「大丈夫、絶対に変わったり出来ないから。」 そう言って必死に微笑む君を愛しく思う。 大丈夫なんだよ、変わっても。 だから、君を否定する。 「君は変わったよ。 そして日々、変わり続けているよ。 変わってしまったんじゃない。 君は、変わる事が出来ているだけなんだ。」 雁字搦めのまま微笑み続ける可哀想な君。 そんな心より愛しい君を、僕は否定する。 「大丈夫、ちゃんと忘れて、変わっているから。」 そう言って必死に首を振る君を愛しく思う。 大丈夫なんだよ、忘れられなくても。 だから、君を否定する。 「君は変わらないよ。 あの時のまま、綺麗なままだよ。 変われないでいるんじゃない。 君は、変わらずに居続けられるだけなんだ。」 歯痒いまでに過去に囚われた可哀想な君。 そんな心より愛しい君を、僕は否定する。 変わる事も、変わらない事も。 忘れる事も、忘れない事も。 どちらも決して悪い事じゃない。 変わってしまった自分も、変われない自分も。 忘れてしまった自分も、忘れられない自分も。 どちらも否定しなくて良いのだ。 全ては、そうである必要なんて無いのだから。 僕は、そう思う。 そう思い、断定する。 自分自身に言い聞かせる為に。
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