2022年06月29日(水) |
今朝の空には筋のように斜めに走る雲が幾筋も流れていた。その筋の根元から太陽がじんわり昇って来た。濃い黄身のようなとろんとした太陽だった。そこから上空の青色までのグラデーションが見事でしばらく見惚れてた。 それにしても、暑い日が続く。今は6月なんだよね、とカレンダーを見て確かめる。ワンコが毎日ぐったりしている。いやもちろんワンコの部屋はクーラーがかかっているのだけれども、それでも。
S君の作品を今年の展示にすると決めて、編み始めているのだけれども、あれ、彼と撮影に行ったのはたった7回だったっけか、と吃驚している。真夜中に電話したり何したり朗読劇をやったりもしていたので、もっとたくさん撮影に出掛けているつもりになってしまっていた。自分の感覚と実際との差異に唖然とする。 そもそも。S君との撮影は、撮影、というよりも喋り場、のような雰囲気だった。いつも彼が近況をあれこれ話してくれて、その話を聞かせてもらう形で撮影が進んだ。彼にポーズをとってもらうよりも、喋ってる彼を追いかけてた、そんな気がする。 さて。これらをどう見せる形にまとめようか。削り落とし削り落とし、そうして絞り込んでゆく。
夕飯に使った食器を洗う真夜中過ぎ。Aちゃんのことをぼんやり考える。きっかけが何かは不明なまま、酷いフラッシュバックに襲われた、と。怖くて怖くて布団に包まり続けてる、と。薬も効かない、と言っていた。 薬、タイミングを逸するとまったくもって効かないんだよなぁと、自分の時を思い出して思う。相当な量の薬を飲んできたけれど、頓服もその都度処方されていたから飲んだけれども。でも、起きてしまったフラッシュバックやパニックに対して立て続けに飲んでも、これ、効き目はなかった。薬が唯一の頼りなのに、その薬が効果なくて、ずいぶん凹んだこともあったっけ。一体自分に何をしろと?と、世界に向かって八つ当たりしたくて仕方がなかったこともあった。 これをすれば治る!という特効薬があればいいのに、と何度思ったことか。でも、ないのだ。そんなもの。この世にそんなものは、ない。 でもそれをそのまま伝えて何になる? 絶望が増すだけじゃないか。そう思うと何も言えなくなる。今の状態のAちゃんに、掛ける言葉が見当たらない。 洗い物をしていたはずなのにいつの間にか手が止まっていた。私がそんなに途方に暮れても、誰も救われやしないのに。
家人の個展用チラシをデザインしながら、少し焦りを覚えている自分に気づいた。私も自分の個展迄あと三か月。こんなことしていて大丈夫なのか?という焦り、だ。そもそもどうして私チラシをデザインしてるんだっけか?と唐突に問いが浮かんでげんなりする。いやついこの間やるって決めたはずなのに。何やってんの自分。 私の個展準備の際に彼が手伝ってくれるわけでも何でもない、まさしくこれはボランティア以外の何者でもない。それが正直何処かで納得がいかないんだ。
性暴力被害を受けた女性に時々見られる性器の痺れ。痛みが生じるひともいるらしい。でもこれ、何も女性に限ったことじゃぁない。男性被害者でもある友人は、セックスをしても射精できないそうだ。男性が射精できないって、どれほどの悲しみなんだろう。怒りなんだろう。絶望なんだろう。私は男性じゃぁないから心底には理解できない。でも。それでも、絶望だろうなぁと、ぼんやり思う。 性暴力が被害者の身体に刻む傷というのは、本当に、計り知れない。 |
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