へい太の日記

2003年06月21日(土) 心臓でんでん虫

左胸 潜むでんでん虫
取り替えっこできないマイマイ
毎度毎度迷子になりながら
心カタツムリ ゆっくりゆっくり動き出す

相手の動きに合わせ
カタツムリも素速く動かそう なんてやっぱり無理なのか
ずいぶんみんなの動きは速すぎて
目玉も奥まで引っ込めて
のどが渇くから 殻の中に閉じこもり
雨が降るのを待っている
世の中はずいぶん速くなったけど
心はあいかわらず昔のまんま

コンビニ前に制服でタバコを吸う高校生7人
車から降り 雲の隙間をくぐるように
入り口ドアを通り過ぎる
空の交番はすぐ近くにあったけど
110番するほどのことでもなく
黙って横を通り過ぎた
僕の心はカタツムリ

病院待合室 ソファーの背に立ち上がり
ソファーからソファーへと渡り歩く少女と少年
「危ないよ」注意した母はそのまま視線を週刊誌に
子どもたちは遊び続ける
大きな声で「ここに僕がいる」
言おうと思ったけれど
受付に呼ばれるまで黙って待っていた
僕の心はカタツムリ

僕の通った後ろには銀色に光る道 かすかに残っているけれど
乾き ひからびた粘液は
こんなにも力無く役立たずなのか

左胸 潜むでんでん虫
取り替えっこできないマイマイ
毎度毎度迷子になりながら
心カタツムリ ゆっくりゆっくり動き出す


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へい太 [おてがみ] [へい太のほむぺ]

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