悩みは人生を充実させる/文集「人生の時」

2014年03月31日(月) 5、過去・過去・生

一、過去

1、過去は実在しない
  化石が残存しているから
  しかし、過去は人の記憶のなかに、
  存在します
  一人一人の魂のなかに、
  一つ一つの異なる過去、
  つまり、そのひとの時間と空間の痕跡が、
  存在します

2、ある時は、悲惨な戦争体験として
  ある時は、初恋の甘い想い出として

3、このことは、認識論と存在論、
  あるいは、観念論と唯物論を、理解するための、
  カギになるかもしれない

二、過去

  現在は過去を包容している
  現在とは別に、
  恐竜の生きている世界があるわけではなく、
  現在の地層のなかに、
  化石として骨が残っている
  過去は記憶や推測などの、
  想像の世界であり、
  実体のない世界である

三、生

  それらは私のために死んだのだ
  死んだから食べたのではなく、
  食べるために殺されたのだ
  私の生は毎日毎日、
  それらの犠牲の上に成り立っている
  私の一つの命のために、
  数多くの生命が消費されている
  生は他の生を犠牲にしなければ、
  存在できない
  私の生は多くの死によって、
  支えられている

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2014年03月30日(日) 4、生命と社会システム(青写真)/世界の生成

生命と社会システム(青写真)

1、資本主義社会は、経済成長と環境との不和で、
  いづれ、行き詰ると思う。
  成長型社会の神話は崩れ、
  循環型社会に、人類の未来を、託すしかない。
  現代社会は、
  第二次世界大戦の、全体主義に対する民主主義の勝利によって、
  幕を開けたが、
  その未熟さゆえ、いくつかの基本的問題を、抱えている。
  現在の民主主義は、不完全である。

2、生命と社会システム(青写真)
  一章 現代社会の問題
  二章 人類社会の根幹(2つの方程式)
    �―乎腸修噺瀕�化の原理
    �⊆匆駘�論(自立社会と共存社会)
  三章現代社会の基礎(民主主義の原則)
    �/邑△隆粟�(経済的平等の確定)
    �¬閏臈�政治制度の完成(憲法裁判所の設置)

3、ニ章では、人類社会の根幹を簡明に図式化する。
  三章では、完成された最終的な、
       人権と民主的政治制度を想定する。

世界の生成

1、時間も空間も存在も、エネルギーの権化です。
    �〇�間→何も変化しない、エネルギーのない所には、
        時間は存在しない。エネルギーが、時間の源。
    ��空間→まず無があって、エネルギーの支配する範囲。
    �B減漓�物質は、エネルギーの一形態。
    �ぬ機、�エネルギーの皆無な所で、有の可能性を持つ所。

2、無とエネルギーが、世界の根源的要素。
  しかし、エネルギーは一体何かという、
  最終的な疑問は解けない。

3、「変化」という単語が、
  エネルギーの意味を、示唆しているのだが、
  その先が解らない。
  それとも、エネルギーとは、
  「変化すること自体」を、示すのだろうか。

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2014年03月29日(土) 3、文明病・現代・子育て・恋の三重構造・離婚・教育

一、文明病

  文明(人工環境)は、他の必要性を喪失させる。
  人間の絆を喪失させる。
  現代は、自然環境という、厳しい環境のなかで、
  お互いの生存のために、お互いが必要とされる状況でない。

    (黒澤明監督のデルス・ウザーラを、観て)
     迫り来るアンバ(虎)の幻影
     畏怖・おびえ
     ジネン(大自然)のなかで
     迫り来る老い


二、現代

  出版社が求めているのは、
  売れる本(娯楽・気晴らし・いやし)です。
  少数の人が、真実を求めますが、
  たいていの思想は、生き詰まってしまう。
  それが、現代だと思います。


三、子育ての方法

  1、親子関係に、大切なものは、四つある。
    �〃鮃�(肉体と精神)
    �⊃�頼
    �0Α文靴靴気箸い燭錣蝓�
    �ぢ嵯�

  2、しつけや教育(生きる力)は、家庭で教え、
    学問は、学校で学ぶ。

  3、ポイント→まず何よりも、
         やすらかな心身で、ありたい。


四、恋の三重構造

  1、人間と人間の関係ー愛情・信頼
  2、男と女の関係ー好き嫌い
  3、オスとメスの関係ー快楽

  純愛から、くされ縁、性愛まで、説明できます。


五、離婚について

  離婚は、法的・社会的罪悪です。
  (共存の崩壊)から、発生します。
  1、共存<自立
  2、平等<自由
  3、団結<競争
  4、共同の利益<自己の利益
  5、信頼<対立
  6、愛<孤独

  集団は、すべて、共存で団結しながら、
  かつ、自立で競争しています。
  離婚は、その競争の結果、
  (対立)として、発生します。
   たとえば、離婚がどのような状況で起こるのか。
  それに気付けば、
  逆に、婚姻関係を、確実なものに出来ます。


六、現在の教育問題

  �ヽ惺察、�労働者を育成
  ��家庭 →労働力の再生

  �3惺酸験茵、�人生の目的になりうる
  �げ板軅験茵、�人生の目的になりうる

  新興国は、�´△砲茲辰董�高い学力を目指し、
  先進国は、���い砲茲辰董�高い生活を享受する。

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2014年03月28日(金) 2、仏教とキリスト教の本質・真善美・芸術の娯楽化

