤舟ありて
  白雲生じるところ
  径(みち)は切れ
  高峰の上に
  真青(まさお)の空と
  清光の輝き

  木陰(もくいん)に
  そのひとの憂いありて
  ひとり
  秋声を聞く

六、深省

  清く
  われひとり清く
  花葉(かよう)の落下
  夕辺(ゆうべ)の形影(けいえい)動きて
  松声(しょうせい)哀し

  明月は高峰(こうほう)と対峙し
  清影(せいえい)を落とす

  広情(こうじょう)ゆえに
  友を結び
  君と同心を結びしが
  心去って閑(しずか)なり

  星 移る天
  清新なる白い宝冠の峰先(みねさき)は
  明月の直下にそびえ
  深省(しんせい)のなかに
  愁(うれ)い多少

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2014年02月18日(火) 3、秋月 4、花時

三、秋月

  喧騒な夕陽
  斜めにして沈みゆき
  暮色のなかに
  いつとはなしに
  光り始めた月星(つきほし)

  星は暗天空(あんてんくう)に
  宝石のように 散在して
  輝き
  青青(せいせい)として
  月色 清し

  波は岸辺を裂き
  打ち寄せる波は帰る
  万古千秋
  寂寞
  離愁

  一人遙かに思う
  初秋 静寂にして
  月色 清し

四、花時(はなどき)

  晴日暖風
  空に清光ありて
  緑陰(りょくいん)に
  ひとり
  存す

  想いみる
  水辺(すいへん)の先に
  投石して
  波紋の
  広がり
  消えゆくを見る

  静寂なり

  三月三日
  季節新(あら)た
  いまこそ
  花時なる

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2014年02月17日(月) 1、臨春 2、臨春

一、臨春

  鋭き高峰に
  月は懸かりて
  数重(すうちょう)の山を照らし
  月色 清し

  雨は地上をぬらし
  草花(そうか)は開きて
  寂寂(せきせき)として
  独悲に沈む
  吾(われ)自らを愛す

  月は肌雪(きせつ)を
  しらじらと照らし
  誰ぞ
  吾を知るなし

  離騒の海南の村に
  春柔らかにして
  初初(ういうい)しき君ありて
  吾 想いをはせる

  春耕の時を臨みて
  愉悦のなかに
  ただ松柏(しょうはく)の声を聞く

二、臨春

  落下の季節
  清暉(せいき)の中に
  冬は迫りて
  寒林の葉は
  色を変えて落ちる

  幾再か見る
  別れし女(ひと)の
  幸薄き夢
  吾(わが)人生 行きつくして
  晩年の日日(にちじつ)の
  独悲の中に
  迫りくる終えんの寂寞

  冬はまたしずかに
  地の果てまで広がりて
  憂思の中に
  臨春を望む
  春天の樹(き)
  清夜月の花草(かそう)

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2014年02月16日(日) 案内4 漢詩的詩集(1)〜(10)

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ここでは、愛の喪失による痛みや悲しみを、自然界に目を向けることに
よって、脱却しようと試みる著者の姿が透けて見える。
その静謐(せいひつ)な詩世界からは、喪失によって、
研ぎ澄まされてゆく著者の孤独が、ヒリヒリと伝わってくるようであった。

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1、2014・02・17 臨春/臨春
2、     02・18 秋月/花時
3、     02・19 秋声/深省
4、     02・20 夜明け/生涯
5、     02・21 静寂の地/日はまた昇る

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2014年02月15日(土) (1)春の印象 (2)彷徨い(さまよい) (3)五月 (4)昼寝

(1)春の印象

   喧騒な日は 沈み
   静寂な白い月は 登った

   過去のかなしみもくるしみも
   忘れたような顔をして
   菜の花畑の上に
   月が淡く光っていた

   初春の夜の風は
   孤高のうたを囁きながら
   平野をしずかに流れていった

(2)彷徨い(さまよい)

