同じ近所の人が今日、手術を終えて帰って来ました。 彼の配偶者の話によると。 ガツガツと物を食う彼が静かに飯を食い。 早食いの彼が食する事を途中で止め。 高飛車で高慢の彼が穏やかに話し。 一人を好む彼が家族と時間を過ごしているそうです。 それを聞いて私は、こう思いました。 『彼は死を恐れたのではないだろうか』 私は、そう思いました。 熱心なクリスチャン。 死を恐れる事無く、永遠の復活を信じる。 そんな彼が、ほんの小さな手術で死を恐れたのだとしたら。 随分と人間らしい事だと思います。 私には、とても不思議な話なのですが。 死を恐れる事は、人として当然の感情だ。 人はそう言うかもしれません。 けれど今の私は、死を恐れません。 輪廻転生を唱える気はありません。 自分以外の存在に生まれ変わりたくないのです。 復活を信じている訳ではありません。 永遠の命はツマラナイと思っているからです。 自殺願望を抱いているのでもありません。 愚かな私に己の死を望む事が出来得る筈もないのです。 ただ、今はまだ生きていたいと思っているだけです。 とりあえず、死ぬのは嫌だなと思っているだけです。 それでも今死んでしまうとしたら。 仲の良かった友人や親族達 続きが気になる漫画やドラマ 手掛けている作品 その程度の事が頭を掠めるだけだと思います。 それが今の私にとって最も重要な位置にあるからです。 下らない人生だと、嘲笑う人もいるでしょう。 そんな彼等に一言、言ってやりましょう。 「あなた達が下らないと言う、 数多くの物に命掛ける事が出来る私は。 死への恐怖にも劣らない程、恐ろしく強いよ。」 笑って言ってやりましょう。
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