仏教の本質

1、仏教では、原生・永久性・安定性・静寂性の点で、
  生に対する無生の優越性を、直感しています。
   慈悲とは、人間の善意を救済するのが、最終目的であり、
  個人を直接救うものではなく、
  人類を救済するもの・すべての生物を救済するもの、
   そこには、生命体の尊厳と、それに対する愛情が、隠されています。

2、仏教思想では、生に対する無生の優越性と、
  それとともに、生命体への尊厳が、印されています。
   それこそが、仏教的思想の根源です。


キリスト教の本質

1、キリスト教の原点は、神(同義語としての義)から、
  出発しています。
  「義」は、第一に人間に良心のきびしさを、要求します。
  それによって、信頼(結果的に団結)を実現します。
  それが、旧約聖書の世界です。

2、「信頼」に基づいて、愛は実現します。
  それが、新約聖書の世界です。

3、つまり、聖書(キリスト教)は、
  愛の原点は信頼(団結)にあり、
  信頼(団結)の原点は、良心のきびしさにあり、
  良心のきびしさの根源は、義(神)に、あることを
  教えてくれます。

4、つまり、キリスト教の愛の正体は、「神の愛」なのです。


真善美

  善は、真という要素と、美という形を、持つ。

  真は、善という要素と、美という形を、持つ。

  美は、善という要素と、真という要素を、持つ。


芸術の娯楽化

  優れたものでも、重く暗く痛いものは、辛い。

  軽くていたわるようなものに、救われる、いやされる。

  人びとは、真摯なものより、娯楽を求める。


(人は、知らなければ、ならない。
 不幸は、不幸なりの意味を、持っていることを。
 幸福だけが、価値があるのでは、ないことを。)

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2014年03月27日(木) 1、仏教について・絶対自由の境地

仏教について、
基本的な知識と原理を、
カンタンに説明します。

一、仏教について

1、人間の精神活動の基本は、刺激→反応(快・不快)であり、
  欲求→充足・不充足の関係でしょう。
  不充足の典型が、苦悩であり、
  それをコントロールするのが、悟りです。
  明らかに、仏教は、苦悩を前提にしています。
  事実、人生は、四苦(生・老・病・死)や憂悲や孤独を、
  伴っています。

2、悟りとは、主体性(我)の放棄であり、
  もっと正確にいえば、主体性(我)の否定です。
  それによって、自己を、宇宙の意志・運命に、ゆだねるのです。
  そうすることによって、
  自己主体(我)と、それにまとわりつく苦悩が、なくなるのです。

3、悟りは、人間の精神作用を、コントロールするものです。
  それに対して、虚無とは、精神作用を超越するものです。
  精神活動のない、静まった世界が、虚無です。
  生の本来は無生であり、無生が真実の世界です。
  虚無は、生を無生に、帰らせます。

4、生は、その精神作用ゆえ、汚(けが)れているのであり、
  迷っているのであり、苦しんでいるのです。
  仏教では、生に対する無生の優越性を、直感しています。
  虚無は、精神作用を超越することによって、
  生を無生に帰らせます。

5、因果応報。現生の自分は、前世の所業の結果です。
  だから、現生は、来生のために、使うべきです。

二、絶対自由の境地

1、悟りや静寂と、自由とは、何の関係があるのだろう
  すべての、こだわり・雑念からの解放
  それが、自由の境地

2、そして、自分が静まるだけでなく、
  世界が静まるのが、
  絶対自由の境地

3、なぜなら、
  世界の原初・本来は、
  静寂にあるからで、
  世界の本質だからです

  

  
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2014年03月25日(火) 案内8 小理論(1)〜(7)

未来>をクリックして、次に、進んでください。

1、2014・03・27 仏教について/絶対自由の境地
2、     03・28 仏教とキリスト教の本質/真善美
             /芸術の娯楽化
3、     03・29 文明病/現代/子育て/恋/離婚/教育
4、     03・30 生命と社会システム(青写真)/世界の生成
5、     03・31 過去/過去/生
6、     04・02 人生の所信(1)
7、     04・03 人生の所信(2)

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2014年03月24日(月) 8、 人生について(抜粋)/終章

人生について(抜粋)

一、孤高の月は、その精神性ゆえに、他とは馴染まない。

二、ベートーベンのような精神性・内面性・純粋性は、
  孤独を住みかとする。
  底しれないさびしさは、耐えるのではなく、
  静かに受容するものだと、いまも伝える。
  孤独の強さとさびしさとは、表裏一体だと、それは示す。

三、朔太郎の詩の本質は、近代人として初めて明らかにされた、
  孤独の病理とその自覚症状で、あったろうと思う。

四、十一月の寂しい月がひとつ山頂に輝き、
  飢えた小鳥たちも、小さな鼓動で眠る。
  私は森の夜をさまよい、
  落ち葉を踏みしめる、自分のかなしい足音を聞く。
  私の人生はどこに辿(たど)り着こうとしているのか。
  はらはらと落ちている落葉(らくよう)に、
  自己の意志はない。

五、甘いタバコを吸っている。
  心のなかに鋭く冬の月が懸かっている。
  道標のない山道は山のなかに消え、
  落ち葉を踏みしめて、
  夜の森をさまよい歩くと、
  かなしみはいよいよと深くなる。
  誰も私の心の世界を、救うことはできない。


