Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?|それまで|これから
2002年09月28日(土) |
キミは知っているか?教育テレビを縦横無尽に駆けずり回った1人の青年を! |
その男は黄色いジャンパーに青いジーンズという出で立ちで突然お茶の間に姿を現した。鼻にまでズレ落ちた眼鏡を掛け、目をぎょろぎょろとせわしなく動かす。お世辞にも水もしたたるナントヤラ、とは言えないが愛嬌のある顔と仕草はテレビを見ているチビッコから絶大な支持を集めた。愛車「チョーさん号」にまたがって全国津々浦々の商屋に居候、地図を書くぞと東奔西走。ドジでおっちょこちょいだけど、とっても楽しい男、その名は「チョーさん」!
ご存知の方も多いだろう。チョーさんとはその昔、NHK教育テレビの「たんけん ぼくの町」という番組で大人気を博した「あの」チョーさんのことである。私はチョーさんに対しては特別な思い入れを持っている人間である。教育テレビの番組なのにコントを観ているかのような楽しさ・面白さがあった。
もともとは小学校3年生向けの社会科の番組。私の学校では授業教材としてしばしば教育テレビを見せてくれていた。だから小さい頃の私はよく「どうか私が3年生になるまで『たんけん ぼくの町』が続きますように」と祈ったものだ。 幸いにして「たんけん ぼくの町」は私が3年生になっても放送を続け、5年生になった頃に終了した。何年続いたか記憶が定かではないが、長らく楽しませてもらった。
チョーさんのギャグはとにかく体当たりである。誤って水田に落っこちたり、下り用のエスカレーターを必死に駆け上がったり、その他飛んだり跳ねたりの捨て身の特攻が笑いを誘う。他愛ないスラップスティック・ギャグなのに、それが嫌らしくない。これはコメディアンとして最高の技能を持っていると言えるのではないだろうか(チョーさんは別にコメディアンではないけれど)。オーバーアクションなのにわざとらしさを感じさせないということは生半可な芸人のできることではない。おそらくはチョーさんの生まれ持った天賦の才なのだろうけど実に素晴らしい技能だと思う。最近の若手芸人にも是非とも見習って欲しいことである。因みに私の心の中では渥美清とチャップリンとドリフとチョーさんは等価値として違和感なく存在している。それほどまでにチョーさんの笑いの醸成能力は高いのだ。
「たんけん ぼくの町」が終わって以後もチョーさんは夏休みによくやる「子供電話相談室」といった番組に出ているのを見かけたがいつからかぱったり姿を見なくなった。どうしているのかなと思っていたが3〜4年前に近頃は声優業を中心に活躍されているということを知った。あのチョーさんがまさか声優をやっているとは努々考えていなかった。その声を聞く機会がなかなかなかったのだが、この間「オクトパス」という外画を観ていたらチョーさんが切れたテロリストの役を吹き替えていて驚いてしまった。「チョーさん」のイメージがあるだけに、結構ショックであったけど、なにより御健在であることを知って嬉しい限りである。こういう個性的な声が持った声優が最近減ってしまっているのでもっともっと活躍してくれることを心より願っている。
小さい頃の私に喜劇的感覚を決定付けさせた「たんけん ぼくの町」は忘れ得ない作品である。最高の娯楽番組としていまでも心の中で輝いている。これからもきっとそうであろう。いざ歌わんかな、チョーさんの永久なる青春を!
橋本繁久
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