   春はない
   清純な花の香りも
   憂愁に満ちた草の匂いも
   春はない

   空白の時
   北風にあおられて
   小雪に頬を赤く染めて
   彼は人跡のない原野を行く

   思い出は足跡のように雪に消され
   幸福をたどる道標はない

(3)五月

  五月は始め

  鯉のぼりは
  春の風に
  パタパタとはためき

  花はいっせいに
  開き咲きて

  その彩りに
  足を止めて
  しばし見入り

  蜜に集(つど)い
  酔いしれし
  小さな虫たちを
  今発見す

(4)昼寝

   毛布の暖かさにつつまれて
   しかし 温めてくれるのは
   恋人でなく
   人間でなく
   神ではなく
   幸福のようなもので

   安らかさに包まれて
   あたたかく
   やわらかく
   安心で 疑いもなく

   ほんのりと女性の匂いがして
   春の日の匂いがして
   すべてを あなたに任せよう

   ああ 花の香りがしている
   草木(くさき)のせつない香りがする

   さあ 眠りなさいと
   春は やさしく ささやく

   私の意識は しだいに 遠のく
   しずかで おだやかで
   しだいに しだいに 遠のく

   春は 終わろうと している

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2014年02月14日(金) 案内3 春の詩集(1)〜(4)

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2014・02・14 

(1)春の印象

(2)彷徨い(さまよい)

(3)五月

(4)昼寝

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2014年02月13日(木) 6、四季の歌

一、新しい春

  釣鐘草の花が
  さびしくゆれていた
  透明な風が
  落ちかけの葉をふるわせていた
  秋の日の寂しさは
  もう僕らを通り過ぎた
  イチョウの葉が小さくて
  かわいくてしかたがないと
  少女の言っていた日にもどった

二、初夏

  水草の白く群がる雨あがりに
  明るい日射しは樹木を透いて
  川原に青い陰をつくった
  見たまえ そこには
  水面の光と輪のたわむれのように
  明るい少年たち
  魚(うお)を釣る少年に
  初夏の午後は
  白い太陽ばかりだ

三、秋

  通り雨のあとに
  一人 とり残された
  濡れた衣服もかわかないまま
  黙って立っている
  透明な風がにわかにかけぬけ
  イチョウの葉が
  はらはらと朽ち落ちている

四、冬

  北風に鬼ごっこをして
  小雪はちらちらと
  地上をさまよいつづけ
  冬木立(ふゆこだち)
  その下で待ちつづけた人生は
  もう、冷たさにかじかんでいる
  夕方ともなれば閑散として
  街灯のあかりに
  この白一色の地上は
  いよいよと虚しくなるばかり

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2014年02月12日(水) 5、春の歌

春の歌

  春は、毎年(まいとし)、やってきて、
  急ぎ足で、去ってゆく
  しばし、のどかな春に、心和らぐ

一、迎春

  遠い空よ 気持ちよさそうに
  ゆっくりと流れてゆく雲たちよ
  ひばりの歌が のどかに聞こえはしないか
  香りのする
  菜の花畑の上で
  ひばりがピーチク 歌ってはいないか
  明るい日差しの中で 一人
  いつもの道を いつものように歩く
  草木(くさき)の枝葉が伸びて
  小さな農道を いっそう狭くしている
  やさしい人のように
  なつかしい人のように
  また、春が来た

二、春の風景

  春は川面(かわも)に美しく輝いて
  樹木は新緑の色を増して
  透明な光は いっぱいあふれ
  その中で おさげの少女は
  いちずに花の輪を作り
  そのきれいな造形物を 神に捧げる
  しずかな祈りと沈黙を捧げる
  祝福あれと
  春は川面(かわも)に、美しく輝いて
  蝶は花にさまよい やさしい口づけをする

三、惜春

  キラキラと 四月の空 さわやかな五月の風
  いつのまにか 花の匂う季節になっていました
  白く咲いた清楚な花 赤く咲いた情熱の花
  いつのまにか あちこちに溢れていました
  白い蝶 黒い蝶
  蝶の群れは蜜を求めて
  毎日 さまようのでした
  五月の空 六月の風
  春はこうして 穏やかに
  過ぎてゆくのです

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2014年02月11日(火) 4、寂しき詩

一

  やさしい風が吹いて
  情熱的な赤いばらが咲いた
  清楚(せいそ)な白いばらが咲いた
  そよ風はやさしく
  日射しはまぶしく
  僕を包み込んだ
  風は川面(かわも)を渡って
  樹木にささやいた
  僕はさびしいと

二

  今年もまた
  私を置き去りにして
  春は急ぎ足で通り過ぎました
  私はさみしそうに空を見る
  風を聞く
  流れる雲を数える
  好きな人の名前を呼ぶ
  私は本当に寂しいのです