終章

音もなく 時間が過ぎる

私の毎日の現象は繰り返される

まるで終わりのないように

(若い人は/いまやれることを/いまやるべきことを/
 しっかりやって、ください。敗者にならないように。)

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2014年03月23日(日) 7、 恋/ある男の一生

かくも、個と個の対立は、険しく、絶望的である。<相手の気持ちを考えることなく、愛しつづけること> <一方的に愛することで、自己満足すること>それは愛ではなく、一途な恋ではなく、利己主義である。
ストーカーも、愛とは正反対の利己主義である。そこでは、自己愛のもとに、自己のすべての行為が、承認され、肯定され、実行される。

私は、現代における、愛の非情さ・冷徹さを、感じる。
そして、個人の自立(独立・自由・利益・競争・対立・孤独等)の厳しさを、感じる。そして、過当競争を感じる。

一、恋

くるしみのなかにあって 自分のひとりの力だけで
生きようとした女と かぎりなく深い愛で
支えようとした男 何もしないことだと悟り
消えた男 そのことがわかるまでに
三十年の月日が要った

愛を貫いて一生独り身だった男の
愚かな話である 男は幸せだったかもしれない
一生ひとつの愛に しずかに生きたのだから

女はただ迷惑に思った
男の行為は 何の役にも立たなかったし
なんの報いもなかった
男は何の報いも求めてはいなかった

二、ある男の一生

1、そのひとは 愛されることがなかったので 愛することもなかった

2、思春期になって 人生に愛が必要になった時に
  生きるために 愛されるには
  どうすべきかを考えた
  名案はいくつもあった
  が、実効性のあるものは、一つもなかった
  あれから 数十年 すぎた
  心に 孤立と疎外の深い溝が 残った

3、壮年期になって 社会生活に 人間関係に
  愛が必要になった時に考えた
  愛すればいいのだ 愛し返してくれる
  が、精神的外傷が それを阻害した

4、そのひとは 愛することがなかったので 愛されることもなかった

  




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2014年03月22日(土) 5,独り言/悲の詩集

一、独り言

1、夏休み
  生徒の居なくなった
  学校の裏庭には
  やり水の不足した
  しおれた植物が並んでいた
  そのそばで死神が
  やさしい笑みを浮かべて
  立っていた

2、私はムクゲの白い花が好きだった
  その純白の花に心ひかれて
  散りゆく花のはかなさを知った
  無垢のさびしさの中で
  死神がもう少し
  生きろと言った

3、三月の雨の夜
  甘ったるい水仙の下で
  蛙が一匹
  独り言をつぶやいた
  (小川で水を飲みすぎちまった
  そのうえ一日中雨だときている
  ゲップが止まらなくて
  苦しいんだ
  死ぬのはもっと苦しいだろうな
  死ぬのはいやだな)


小学4年生の時だった。ある同級生と対立していた。
夏休みに入って、突然、死んだ。私は内心喜んだ。
しかしそれと同時に、自分を含めて、すべての人間が、
死ぬ運命であることに、気付いた。

二、悲の詩集

1、悲哀(1968)
  死より悲しいことはない
  涙がぽたりぽたりと落ちる
  次次に 枯れた花弁(はなびら)の散るように

2、悲しみ
  涙はお前の小さな悲しみから
  一しずく お前の淡き悲しみから
  わたしは愛を求めていたのに
  わたしは詩を書いていたのに
  心よ お前の悲しみから
  わたしの頬はぬれている

3、悲しみ
  眠れ眠れ もっと深い眠りのなかに
  悲しみを捨てろ 忘れられない悲しみを
  刻まれすぎた悲しみを
  今は この心に 血が滲む(にじむ)
  眠れ眠れ もっと深い眠りのなかに
  悲しみを捨てろ

4、哀しさ
  僕はお前と闘争する お前は僕と対立する
  傷つけ合い苦しめ合い そして滅んでゆく
  人間の哀しさよ 愚かさよ

5、悲劇
  自分の重さに 自分が壊れる

  
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2014年03月21日(金) 3、癒し/悲哀/冬/春の月/浜田省吾に告ぐ

一、癒し

  釈迦の慈悲と、キリストの愛で
  人びとは癒され
  不幸な人びとは祈りを捧げる
  その大きな父性にいだかれて
  人びとは癒され
  不幸な人びとは祈りを捧げる
  なぜ世界は平和でないのか!
  なぜ心は救済されないのか!

