川底を流れる小石のように。 〜番外編〜 海老蔵への道!
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2005年06月19日(日) |
日帰り博多、実践編。 |
朝一番の便は6:30羽田発。 20分前に羽田に着かねばならず、 そうすると4:30には家を出ることに。 おかげで3:30には起き出して、のそのそ仕度。 朝早い電車は、完全に出来上がっちゃってる酔っぱらいや、 目にしみるくらいニンニク臭い酔っぱらいや、 あやしい空気に充ち満ちており、 深夜の終電の方が、まだマシかもしれん。
出発ロビーでベーグルサンド、 機内に乗り込むなり、寝る体制。 起きるともう、眼下に広がる福岡の町。
ほぼ定刻通りに到着し、 時間だけはたっぷりあるので、帰り道の復習。 地下鉄の出口から空港のチェックインカウンターまでの、最短距離を探し、 さらに余った時間でお土産の下調べ。 地下鉄では、何両目に乗ればよいのかも考え、頭の中にメモ。 そうこうしていると、友達との待ち合わせ時間になっていた。
そう、この日は「はじめての入り待ち」。 入り待ちとはいえ、何をしようというわけでもなく、 まあ遠くから、おはようございますと、心の中で声でもかけられれば充分かな。 地元の友達のナビのおかげで、 しばらく待っているとすぐに海老蔵到着。 お馴染みの紺の縦縞の作務衣に、黒ぶちめがね、首にはマフラーを巻いて、 いつもの姿なのだった。 以前友達が、あの格好はなんとかならないものか、 もうちょっと小綺麗にしてればいいのに・・・と言ったことがあったが、 その直後に「海老蔵イタリアブランドのスーツを着る」みたいな雑誌の記事を立ち読みして、 やっぱり小綺麗じゃなくても、あの作務衣でいいことにする・・・と、 小声できっぱりつぶやいてものだ。 彼女の目には、イタリアんなスーツが、とても似合わなく思えたらしい。 うはは。
その後も、帽子姿が似合って若々しい團パパや、 市蔵さん、田之助さんらが、次々楽屋入り。
今回、一番ビックリドキドキだったのは、実は菊之助さんであった。 ちょうど早足で歩く菊ちゃんが、ファンの方に呼び止められて足を止めたのが、 私の目の前だったのだけれど、 素顔の菊ちゃんを、こんなに間近でみたのは初めてだ。 菊ちゃんの、最も印象的なところといえば、あの目! 何とも言えない、黒目のところがグレーっぽくもブルーっぽくも見えて、 あ〜菊ちゃん、あなたのその目はなんなの?と惑わされてしまったことだよ。
そんなこんなで、ハイなまま博多座へ。 はじめての博多座は、新しくてピカピカだ。 一番すごい!と思ったのは、トイレ! 女子トイレには、行列がつきものだが、 ここのトイレは、行列が出来る間もないくらいに、ずら〜〜りと見事に並んでいて、 頼もしい限り。 手洗いの他に、お化粧直しが出来るカウンターも、ずらりとあるので、 これもありがたいことだ。 昼の部の源氏物語、 昨年の名古屋に比べると、随分とすっきりまとめられており、 演出役の團パパが不在だった影響をみた思いがする。 ただ、この日の光の君のお化粧が、なんだか困りへの字眉だった気がして、 なんなのさ?と笑ってしまった。 いつもこんなもんだったかな? それでも、目の前で繰り広げられる王朝絵巻にいつしか引きこまれ、 菊ちゃんの藤壷に泣かされてしまう。 夕顔役の松也くんは今年二十歳のワカモノだが、 海老松のラブシーンは、海老菊のラブシーンとはまた趣が異なり、 ああ、そんな!いけません!みたいな展開にクラクラ。 というか、光の君のその右手は〜!みたいな襲いかかりぶり。 あまりにも目の前だったので、思わず見入ってしまったことだ。 (まあ、お相手が藤壷と夕顔では、おのずと態度も違おうものだが) 桐壺帝は、やっぱり團パパによく似合う。 全てをのみこむ大らかな帝の風格とでもいうのか。 御園座では、どなたが?と博多でずっと思い出そうとしたのだけれど、 どうしても出てこない。 帰宅後に筋書きを確認すると、がんじろはんなのであった。 そうだそうだ。 思い出せなくて、すんません・・・。