三

  愛をくださいとは言えない
  ただ私が微笑んだら
  あなたも微笑んでほしい
  私がジョークを飛ばしたら
  あなたも美しく笑ってほしい
  ささやかな愛だけ下さい
  やさしさという愛を下さい
  大きなものを与えないかわり
  大きなものを奪いもしない
  寂しさという愛を下さい

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2014年02月10日(月) 3、悔恨の詩集

一、夏の樹下で

  樹下の青い陽(ひ)の光の陰で
  そのひとは蒼ざめた病身のようだ
  事実そのひとは過去の悲しい記憶を辿(たど)った
  夢の中の子供の情景に
  長い間を彷徨していた
  ちらちら輝く木の葉(このは)の間で
  物憂い悔恨ばかりが燃えていた
  樹下の蒼ざめた光の陰で
  そのひとは痛わしげな憂いに眠った

二、森陰

  樹木の湿った臭いのする
  草木(くさき)のせつない匂いのする
  陰鬱な物悲しい森の陰で
  ほの白い孤独の魂がさまよっていた
  自制を失った子供の欲情に
  空虚の愛を求めていた
  暗い陰鬱な森の陰
  私のくらいかなしみが
  朽ちた葉の上をしとしと歩いていた
  ハラハラと散っている落葉(らくよう)の下で
  私は人生の深い孤独を自覚した

三、冬

  長い長い夢のあとの寂しき心情に
  心の帰る所も知らない

  北風に鬼ごっこをして
  小雪はちらちらと地上をさまよいつづけ
  冬木立(ふゆこだち)
  その下で待ちつづけた人生は
  もう冷たさにかじかんでいる
  夕闇に暮れると
  物音は消えて
  街灯のあかりに
  白一色の街並みは
  沈静するばかり

  長い長い夢のあとの寂しき心情
  心の帰る所も知らない

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2014年02月08日(土) 2、春の詩集

一、春

  春花に頬を寄せるほど
  僕らは幸せでありたいものだ
  向こうから春風がやってきて
  春草の首をかしげるときには
  にっこりとうなづくほど
  おおらかでありたいものだ
  雑草さえも毎年ちいさな花をつけて
  僕らの心をほほえませる
  小さな昆虫が花の中で眠っているときは
  花をゆらして
  何だかいたずらもしてみたくなる

二、春愁(しゅんしゅう)

  春花(はるはな)の群れに頬を埋めたなら
  花蜜の匂いは遠い幻想と憂愁とをはらんだ
  眠っているのではないのだけれど
  眠っているような
  春女(はるおんな)に抱かれているような
  青草の緑を体に照りかえしながら
  花粉をほおばらせ
  きのうの悲しみを忘れているような
  あたたかな幻の日ざしと春草の匂い

三、爪草

  爪草の花を噛んではいけない
  春はやさしい君らにだけ
  しあわせを教えます
  やさしげな少女の匂い
  ほおずりした時のあたたかみ
  不思議な眠るような言葉で教えます

  爪草の茎を折ってはいけない
  春はさびしい君らにだけ
  しあわせを教えます
  少女の恋心と花蜜の色と、
  眠るような言葉でそっと教えてください

四、春風

  青空の晴れわたった日の喜びを
  私はなぜ歌うのでしょう
  光が飛びはねて
  妙にしあわせであるような
  そんな明るい時になる
  あなたは日ざしの中で眠ってしまいました
  そんなあなたを見守って
  ずっとやさしい歌をうたってあげよう

  青空の晴れわたった日の喜びを
  私はなぜ歌うのでしょう
  緑がひどくやさしくて
  誰からか愛されているような
  そんなしあわせな時がくる
  あなたは日ざしの中で眠っています
  春風が林の幹を抜って
  しずかに僕らをつつんでいます

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2014年02月07日(金) 1、愛の詩集 

一、愛の詩(うた)

  わたしに愛のくるのなら
  ささやかであれ
  やさしくあれ
  わたしに愛のくるのなら
  たとえは野原に咲く小菊

  わたしに愛のくるのなら
  しずかであれ
  やわくあれ
  わたしに愛のくるのなら
  たとえは夜冬に積む小雪

二、愛

  野に見つけた赤い花で
  いちばん美しいのを
  やさしい娘にあげなさい
  すると娘はほほえんで
  手をさしだすだろう
  そうしたら手をとって
  野辺をかけなさい