二、悲哀

1、かなしさは、ひとりで生きてゆくこと
  友もなく、恋人もなく、家族もなく、
  さびしい白い雲のように
  風のままに、流れてゆくこと

2、あたたかな日当たり、どこにもなく
  冷ややかな日陰は、暗く、深い

3、30年まえの写真を、引き伸ばして、
  忘れていた人を、じっと見つめる
  しかし、サヨーナラの一言もなかった、婚約者に、
  思い出などない
  あるとすれば、自分の悲哀だけだ

三、冬

  長い長い夢のあとの寂しき心情に
  心の帰る所も知らない

  北風に鬼ごっこをして
  小雪はちらちらと地上をさまよいつづけ
  冬木立(ふゆこだち)
  その下で待ちつづけた人生は
  もう冷たさにかじかんでいる
  夕闇に暮れると 物音は消えて
  街灯のあかりに 白一色の街並みは
  沈静するばかり

  長い長い夢のあとの寂しき心情
  心の帰る所も知らない

四、春の月

  楽聖でさえ そのさびしさは生涯
  理解されることはなかった
  まして敗者のそれなど 闇夜の影に等しい
  春の月夜 咲き誇る桜はなまめかしい
  季節は早足で廻る

  花ざかりの山上に 青白い球形の月が
  天空に昇りつめて 青明な光を
  しずかに放っている しずかに

  さびしさは生涯 消え去ることはない

五、浜田省吾に告ぐ

� “爐硫山擇蓮�痛みを覚えます
  <愛と痛みの青春>というキャッチフレーズは、的を射てます
  彼の場合、孤独を愛で埋め合わせようとするところに、
  痛みが生まれます

  現代人は、孤独を克服するものとして、愛を捉えます
  しかし、それは、間違っています 孤独は、恋では癒されず、
  愛で埋め合わせることは、できません

�◆/祐屬遼楴舛蓮�独立性にあり、それを克服する概念は、
  独立自尊の精神でしょう
  独立した人間と人間の絆でしかないのですから、
  孤独を愛で埋め合わせることはできません
  それが真剣であればあるほど、
  孤独の痛みは増幅するだけです
  彼は、より真実の愛を求めて、
  彷徨って(さまよって)いるかのように見えます

�� 彼の曲のなかの、暗さと深いかなしみは、
  そこから生まれるのでしょう

  




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2014年03月20日(木) 2、寂寥の人/夜明け/静かな孤独

一、寂寥の人

1、過去をふりかえるとき
  落ち葉を踏みしめる音は暗く
  人生への失望と悲哀に飾られて
  青春は終わった

2、今しずかな闇の中に我をとりもどすとき
  広野には冬の鋭い月が懸かり
  木枯らしはさすらいの歌をかなでる
  楽聖は言った
  孤独の強さとさびしさとは同じくらいだと
  月光は心の底に届き
  静寂な真理と不変の真実を明白にする
  楽聖は言った
  愛とて人生のすべてではなく
  真実だけが人生の友だと

二、夜明け

  人影絶えた夕闇迫る冬のハーバー
  落日の慌ただしさと暮色に包まれて
  いつとはなしに光り始めた月と星
   喧騒な日は沈み 夜のしじまは広がる
   星くずの いっぱい広がった空に 悲歌が流れる
   清冽な 冬の星を 見つめながら
   私は 清らかなこころを 持ち
   孤高の月の 寂寥に 耐えながら
   ひとり 独覚の しずけさを 保つ
  いまひとつの月が
  水平線上に落ちてゆくのを見る
  長い夜を明かし
  明け方の空に バイオレットの光
  星は ひととづつ 消えてゆく

三、静かな孤独

  森の上に雨が降った
  雨は上がって
  木々の間に 幾条の
  日射しが差し込んだ
  葉っぱの上の雨粒に
  魂が宿って
  光が輝いた
  風が吹いて
  それが地上に落ちた
  

  
   
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2014年03月19日(水) 1、運命 2、原風景

一、運命

  酷寒のオホーツク海凍てつきて

  鋭き三日月冴えわたり

  薄幸の月の光かなしく

  悲運の星の光さびしく

  わが人生かくのごとし


二、原風景

 1、薄幸の冬の日射し
   さびしけり
   わが人生もかくのごとし

 2、ひとりきり
   天涯孤独終ゆる時
   波紋のごとく
   消えてゆくのみ

 3、はらはらと
   散りゆく木の葉(このは)
   しずかなり
   ただ運命に
   身をゆだねけり

 4、酷寒のオホーツク海
   凍てつきて
   鋭き三日月冴えわたりけり

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2014年03月18日(火) 案内7、人生の詩集(1)〜(8)

未来>をクリックして、次に、進んでください。

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一、自分に与えられた運命のなかで、せいいっぱい生きることが、尊い。占いで運命を変えたり、自分の運命に逆らっていきることは、決して良いことではない。
二、自分の運命を知ったら、自分を活かすための、生き方を見出す。そして、自分らしく生きる。
三、ただ幸せな人生は、決して良いものではない。苦しみを乗り越えることによって、得られる、<充実感>と<歓び>が、人生の真の目的だから。

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1、2014・03・19 運命/原風景
2、     03・20 寂寥の人/夜明け/静かな孤独
3、     03・21 癒し/悲哀/冬/春の月/浜田省吾に告ぐ
5、     03・22 独り言/悲の詩集
7、     03・23 恋/ある男の一生
8、     03・24 人生について(抜粋)/終章

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2014年03月17日(月) 9、月

一、月

  皓皓(こうこう)とした満月の光によって
  精神は明らかにされ
  微塵の曇りもない
  安らかな草のベッドに寝て
  つめたい水の流れる音を聞く
  水鏡(みずかがみ)に映った
  月の輪郭に少しの迷いもない
  すべてを知っているかのような顔をして
  月がつめたく光っている
  精神のしずかさ以外
  月は何も語らない

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2014年03月16日(日) 8、生/辿りつく場所/しずかなうた

