命の値段

養母が昨秋来入院している。

入院してすぐ発作を起こした時は
「この一週間が峠」
「一番長くて半年、でも多分冬は越せないだろう」と言われ
知人に泣きついて大騒ぎをした挙句
やっと覚悟を決めて部屋の掃除もした。

しかし、それから10ヶ月、まだ頑張ってくれている。
意識もないまま、点滴だけで10ヶ月。

いくら意識がないとは言え、やはり面倒を見て戴くのは嬉しい。
爪がきれいになっていたり、頻繁に着替えていると安心する。
ただ、雨の続いた時期に
4日で5枚の浴衣、5枚のバスタオル
タオルケットにフェイスタオルの洗濯が出た時には
泣きそうだったけど(笑)

しかし、医療費と言うのは、細かく書かれた領収書を貰っても
内容はさっぱりわからないものだ。
先月分も3万の上の食費がついていた。
食べられないのにどうして?と聞くと、
チューブを使って栄養剤を投与しているが
それが投薬ではなく食事代に相当する、と言うことだった。
「何故先月と2万も違うのか」と訊かなければ
何の説明もなかったわけだ。
なんだか不親切だなぁと思った一件だった。

おまけに先日市から来たはがきには
「老人医療費」の、目玉の飛び出るような金額が。
つまり、市で負担している分が88万円だよ、と。
一日3万弱?そんなに治療してもらってるの?
何をしてもらって88万円なの?
ちょっと詳しく知りたい気分だわ。


彼女は高給取りだったから
それなり年金も戴いているかわり、税金も払っているし
所得税も介護保険料も当然きっちり払っている。
でも入院している今は、介護保険は使えないんだそうだ。
要介護度5でありながら、保険料だけ払って
何の介護も受けることが出来ない、というのは
(システム上仕方がないことなのかもしれないけど)
どうも腑に落ちない。
取られてるだけ、という気が抜け切らない。
収入が多いだけいいだろう、と言われればそれまでなんだけど。
でもね、月に10万の入院費は
独身でずっと働き続けてきた養母だからこそ
払える金額だと思うな。
私が入院してもとてもそんなに払えないわ。

払えない、ということは、病院を追い出されるということで、
つまり貧乏人は早死にするってことか。

はぁ。なんだかがっかりしちゃうよね。


2001年07月10日(火)

花のもとにて / しっぽ

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