昼と夜の合間に、ちょっと散歩。 そのまま夜の部へ。 かなり前の方の席ではあったが、上手寄り。 むむむと思っていると不安は的中。 花道が、ものすごく遠い〜のであった・・・。 横幅は、南座の倍はあるんじゃないか? これよりさらに上手にも席はたくさんあるけれど、 そこは国立劇場だと二等席になるんじゃないか?と愚痴りたくなるほど。 およそ半年ぶりの海老蔵のにらみは、なにか凄みが増しており、 本当に厄がおとせそう。 助六は、揚巻の道中も助六の出端も、花道が妙に遠く感じたが、 それでも、まさに今現在この時しか味わえない、美しい舞台だった。 博多座は、どういう加減なのか、音響が良いというのか、 独特に高音の響く劇場みたいだ。 なので、花魁に付き従う子供(かむろちゃん)の声や、 菊ちゃんをはじめとする女形さんの声は、キンキンするくらい響く。 一方助六の海老蔵の台詞は、ボンボンとこもって聞こえて、 なんだか違和感があった。 歌舞伎座では、あんなに大きく良く通る海老声なのに、なんでだろ。
遠征すると思うのだけれど、 こうして遠く、博多や京都や、あちこち飛んで、 ろくに観光もせず、日がな一日劇場にこもって、 勿体ないか?といえば、私にとっては、そういうことは全然なくて、 今、自分が一番いたいと思う場所にいられる嬉しさというか、 そういう幸せ感でいっぱいになってしまう。 多分大馬鹿なんだと思う。 今日も、ここ博多座で一日過ごせて、本当に嬉しかった。
お隣のおばさまと、話してみると、 なんだか妙に気があって、楽しい。 昼の部を見て、どうしても夜の部も見たくなって、 急遽一枚だけ手に入った夜の部のチケットで1人観劇中とのこと。 昼に一緒だったお友達は先に帰ってしまったらしく、 あらまあ、お好きなんですねえ〜、 そういうあなたも東京からなんて、本当に好きなのねえ〜 でも観られてよかったわよねえ、きれいよねえ、いいわよねえ、 みたいな感じで、あれこれ盛り上がり、 ちょっとオカンと一緒に観劇してるみたいな気持ちになった。 年齢を超えた、プチ友情も芽生えたりする旅の空。
幕切れと一緒に、劇場を猛ダッシュ! 地上4階にある劇場から地下鉄まで、ともかく一気に駆け下りる。 大本命の電車は、今まさにドアが閉まるところ。 ああ〜間に合わなかったか!と思いつつ、 思わずバスにするみたいに、待って〜と駆け寄ってしまったのだが、 驚いたことに、一度閉じたドアをもう一度あけてくれた。 ああ、博多はなんてよかところばい!人情たっぷりばい!などと、 胡散臭い(というか多分ウソの)九州弁で感激してみる。 この電車に間に合えば、9:05締めきりの搭乗受付には充分に間に合う。
朝の予習が、ここできっちり生かされ、 迷うことなく、スムーズにチェックイン。 お土産の稚加栄の明太子まで、ちゃんと買えた。 (でも、月末に博多に行くことは同僚にも話してあったが、 さすがに、今回の日帰りのことは、言い出せず、 歌舞伎な友達以外には、誰にも言わずに出かけたのだった。 なので、明太子も内緒で独り占め)
無事に東京に帰り着くと、 朝の三時半に起き出した事が、遠い昔のことのように感じられる。 長い一日だったなあ・・・。 翌朝は、さすがに起きるのが本当につらくて、 ベッドに体がめりこんで、もうここから出られそうにないよ〜と思うほど。
やっぱりせめて一泊はしたかった。
その後の週は、NHKホールで、ユーミンのツアーのファイナルを堪能。 今日は「静かなまぼろし」という曲が、どうしうようもなくジンジンして、 まいったまいったなのだった。
ムシムシジメジメするけど、梅雨に滅入っている場合じゃないな。 今週は、歌舞伎座と、博多座で、水無月のしめくくり。
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