一、生

  季節はめぐり いつもそこにはさびしさがあった
  また春になって 若草の匂いは
  憂愁を運んだ
  また秋になって 枯れ葉の散りゆく音は
  悲愁を伝えた

  どうしてだろう

  夏にはかなしみの雨が降り
  冬にはさびしさの雪が積もる
  年が来るごとに 心の中に
  さびしさの層が重なる

  乾いた空と灰色の大地に
  必死になぜだか
  一本の木が立っている

二、辿(たど)り着く場所

  低き空をさまよう雲の群れを嘲笑し
  いつまでもその姿を映す高き空を望んだ

  切れ目なく 低き雲のように
  日々は流れてゆくが
  しずかに時が立ち止まるとき
  静寂のなかに真実をみる

三、しずかなうた

  そんなに美しい空でなく
  少し欠けた月といくつかの星
  今宵(こよい)は薄曇りらしい

  人生にはこれくらいの空がいい

  ぼんやりと何気なく過ごした時間
  そして何事もなく終わりを告げる
  ただ繰り返される人生

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2014年03月15日(土) 7、冬の追想/静寂

一、冬の追想

  しんしん しんしん と雪が降る
  静かな冬の夜(よ)雪が降る
  しんしん しんしん と雪が降る
  誰も止めようがない

二、静寂

  満月は青いくっきりとした輪郭で明るい
  ある時 山に登って
  月を映した しずかな海を見た
  そこには生の騒動はなく
  生の痛みはなく
  すべてはさびしさに包まれている

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2014年03月14日(金) 6、浅き春の出来事

「喪失感」から脱却を果たしたと思しき著者が、自然への交歓を深めながらも、どうしても消すことのできない寂寥感を、赤裸々に吐露しているのが好ましい。「死はまさしく孤独より静寂なものだ」など、生につきまとう「寂しさ」と生の「儚さ」を重ねることで、「生の本質」を掴み取ろうとする求道的な態度、その一貫性が、この詩世界を堅牢なものにしている。

一、
モノクロームの景色のなかに
一面鮮明なオレンジ色の
キンセンカの花畑の向こうには
まだ寒色の海がけむっていた
まだ草木(くさき)の緑も薄くけむっていた
いましも花畑の上を一匹の蝶が
さびしく舞っていた
するとどこからともなく
ヒヨドリが視界に飛び込んできて
一瞬空中で捕食した
蝶に突然の死が訪れた
ヒヨドリも飢えていたのだ

二、
もう蝶に飛ぶ力はなかった
クモの網(あみ)の上で
時折羽根をパタパタしていた
クモはおしりから
頑丈な白い糸を噴き出して
蝶の自由を確実に奪っていった
蝶はしだいに弱っていった
抵抗すればするほど
死は早くやってくる
やがて蝶は全く動かなくなった
クモはそれを悪魔のように食べはじめた
だがクモにとって
命をつなぐ食事だった

三、
花は密かに五月の風を待っていた
花は密かに五月の光を待っていた
月夜(げつよ)の晩 蝶は
ケシの花びらの中で
苦しげに眠っていた
もう蝶に生きる望みはなかった

四、
春風のそよぐ午後 私は見た
白い花の中で一匹の蝶が
苦しげに羽根をバタつかせていたのを
そして頭上の雲が遠くに去ったころ
蝶はぱったりと動かなくなった
花のかんおけの中で
死はまさしく孤独よりも 静寂なものだった
そして命のはかなさを感じたのは
それが初めてではなかった
すべての生にはまちがいなく
終わりがあるのだと

五、
生きている間は そよ風に乗ってかろやかに
花畑を 自由に飛び回っていたのに
いまは冷たい地面の上にひとつの影
蝶の死体が転がっていた
やわらかな雲が流れてゆく
うららかな春の世界に そこだけが
さびしく固く静止したままだった
私は死の沈黙と空白を感じながら
生が死へ流れてゆくかなしみを知った

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2014年03月13日(木) 5、短歌の試作

一、ちらちらと 明月の後(のち) 降り積もる
  その静けさに 永きを愁う

二、冷徹に 戦い抜いた 人生よ
  心は終わり 時は残れり

三、白き雪 ひらひらと 美しく
  赤き火口に 吸いこまれゆく

四、赤き血は ま白き雪を 染めにけり
  鮮明にして 美しきかな

五、皓皓と 光り輝く 青い月
  影一つなく 雪を照らせり

六、菜の花の 広き生彩 かげりゆき
  夕闇の中 明月よ点け

七、十代の純と真心 湧きいづる
  ハクモクレンのやわき白さは

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2014年03月12日(水) 4、孤独のうた・中原中也について

1、孤独のうた
一、春の日ざしがまぶしすぎるので 帽子をかぶって
  レンゲ畑に寝ころべば
  体中がポカポカして ついつい眠くなってきます
  帽子をとれば 瞳に映るのは青い空
  白い雲たちに さようなら
二、風は山からやってくる 森を越えて林を抜って
  僕の知らない土地のみやげ話をするが
  風の言葉は僕にはわからない
三、月夜(げつよ)の晩 星降る原野
  月の冷たい光の中で そっと静かに
  目を閉じて闇と風の中に
  おぼれてゆくのが 怖いのです
四、雪の降る日は しんしんと
  ささやき一つたてない もう誰もいない
  空からつぎつぎと降る雪を
  風は上手にもてあそぶ
  あざわらう風とふるえる雪
  そのほかにもう誰もいない
  ささやき一つたてない