  人々は見るだろう
  その胸の花よりも美しく
  二人がしあわせに走ってゆくのを
  そして人々は
  その娘を愛している
  少年の気持ちになる

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2014年02月06日(木) 案内2 青春の詩集(1)〜(6)

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私が、高校生のときに、書いた詩集を、読んでください。
とても、繊細で、美しい詩です。
つづられている言葉には、幼さを感じさせる一方で、
それが、著者の思いの純度を高めてもいます。

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 1、2014・02・07 愛の詩集(2編)
 2、     02・08 春の詩集(4編)
 3、     02・10 悔恨の詩集(3編)
 4、     02・11 寂しき詩集(3章)
 5、     02・12 春の歌(3編)
 6、     02・13 四季の歌(4編)

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2014年02月05日(水) カンタンな哲学(11) 命題3

自立社会
 ↓
資本主義経済(自由と競争)
 ↓
命題3、現代資本主義の反省
    市場原理主義と過当競争(新自由主義)
     1、経済のグローバル化
     2、所得格差(貧富の差)
     3、マネーゲーム・投機(経済のギャンブル化)
     4、アメリカ金融資本主義の崩壊
       (構造的な世界不況→雇用の不安定)
     5、安全保障(軍備拡張)→テロ・紛争・戦争
     6、環境汚染破壊と資源の浪費
        ↓
    新自由主義の反省
     1、過剰消費
       (欲望の肥大化)
     2、利己主義と自己愛
     3、過酷な過当競争

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2014年02月04日(火) カンタンな社会学(10) 基本的人権

1、私達は、社会生活をしてゆく上で、
  個人的権利(基本的人権)を、侵されることはない。
  個人は、みな、等しく、
  身体の自由と精神の自由を、保障されて、
  法的根拠もなく、身体や精神の自由を、拘束される事はない。
  法的平等だけでなく、参政権を持ち、政治的にも平等である。

2、人権の原理は、個体としての独立性にある。
  �仝賃亮腟�
   生命現象の維持
     ↓
   個体保存の法則
     ↓
   個体としての独立性
   個体としての
   独立性の保障→基本的人権→民主主義→国民主権→憲法
     ↓
   個人としての主体性の保障

  �⊃邑◆。院�基本的権利 身体的自由・精神的自由
                 法的平等・政治的平等
       2、中心的権利 国民主権と民主的政治制度

       3、選択的権利 経済的自由か経済的平等か
                 (貧富の格差か平等か)
       4、補充的権利 生存権・公共の福祉・平和主義

  �L閏膽腟繊/邑◆�国民主権・国民投票/
          多数決原理・法冶主義/議会制・三権分立/
          地方自治

3、付記�仝渋紊旅圓�過ぎた、個人の自由と欲望(精神的自由・
      経済的自由)は、社会性・公共性において、
      制約すべきである。

    ��国家の重大事には、国民主権が、反映されなければならない。
     三権では足りない。
     違憲立法司法行政審査権、そして国民投票のための、
     憲法裁判所が是非とも欲しい。
     国民が、民主的な最高権力である事を明確にして、
     その行使は、国民の自己決定権と自己責任に、
     よらなければならないからである。

    �L閏臈�政治制度が完結すると、
     国民主権→国民投票 によって、
     経済的自由か経済的平等かが選択される。
     民主主義(人権ー選択的権利)は、
     経済に大きな制限を与える。

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2014年02月03日(月) カンタンな哲学(9) 命題1・命題2

命題1
 人類社会は、個体主義(→カンタンな社会学7)に基づいて、
 「自立型社会」か「共存型社会」を、形成する。

 1、集団化と孤立化の原理
 生命現象の維持

   ↓          集団化→共存の思想→共同主義→共存型社会
 個体保存の法則 <
              孤立化→自立の思想→個人主義→自立型社会

   ↓
 個体としての独立性


命題2
 「自立型社会」と「共存型社会」は、原則がすべて正反対であり、
 正反対の社会である。

 2、社会理論

   自立型社会→自由主義→自己の利益→競争の原理→対立→孤独
                      の追求
 <    ↕

   共存型社会→平等主義→共同の利益→団結の原理→信頼→愛
                       の追求
                       

    1、「集団化と孤立化の原理」は、生物学に基づいている。
      「社会理論」は、聖書から導かれている。

    2、集団化と孤立化の原理→「社会理論」は、
      生命現象が社会を成立させている根元的要素を、
      示している。また、社会構造の根幹を示している。
      これは、生命現象がどのように社会を形成させるかを、
      下記の3のように、想起させる。
      だから、現代社会を解く方程式になりえる。

