一匹の蒼くて紫の蝶が、迷い込んできました。小さくて力無い蝶でした。ひらひら、と言うより、ふわふわと。飛ぶ、と言うより、たゆたう蝶。ふわふわ、ゆらゆら、しゃらしゃらら。遠くで見ていれば綺麗なんだろうけど近くで鱗紛を撒くなら害虫も同じだよどうしてこんなに綺麗なのに地面を這うように揺らめく蝶が、ふわりと浮いてきました。差し伸べた手の上で、くるりくるり。笑うように、くるくるり。静かに止まった蝶を見ながら、胸が詰まりました。綺麗なんて言葉では片付けられなかったんだ