2、中原中也について
一、汚れちまった悲しみに
  今日も小雪が降りかかる〜〜〜
二、この詩を読んだ時
  なんてセンチメンタルな 甘ちょろい詩だろうと
  思った
三、精神病棟の食後のホールは 閑散としている
  4分の1は外出し 残りは昼寝である
  一人で NHK教育を見ていたら 中也の特集があった
  そのとき 中也の深いかなしみ・絶望感を 知った
四、そして <汚れちまった悲しみ>とは
  人生に挫折した者のみじめさを
  指しているのではないかと 思った

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2014年03月11日(火) 3、秋・赤いバラ・こころ・愛

1、秋

  AKIちゃん 君の名の美しい季節がきた
  きれいな空に 雲がさびしくたなびき
  風が悲しみを奏でた
  もう 遠い過去になってしまった
  とどかない想い
  白いコスモスを抱(いだ)いて
  山頂の草原(そうげん)に立つと
  君が来るような気がした

2、赤いバラ

  花が咲いているね
  ほら 手の届きそうな所に
  秋咲きのバラの花が赤く
  静かに燃えているね
  僕と君の心のように
  静かに燃えているね
  心と心が通じ合うと君は言った
  理解し合えると僕も答えた
  ほら見てごらん 花が咲いているね
  手の届きそうな所に
  秋咲きのバラの花が赤く
  静かに燃えているね

3、こころ

  茜さす美しい夜明けに
  西の空の星星は輝きを失い
  死にゆき
  地上には
  きよらかな
  清明な朝が生まれる
  再び人々に
  新しい力強い心が生まれる

4、愛

  空はやさしく
  すべての人を包んでいる
  どこかに神様がいて
  そんな風に愛してくださっても
  だれも気付かないだろう

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2014年03月10日(月) 2、 秋・風の唄・愛について

1、秋

  木漏れ日をいっぱい浴びて
  幾時間か眠っていた人は
  肌寒い落日のころになって
  ようやく目を醒(さ)ました
  そこには暖かな午後の様子はなく
  あわただしげな夕暮れが迫っていた
  (帰らなくては)
  まだ醒めやらぬ頭の中で
  そのことだけがはっきりしていた

2、風の唄(うた)

  風は山からやってくる
  森を越えて林を抜って
  僕の知らない土地の
  みやげ話をするが
  風の言葉は
  僕にはわからない

3、愛について

  愛によって道は開かれ
  愛によって世界は変わる
  善意を持てば世界は善意に満ち
  やさしさを持てば世界はやさしさに満ちる
  世界は心の反映である
  愛は他人でなく自分を救う

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2014年03月09日(日) 1、 やさしき歌・新しい春・瞳・愛

1、やさしき歌(うた)
  コスモスの花を揺らして、風がさやかに吹いたので
  そのひとは目を醒ました
  花蜜によって 眠っていたのですか
  花を手折っても 差し上げる相手もいない
  とても寂しい夢を見ました

2、新しい春
  釣鐘草の花が さびしくゆれていた
  透明な風が落ちかけの葉をふるわせていた
  秋の日の寂しさはもう 僕らを通り過ぎた
  イチョウの葉が小さくて
  かわいくてしかたがないと
  少女の言っていた日にもどった

3、瞳
  きみの瞳は とても素敵です
  空も映ります 森も林も映ります
  君の澄んだ瞳に 僕を映してほしいのです

4、愛
  私はこのうえなくやさしい愛をしよう
  たとえばあなたが私に微笑まなかったとしても
  遠くでさびしく微笑んでいよう
  風が流れるとき 木の葉のささやきに
  寂しく感じていよう
  私はそんなにやさしい愛をしよう

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2014年03月08日(土) 案内6、 小詩集(1)〜(9)

未来>をクリックして、次に、進んでください。

1、2014・03・09 やさしき歌・新しい春・瞳・愛
2、     03・10 秋・風の唄・愛について
3、     03・11 秋・赤いバラ・こころ・愛
4、     03・12 孤独のうた・中原中也について
5、     03・13 短歌の試作
6、     03・14 浅き春の出来事
7、     03・15 冬の追想・静寂
8、     03・16 生・辿りつく場所・しずかなうた
9、     03・17 月



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2014年03月07日(金) 14、終章/人生について(1996)

終章/人生について(1996)

一
孤高の月は、その精神性ゆえに、他とは馴染まない。
子供の頃は、暴力と冷たさに耐えた。
だが、少年になって、人間への不信と不安と恐怖に、苦悩した。
それがもとで、Schizophreniaに。
孤高の月は、その内面性ゆえに、他とは馴染まない。
少年期は、愛に救いを求めた。
しかし、どこにも完全な真実などなく、孤独の淵を歩いた。
落伍者に、与えられる烙印は、Schizophrenic.
孤高の月は、その純粋性ゆえに、他とは馴染まない。
青年期は、人生の真理を求めた。
それが、やっと辿りついた時は、四十二。
敗北者の幸福を、やっと手に入れた。
今、人生が見える。人間も世界も。
人間に与えられた運命は、一つ。
個体保存の法則。
その、個体としての独立性が、人間存在の孤独性。
ゆえに、人間は独立自尊の存在。
孤独と愛は、孤立化と集団化が、生物学的根拠。
孤独と愛は、矛盾しているように見えるが、
自己保存の法則の、表裏だった。
水平線上に沈みゆく、孤高の月は、
やがて、朝日となって昇ってくるものだと、
信じる人がいる。

