Just A Little Day
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懐かしい笑顔。 もう忘れたと思っていた、「胸が締め付けられる」という感覚。 触れてしまえば壊れてしまいそうで、呼吸をすれば消えてしまいそう。 ずっと消してしまおうと思って、消せなかった想い。
どんな言葉も、気持ちを表すのに適切ではない気がして、 何か言葉を発してしまえば、全てが嘘になってしまう気がして、
『・・・会いたかった・・・』
それだけが喉をついて出た。
それだけを告げ、すぐに言葉なんか要らなかったことに気付く。 背中に回った腕が、近くに聞こえる鼓動が、体温が、そう告げていた。
胸が苦しい。 そうか。「セツナイ」って、こんな感覚だっけ。 懐かしい体温に、目を閉じた。
目を開けると、昨日と同じ部屋。 台所に立つ母。 切なさだけが胸のまんなかで脈打っていた。
あれ?どこかでこんな感じ・・・ そっか。 「冷静と情熱の間」の再会シーンに似てた。
でも、あの切なさは本物だった。
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