2004年08月09日(月) |
お互いに被害者なのに |
[北京 7日 ロイター] 7日夜に行われたアジアカップ決勝で日本が優勝を決めた後、 会場となった北京の工人体育場周辺には中国の敗退を不満とする大勢の中国人サポーターが 集まり、ビンを投げたり、侮辱的なことばを叫ぶなどして騒いだ。 日本勝利に憤る中国人サポーター達は、日本国旗を燃やしたり、日本製品の非買運動を 呼びかけたりして怒りをあらわにしたが、機動隊に鎮圧された。
日本の外務省からのクレームに対し、中国政府は一部のサポーターの騒動は残念だと、 まるで他人事のようです。
現地では警官隊による鎮圧は行なわれていましたが、中国政府がこのような動きを強く抑え 付けないのは理由があって、それは中国に昔からある「遠交近攻策」といって、遠い国とは 親しくし、近い国とは戦うというやり方が残っていること、日中戦争では、ソ連共産党の 策略のもと、蒋介石の国民政府と日本軍が最後の最後まで戦い続けた日中戦争の不幸、それ から、日本と中国が仲良くなって日本が中国で有利な立場に立つと、アメリカやイギリスは それまで不当に得ていた色々な権利を失うことになり、日中国交回復に対して積極的に介在 することを嫌った(ている)ことなどがあります。
例えば、今でも小学生の教科書に盧溝橋事件のことを中国の不幸として日本を非難している ことからも分かるように、60年近く経過した今でも語り続かれています。それは中国の 人々の共通認識として、誰でも抱いていることだと思います。
中国は日本と違い、戦後も思想統一がなされていた国であり、自由な思想が認められる 環境にはありませんでしたし、日本のような敗戦国ではありませんから、国家統制を解く 必要もなかったし、ソ連からの解放を叫び必要もありませんでした。だから日本の悪行だけが 歴史の汚点として残ることになり、政府としても、国民の不満が高まる度に、その不満を 中国政府でなく、日本に対して吐き出させることで、国民のストレスを発散させて、暴動を 防いでいたという側面があります。中国政府としては逃げ道としていいネタになっています。
日本の場合も、特にアメリカに対して原爆投下国として、それから日本各地への攻撃国と して非難の目を持っていますが、やはり敗戦国としての諦めがありますから、中国とは 立場も考えも違います。
日本の場合の失策は、やはり当時の戦略がお粗末であったこと。 つまり侵略後の日本の進む道について考えが及ばなかったことにあると思います。 とにかく陣地拡大だけに没頭して、そこをどう生かしていくかを考えなかった。 だから欧米各国の植民地政策に比べて日本の場合は被害者意識だけを植え付けてしまった。
このような当時のお粗末さが今でも引きずっているということです。 一方では、特に戦前産まれの日本人にはあると思いますが、中国人や北朝鮮・韓国人に対して 卑下する気持ちがあるのも事実です。戦時中の教育を受けた人たちはね。
ストレスを発散させたり、卑下する気持ちを持っていたり、いつも煽動されるのは国民。 お互いに被害者なのに、被害者同志が傷つけ合うのは止めたいものです。
さ、帰省の準備でもしようかね。
はい。今日は晴れときどき曇り。(東京地方)
|