一の一
山頂に、三カ月が鋭く懸かり、
少年のさまよい歩いた、無秩序の森。
落ちてゆく半月が、中空に沈み、
青年の嗅いだ、不条理な木の匂い。
昇りゆく満月が、天空に浮かび、
壮年の見た、この世に一つしかない花。

一の二
皓皓とした、満月の光によって、
精神は明らかにされ、微塵の曇りもない。
安らかな草のベッドに寝て、
つめたい水の流れる音を聞く。
水鏡に映った、月の輪郭に、少しの迷いもない。
すべてを知っているかのような顔をして、
月が、つめたく光っている。
精神のしずかさ以外、月は何も語らない。

一の三
人影絶えた、夕闇迫る冬のハーバー。
落日の慌ただしさと、暮色につつまれて、
いつとはなしに、光り始めた月と星。
喧騒な日は沈み、夜のしじまは広がる。
星くずのいっぱい広がった空に、悲歌がながれる。
清冽な冬の星を見つめながら、
私は清らかな心を持ち、
孤高の月の寂寥に耐えながら、
ひとり、独覚のしずけさを保つ。
いま、ひとつの月が、水平線上に、
落ちてゆくのを見る。
長い夜を明かし、
明け方の空にバイオレットの光。
星は、ひとつづつ、消えてゆく。

二
人工環境(文明)は、他の必要性をなくす。
資本主義・民主主義の個人主義は、
自己の利益のみを追求する。
ベートーベンのような、精神性・思想性・内面性・純粋性は、
孤独を住みかとする。
底しれないさびしさは、耐えるのではなく、
静かに受容するものだと、弦楽四重奏曲は、いまも伝える。
孤独の強さとさびしさとは、表裏一体だと、それは示す。
朔太郎の詩の本質は、近代人として、初めて明らかにされた、
孤独の病理と、その自覚症状であったろうと思う。
人間存在の孤独性は、恋ではいやされず、
愛では埋め合わせることができないと、
浜田省吾に告げる。

二の一
十一月のさびしい月が、ひとつ、山頂に輝き、
飢えた小鳥たちも、小さな鼓動で眠る。
私は、森の夜をさまよい、
落ち葉を踏みしめる、自分のかなしい足音を聞く。
私の人生は、どこに、辿り着こうとしているのか。
はらはらと落ちている落葉(らくよう)に、自己の意志はない。

二の二
甘いタバコを吸っている。
心の中に鋭く、冬の月が懸かっている。
道標のない山道は、山の中に消え、
落ち葉を踏みしめて、
夜の森をさまよい歩くと、
かなしみは、いよいよと深くなる。
誰も、私の心の世界を、救うことはできない。

二の三
灰色の空から、あてどなく、
つぎつぎと降る雪を、
風は上手にもてあそぶ。
手のひらで消える淡雪。
冬の空が、重くのしかかる。
夕暮れ。冬木立。
その下で待ちつづけた人生は、
もう冷たさに、かじかんでいる。

三
国家も企業も家庭も、信頼によって団結する。
人間は、一人で、独力で、生きることができない。
命をつなぐ食料も、生活を支えるたくさんの所有物も、
他力の恩恵なしでは、得ることができない。
家族愛も恋愛も友情も、互恵・互助を、目指す。
愛は、他人だけでなく、自分を救う。
文明病によって、個人主義によって、資本主義によって、
現代人の孤独感は、増幅される。
恋によって友情によっていやされ、
愛によって家族愛によって救われる。

三の一
富は、社会全体から生まれる。
社会的富の独占は、罪悪である。

四
満月は、青いくっきりとした輪郭で、明るい。
ある時、山に登って、月を映したしずかな海を見た。
そこには、生の騒動はなく、生の痛みはなく、
すべては、さびしさに、包まれている。

四の一
悟りは苦悩を滅し、虚無は精神活動を滅する。
仏教は、生に対して、
原生・永久性・静寂性・安定性の点で、
無生の優越性を、直観している。

四の二
あるのは静寂ばかり、汚れた生の悪はなく、
迷える生の苦悩はなく、
あるのは虚無ばかり。
すべてが鎮まった、それが真実の世界。

四の三
今日も、無力な生き物を、食った。
私の一つの命のために、
数多くの生命が、消費されている。
私の生は、多くの死によって、支えられている。

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2014年03月06日(木) 13、愛の終わりに

十三、愛の終わりに

   ぼうぼうとした山頂の草原(くさはら)に立って
   春がすみの下界を眺めると
   懐かしい故里が見える

   ああ その名は三井楽町

   町の端を流れる正渕川(まさぶちがわ)
   君と一緒に遊んだ小学校
   二人で登校した中学校
   十八になって二人追われるように
   去ったこの町

   あの日いつまでも一緒にと
   約束を交わしたバス停留所

   ああ それなのに君との永久(とわ)の別れ
   二十年の月日はまたたく間に過ぎた

   一人身の悲しみが身にしむ
   君を想えば痛恨の思いがする

   (もう私のことは忘れていいからね)と言った
   君の最期の言葉
   君のほおを伝った一筋の涙

   私には神はなく
   たとえば清冽な冬の星を見つめながら
   ただ人生の終着を待っているはかなさ

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2014年03月05日(水) 11、初恋 12、人生のうた

