やんの読書日記
目次|昨日|明日
ロザムンド・ピルチャー作 日向房
幼いときに両親の離婚で生き別れになった 双子のフローラとローズ ひょんなことで出会い ローズの身代わりをせざるを得なくなってしまうローズ。 その役目は、アントニーの婚約者になりすまして 病気の祖母を見舞うということ。 ローズはアントニーと婚約したはずなのに 勝手に婚約解消して旅立ってしまう。 スコットランドで祖母のタピーや家族の人と 暮らすうちに双子の妹ローズの身勝手さや 汚さを知ると同時に 人々をだまし続ける自分に 苦しみを感じるようになる。
双子だからつながっているはずと思って ローズになりきろうとするフローラの 苦しみ。性格が正反対のローズに対する哀れみや怒り、 双子であったことを一言も教えてくれなかった 父への不信など、さまざまだけれど 苦しみの先に待っていたものが 父への愛、新しい生活だったことが ほっとさせてくれた。
フローラはローズによって手ひどく傷つけられたかのように見えたけれど アントニーの祖母タピーやその家族の人々の あたたかさや気高さで元気付けられていく姿がとてもいい。 おせっかいのように感じられるそのお世話が かえってフローラを強くしていくのだ。 この家族的なあたたかさに答えて、最後に自分はローズではないことを 告白するフローラに共感した。 うそに驚きあきれながらも、 フローラを認めていっそう愛する事ができる 人々に感動した。 「生まれが同じでも環境が違えば違ってしまう。 でもおまえはたとえ母親に育てられてもローズのようには ならなかっただろう」と書いた父の手紙に 娘への愛情が深く感じられて どっと涙が出た。 最後に医師のヒューと結ばれる場面がまた感動的。
|