    3、人間の本質は、個体としての独立性にある。
      人間の存在は、自立と共存の複合体である。
      自由と平等の複合体である。
      社会は、団結と競争の複合体である。
      人生は、愛と孤独の複合体である。
      愛は、厳しさといたわりの複合体である。

    4、資本主義国家・新自由主義など→自立型社会
      共産主義・社会主義国家・社会民主主義・
      民主社会主義・福祉国家・環境経済主義など→共存型社会

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2014年02月02日(日) カンタンな哲学(8) (集団化と孤立化の原理)文章

1、
生物学的に言えば、人間は動物であるから、人生は生存競争と言う事が
できます。人間は生存競争の原則から、逃れる事はできません。
生存競争は二つの対立する局面を持っています。
生存競争が、異種間、人間と他の動物の間に起こる場合が、
共同主義の原型であり、人間同士が団結し他の動物に優越しようとします。
生存競争が、同種間、人間と人間の間に起こる場合が個人主義の原型であり、人間同士の間で優劣がつけられます。
この二つは、人間にとって最も基本的な思想で、内容は正反対です。

2、
人間は生存競争(自己保存の法則)によって生きています。
そして、一方では生存上自己の利益となる者は自己に吸収しようとし、
他方では生存上不利益となる者を自己から排除しようとします。
前者が集団化であり、後者が孤立化です。
集団化の思想は共同主義に見られます。
共同主義は、共存の論理に基づいて、平等を目指し、団結の原理を持ち、
共同の利益を求めて、信頼と愛を生み出します。
孤立化の思想は個人主義に見られます。
個人主義は、自立の論理に基づいて、自由を目指し、競争の原理を持ち、
自己の利益を求めて、対立と孤独を生み出します。

3、
このように、共同主義が愛の源泉であり、
個人主義が孤独の源泉です。
集団化が共同主義の生物学的根拠であり、
孤立化が個人主義の生物学的根拠です。
共同主義と個人主義は、人類にとって最も基本的な思想で、
内容は正反対です。

    <人生における愛と孤独>
4、
人生において愛と孤独は共存し、
人間は愛だけでも孤独だけでも生きてゆけません。
個人にとって、その比重は異なるとしても、
人生には、両方とも、必ず必要です。
愛は共同主義という思想的根拠と集団化という生物学的根拠を持ち、
孤独は個人主義という思想的根拠と孤立化という生物学的根拠を
持っているからです。

愛と孤独(集団化と孤立化)は、自己保存の法則の表裏なのです。
正確には、個体保存の法則の表裏です。

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2014年02月01日(土) カンタンな社会学(7) 人間観(個体主義)

一、人間の本質を、どう定義したら、良いでしょうか?
  私は、その解答を、生物学に求めます。
  生命体の本質は、生命現象の維持にあり、
  言い換えるなら、個体保存の法則にあります。
  哲学的に言えば、自己保存の法則ではないでしょうか。

二、自己保存の法則とは、個体としての独立性を意味し、
  そういう意味で、人間は独立自尊の存在なのでしょう。
  ここに、人間存在の孤独性が、あると思われます。
  現代人は、それに気付き始めました。
  それは、恋では癒されず、愛では埋め合わせる事ができない。
  人間の本質は、個体としての独立性にあって、
  すべての生物に、共通する、特質である。

三、自己保存の法則は、「集団化と孤立化」という、
  2つの方向に、転化します。
  一方では、生存上自己の利益となる者を、
  自己に吸収しようとし(集団化)、
  他方では、生存上不利益となるものを、
  自己から排除しようとします(孤立化)。
  「集団化と孤立化」は、外見上
  正反対で矛盾しているかのように見えますが、
  自己保存の法則の表裏なのです。

  人間は、(集団化)でも、(孤立化)でも、
  生きてゆけません。

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