てくてくミーハー道場
もくじ|前回てくてく|次回てくてく
昼は『愛と青春の宝塚』(新宿コマ劇場)を観て(しかしテレビドラマの時も思ったが、なんつーベタなタイトルだ・・・/し〜っ)、帰ってきて夜はテレビで『男装の麗人ー川島芳子の生涯ー』を視た。
なんと、昨日の『太鼓たたいて〜』と三連チャンで戦時中の話。
いや決して重いとかなんとか文句を言うつもりはない。
日本人にとって、一番「忘れちゃダメ」な歴史だからね、それはいいんです。
で、『愛と青春〜』について、もちろんたっぷりと感想はあるのだが、今日は、『男装の麗人』と絡めた“一点”についてのみ、書きたいと思う。
(ちょっと関係ないところから入るが)黒木メイサが意外と良かった(色気はなかったが/オイ)
メイサからミキちゃんに変わる時に、違和感があるかと思ったが、今回初めて知ったのだが、奥二重で大きくきつい目元が、二人とも同じなんですね。それが奏効したのか、さして変な感じがしなかった。
メイサもショートカットが全く違和感なく似合っていた。
逆に今の目で見るからかな? 女の子がショートカットだからって、それで「男」に見えるわけはないのだ。
ただし、男装や軍服となると、さすがに「この女、普通じゃない」とは当然思われるのだが。
そういう意味で、メイサもミキちゃんも、決して「男にしか見えない女」という存在の仕方ではなく、それは当然なのだ。川島芳子は女だってことを誰もが知ってたのだし。
ミキちゃん自身、退団して10年経つわけで、今さら「男の服を着る」=「男に見える」ようになるわけはなく。
(ま、実はタカラジェンヌってのは、舞台の上であっても「男」には見えてないんで。「男役としてあるべき姿」に見えてれば大合格なのでして)
別に、「女が男の服着てるんだなぁ」と見えても全然かまわないわけさ。
今回思ったのは、そういうことより、『愛と青春〜』への感想にもかぶってくるのだが、「女が軍服を着てる」ことに対する、その状況の違いに対するこっち側の感情差というものを感じて、ちょっと「はっ」とさせられたと言うか。
川島芳子は確かに「男装の麗人」だったんだろう。
ドラマの中にもあったみたいに、芝居にさえなった。
しかし、当時の日本人の中で、芳子の軍服姿、男装を、本心から「カッコいい」「ステキ」と思っていた日本人は、はたしてどれくらいいたのか。
だいたい時代が違う。
「女は銃後」が当たり前の時代だ。
男装してる女なんて、うちのばあちゃん(明治38年生まれ)が言ってたみたいに、「オトコ女」であって、性倒錯者視されてたのは想像に難くない。
もちろん芳子は性倒錯者なんぞではなくて、生きるための必死の手段として男装を選んだのだ。
カッコ良く見えるかどうかなんて、関係ない話だ。
そして、宝塚の男役が男装するのも「お仕事」「役目」だからであって、趣味や主義からではない。
だが、こっちは逆に、それだからこそ「カッコ良く」なきゃ、価値が下がるのである。
現代人のぼくたちにしてからが、タカラヅカの舞台に出てくる軍服姿の男役を見て、
「男役は軍服が似合ってナンボよね〜」
などと言っている。
でも、今日、『愛と青春〜』の劇中劇で、(戦争中に歌劇団が実際に上演していたものと非常に近い)戦意高揚のための演目の中に出てくる、“日本軍の将校さん”姿の男役トップさんを見て、
「この姿を『カッコいい』と思うなんて、いけないことなんだ」(決して、そんな強制をされたわけではないんですよ)
という想いが襲ってきた。
決して「日本軍の軍服はデザインがダサイから」とかいう、たるんだ理由ではない。ないのだ(念を押すなよ)
だって、それと同時に、
「今後、実際のタカラヅカの舞台で、軍人役(それはたいていデザイン的にもカッコ良く、同じ第二次世界大戦の時代だとしても、遠い外国の軍人であることがほとんど)を観るとき、簡単に『カッコいい』と思えなくなっちゃうかも」
とも思ったのだ。
当時の観客の皆さんは、美しく清らかな愛するタカラジェンヌが、お芝居の中で(日本軍の)軍服を着て、国家への忠節を歌に歌い、死に赴く姿を演じるさまを、どんな気持ちで観ていたんだろう。
戦争に疑問を抱く前の観客ならば、逆に感動して、感激していたのかもしれない。
逆に、生まれた時から「戦争は悪いことだ」と教育され(なんか、誤解を招くような書き方だが)、そう信じて生きてきた現代日本のぼくたちには、「こんな芝居させられて、可哀相だ」としか思えないのだ。
ぼくは、「タカラヅカは、今の日本にとって不必要なのです!」と宣言されて大劇場が閉鎖されるシーンよりも、この、国威高揚のための演目上演のシーンの方が、かなりやりきれなかった。
さて、全然中途半端だが、実は明日もこのお芝居の別キャストバージョンを観てくるので((−−;)好きね、アンタも・・・)、詳しい感想は4パターン全部観てから((◎_◎;)よ、よん・・・)改めて書かせてもらうことにします。
ほんじゃ。
|