「いつもにこにこ・みけんにしわなし」
DiaryINDEXpastwill


2006年07月10日(月) 迎える準備

「おかあちゃん、ボクのお誕生日には、みんな呼んでパーティーしたい〜。」
と、マルが突然言い出した。

マルのお誕生日は11月。
なにを言うか急に。

「ケーキは、チョコのケーキがいい〜。
サーちゃんも、タックンも、みんな呼んで、ご飯食べたい〜。」

「お誕生日のプレゼント、ポケモンのダイヤモンドがいい〜。」

「な。いいやろ?いいやろ?」


・・・・たいへん、結構な計画なのですが。
お約束できないなぁ・・・・・。


モックンは、2度。
ミーは、1度、「赤ちゃんが来ること」を経験している。
おかあちゃんが、赤ちゃんにつきっきりになってしまって、
「ごめんね〜、ごめんね〜。」というだけでなぁんにもしてくれないどころか、
ペタンコになって病気のように寝てしまって起きてこないことも知っている。

赤ちゃんが来ると、今までのようにいかないことがたくさんあることを知ってる
モックンとミーにくらべて、マルは、初体験である。

もとより、3人兄妹の末っ子で、
我慢をせずにすむ確立が兄姉よりダントツ多いマルさんである。


かわいそうだが、お知らせせねばなるまいなぁ。


ウキウキ計画を練るマルさんには地獄の宣告のように聞こえるだろうと思いつつ、
「あのねぇ、マルさん。それはねぇ。お約束できないのよ。」

え。と固まるマルさん。早くも目じりに涙がたまる。
「なんで。」

「お誕生日にこうしたいなぁ、ああしたいなぁ、お友だち呼びたいなぁ、って
準備するのは悪くないんだけどね、
おかあちゃんも、ごちそう作ってあげたいなぁ、
ケーキも作ってあげたいなぁ、プレゼント買いに行ってあげたいなぁって、思うんだけどね。
でも、今、してあげるね、ってお約束できないのよ。
なんでかっていうと、赤ちゃんが来るからね。

赤ちゃんが来るとね、おかあちゃんは、ぺたんと寝たっきりになる。
車も運転できない。お風呂も入れない。ご飯作るのもできないかもしれない。
赤ちゃんに、おっぱいあげて、オムツ替えて、あとは寝てるだけになっちゃうのよ。

マルのお誕生日の頃には、なんでもできるようになってたいけども、
パーティーできるよー!ってお約束はねぇ。
今からはできないのよ。 生まれてみないと、なんともなぁ。」

マルさん、ぼろぼろぼろーっと、涙がこぼれる。
「ボクのお誕生日、なんにもできへんの?」

いや、だからー。
「今から、お約束は、なんにもできないのよ。
おかあちゃんさ、今でも、明日の約束もできないのよ。
朝起きて、体がしんどくなくて、赤ちゃんもだいじょうぶだな、ってわかってからでないと
どこにもいけないし、なんにもできないんだよー。」

そうそう、と、ソファーでうなずく兄と姉。
そんなぁ!と、まん丸な目でずんずん悲しくなるマル。

我慢してもらわないといけないことがたくさんあるんだよなぁ。
わかってもらわないと。
そして、我慢してもらわないと。

赤ちゃんが来るってことを
うれしいことも、しんぼうすることも、腹の立つことも、
みんなひっくるめて、引き受けてもらう日々がマルに待ってる。

「プレゼントも、買いにいけへんのぉ〜?」
買いにいけなくてもアマゾンで注文してやるとも。

できるかぎり、できるかぎり、おかあちゃんはがんばるし、
マルが、マルだけでなくって、モックンもミーも、悲しくならないように工夫する。

でも一緒にふんばってもらわないといけないこと、たくさんあるんだよ。
がんばろうぜ。



マルはしばらくジクジクしていたが、
赤ちゃんが生まれてから、も一度ゆっくり考えよう、という提案に、
なんとか気を取り直したらしく、
「赤ちゃん、元気で生まれてくるにはさぁ、ボクはなにしたらいいのー?」

そっかぁ。
なにかしてくれるつもりになってくれたのかぁ。


ちょっとずつ、赤ちゃんを迎える準備が整っていく。





DiaryINDEXpastwill
きゃおる |MAILHomePage「にこにこばかりもしてられない」

My追加