十一、初恋

 1、きみとわたしの生まれた町
   花は咲き緑は命をはぐくみ
   いつくしみいとおしむ
   人をおおきくやさしく包み
   二人は
   生かされてきた

 2、きみとわたしの母校
   恩師はいまも健在か
   友はいまも安らかか
   二人を育て愛してくれた

 3、きみを知りて
   わたしは人を愛することを知った
   愛することの大切さを知った
   この地球が公転を終わるときまで
   運命と戦いつつ
   愛は続くだろう

十二、人生のうた

 1、ひとを愛するなかで/
   かなしいことは/
   ひとを信じることができないこと/
   愛をつくすことができないこと
   愛を知るために/
   ひとは生まれ/
   愛もなく終わるのは/
   寂しい/あまりにも寂しい

 2、はるはふゆのあとに/
   やすらかなしあわせは/
   くるしみのあとに/
   あいはこどくのあとに
   せいじゃくは/
   とうそうのあとに

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2014年03月04日(火) 10、愛の完結

長い孤独を癒す恋の発見と驚き、愛の成就が人生をどれだけ輝かせるかを訴えつつ、やがて訪れる愛の喪失が及ぼす実存への影響を、冷徹に見つめる著者の眼差しが強い印象を残す。

                                                                     
十、愛の完結

1、人間愛の根源は
  生命体の尊厳と
  それに対する愛情からである

2、人間愛 人を憎んではいけない

3、彼にとって幻想と現実は等しく
  苦しみを乗り越えた
  しずかさと
  命の透明感に溢れていた

4、かなしみとくるしみを乗り越えた
  逆境と試練のなかでしか
  人間の絆は立証されない

5、一人の人を一生愛し続ける大事さは
  運命の人と出会えた幸運ゆえ

6、一人の人を真に理解する大切さは
  真に愛するために必要な動機になる

7、恋のくるしみ・かなしみがないのは
  人間愛ゆえ
  運命と戦うためである

8、きみを妻として苦楽を共にし
  生きるよろこびを分かち合う
  こうして人は
  運命を克服し愛を完結する

9、恐れることはない
  過去から未来まで
  生命は連続する

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2014年03月03日(月) 9、厳格な愛

九、厳格な愛

1、かぐわしい花のない
  この冬に
  凍てついた心に
  きびしい精神が宿る
  たくさんの枝葉(しよう)をかげらしていた
  夏の樹樹(きぎ)は
  寒空にすべてを落とした

2、きびしい精神は
  研ぎ澄まされた刃(は)のように
  鋭い切れ味をみせる
  洞察ー真意をみぬく力
  妥協を許さない決意

3、意思ー善を実現してゆく
  独立ー複合した愛と孤独
  静寂ー独りと幸福

4、個体としての独立性
  人は自己責任のもとに
  生きる
  その意思は国家主権のように
  侵害を許さない
  現代人の特質
  相互不干渉と批判の精神

5、人は独立し
  自己責任のもとに自己決定権を持ち
  自己への侵害と干渉を許さない
  神の主権を持って
  自己中心の精神で
  他を批判し裁く
  なぜ人を裁かなければならないのか
  なぜ悪意を断罪しなければならないのか

6、やさしい愛ではなく
  厳格な愛を求めて
  そのきびしさは
  自他を覚醒させる

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2014年03月02日(日) 8、辿りつく場所

八、辿(たど)りつく場所

1、若い日々の戦いと
  しずかな愛を想うとき
  片恋(かたこい)でも
  愛するひとのいたよろこびを
  愛することのできたよろこびを
  かなしみとよろこびが
  交錯するなかで
  青春の日々のなかの
  嘆きと甘酸っぱさとして
  なつかしく思いだすのだ

2、孤独の長い長い疲れのあとから
  疎外の長い長い痛みのあとから
  晩年の静寂さと幸福は
  朝日のように
  茜さす夜明けに
  広い水平線を越えて
  しずかな恋のように
  ひっそりと鮮明にやってきたのだ

3、生命体の尊厳と
  それに対する愛情は
  生きている
  わたしという
  心の世界のなかに
  人間愛という
  甘くせつない匂いのする
  月下の蘭の
  大輪の花として
  鮮やかにひっそりと
  結実したのだ

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2014年03月01日(土) 7、月下の蘭

七、月下の蘭

1、釈迦の慈悲やキリストの愛に
  救われず
  自決していったひとの魂は
  かなしく いたわしい

2、見よ
  満月はこうこうと
  天空を昇りつめて
  地上の隅々までも
  明白にしながら
  するどく照らし
  地上の万民は
  無知と苦しみに
  ふけり
  自我の生き方の不確実と
  漠然とした不安に
  なやんでいる

3、いきる目的の喪失
  価値観の急激な変化と混乱と喪失
  自由と欲望の名のもとに
  失われた精神
  道徳と倫理の崩壊

4、見よ
  星は山脈の孤峰の上に
  ちりばめられたダイヤモンドのように
  広がりて
  麓には
  月下の蘭が
  あやしく 咲いている

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