空中楼閣

2001年10月08日(月) 死ぬのが恐い人。

同じ近所の人が今日、手術を終えて帰って来ました。
彼の配偶者の話によると。
ガツガツと物を食う彼が静かに飯を食い。
早食いの彼が食する事を途中で止め。
高飛車で高慢の彼が穏やかに話し。
一人を好む彼が家族と時間を過ごしているそうです。
 
それを聞いて私は、こう思いました。
『彼は死を恐れたのではないだろうか』
私は、そう思いました。
 
熱心なクリスチャン。
死を恐れる事無く、永遠の復活を信じる。
そんな彼が、ほんの小さな手術で死を恐れたのだとしたら。
 
随分と人間らしい事だと思います。
私には、とても不思議な話なのですが。
 
死を恐れる事は、人として当然の感情だ。
人はそう言うかもしれません。
けれど今の私は、死を恐れません。
 
輪廻転生を唱える気はありません。
自分以外の存在に生まれ変わりたくないのです。
復活を信じている訳ではありません。
永遠の命はツマラナイと思っているからです。
自殺願望を抱いているのでもありません。
愚かな私に己の死を望む事が出来得る筈もないのです。
 
ただ、今はまだ生きていたいと思っているだけです。
とりあえず、死ぬのは嫌だなと思っているだけです。
 
それでも今死んでしまうとしたら。
仲の良かった友人や親族達
続きが気になる漫画やドラマ
手掛けている作品
その程度の事が頭を掠めるだけだと思います。
それが今の私にとって最も重要な位置にあるからです。
 
下らない人生だと、嘲笑う人もいるでしょう。
そんな彼等に一言、言ってやりましょう。
「あなた達が下らないと言う、
 数多くの物に命掛ける事が出来る私は。
 死への恐怖にも劣らない程、恐ろしく強いよ。」
笑って言ってやりましょう。


 < 過ぎ去りし過去  INDEX  未だ来ぬ未来 >


亨 [MAIL]

My追加