2002年06月22日(土) |
光りと闇の間(はざま)で |
夕刻 沈みゆく陽光の蛍光増白により兎の輪郭は一層際だち 朱鷺色に染め上げられた東雲から手が伸びる 北西の灰黒色の雲は次第に西へと回り込み 青黒から群青へと転ずる 西の空に輝きを増した一番星は木星かそれとも金星か
なぜ 流れる雲の消えゆく様を惜しむものはいない
風に靡く大地の産毛はまだ 半身水の中に浸かったまま 楕円の月を映す川の流れには もじりから大気の中へと飛び込むオイカワの黒い影が いくつも木霊する
なぜ 川の水の流れゆく様を愛おしむものはいない
朱鷺色の雲はいつの間にやら白いシーツのようになり 青かった空の中へ溶けてゆこうとしている 楕円の月を映す川は さらに漆黒の鏡に変じてゆこう
生きている限り二度と巡り会うことのない 同じ川の水や同じ雲との出会い 永遠を生きているのは私なのかもしれない
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