2004年08月13日(金) |
忘れてはならないもの |
歴史の風化とは、当事者がいなくなってしまうことに加え、 その事実を伝える人がいなくなってしまうことでしょう。
事実、書きものや写真がなければ、知る術もありません。 自分のことを言えば、戦争のことも戦前産まれの親の話や親戚の おじさんやおばさんの話、そして仏前に飾ってある、戦死したじいさんの 若い時の遺影を見て、本当に戦争があったんだと実感してきました。
しかし、親も親戚も、こちらから聞かないと、自分の口から当時の話を 切り出すことはありません。それは何故だと聞いたこともありませんけど。
当事者の話を聞いた世代が次の世代に代わってしまうと、それらの話も より実感のない話になってしまい、まったくのおとぎ話になってしまいます。 今の若い世代が他国で起きる戦争をバーチャルにしか思わないのは そういうことでしょう。自分には関係ない話。実際に起きている事実なのに。
終戦記念日がお盆と重なっているのは何かの縁でしょうか。 それとも意図されたものでしょうか。誰か知っていますか?
今思うと、うまい具合に暑い時期に休みが取れるいい理由ではあるけど いまだに疑問なのは、お盆は死んだ人の霊が降りてくると言いますが、 今生きている人が知らない人の霊はどうなっているのでしょうか。
逆に立場から言うと、知る人全てが自分の側に来ているなら、現世に 現れる理由もなくなるから、降りてくる必要もなくなるのかなって。 もしそれが本当なら、知る人がいる限り降りてくるっていうことか。
なんてことは生きているこちらが勝手に考えることだから、 それが本当かどうかは誰も知らないこと。だから、死後の世界について 断定的に語る人の言うことには聞く耳を持ちません。なぜかというと、 それは事実を語っているわけではないから。事実を知るはずもありません。
なぜ終戦記念日が、そしてお盆が続いているのかを考えると、 莫大な数の死者を出してしまった戦争に対する事実を風化させないよう、 習慣としても、制度としても残していこうとする人がいるからこそ。
忙しい日々に追われて忘れがちなこの事実を思い出させてくれるという、 このお盆休みの時期は、いつまでも持っていたいなと思います。 持っているべき何かを忘れないために。
はい。今日は晴れときどき曇り。(東京地方)
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