Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?|それまで|これから
2002年10月31日(木) |
アニメソング自由闊達 鳥山アニメ編 |
さあみなさんおまちかね!アニメソング感想の第三弾でごさ〜い。今回は「Dr スランプ アラレちゃん」と「DRAGON BALL」を「鳥山アニメ」と一括りにしてご紹介しちゃいます。御用とお急ぎでない方は、ずずずぃ〜っとお楽しみくださいませ!
●ワイワイワールド 作詩/河岸亜砂 作曲/菊池俊輔 編曲/たかしまあきひこ 歌/水森亜土、こおろぎ'73
「アラレちゃん」ときたら、これを紹介しないでどうする!って程の曲。何なんだ、あのイントロは。もう、たまりにたまったエネルギーが爆発したくてたまらない、その一瞬の躍動を五線譜に収めたといった感じかな。そんじょそこらの出だしとわけが違います。以降のメロディーも明朗で軽快で楽しくて、何より元気が出てくる。いいよねこういう雰囲気。そして、あの後奏ですね。私はね、この曲全体を見渡してみても、後奏が一番好きなんだよね。ほっと一息つけるような、でも永遠にばたばた駆け回ってもいるような、世界そのものを俯瞰でとらえている感じを受けます(少し持ち上げすぎだろうか)。前にも言ったけどこの曲、作曲が菊地俊輔、編曲がたかしまあきひこという布陣。菊地がつくった流麗で人の心を捉えたメロディーを、たかしまがポップでノリのいいリズムに見事にアレンジしている。この2人のタッグは最高だね。何にも勝るものなしだ。 歌詞のほうですが、ぶっ飛んでますね。いかにも80年代的な勢いだけで中身なし、ってな印象ですが、この曲にはこれくらいの荒唐無稽さがちょうど良いのではないでしょうか。アラレちゃんはパワーの塊である訳だし。細かいこと考えない、気にしない。とりあえず集まっちゃおう、ペンギン村というワンダーワールドに。どんなことがおこるかは来てみて(チャンネルをあわせて)からのお楽しみ・・・ああ、ホントにいいなあ。 そんでもって、歌っているのは”あの”水森亜土ちゃんなのだ〜!何故に亜土?ってな気もするけど、とってもユニークでしかも人をわくわくせさせる歌唱力もっているから何ら問題なし。素晴らしい。あと、わすれちゃならんのがこおろぎのコーラスね。これも特筆ものだよ。「みんな集まれ、ペンギン村に・・・」からの高揚感の盛り上げ方なんか神品だよ。いいグループですなあ。ずいぶん前に解散しちゃったのが何とも残念。 余談だが、この曲は劇中で小山茉美の演じるアラレちゃん自身が歌ってたりもしたけど、こっちも味があってよかったなあ。
●ワイワイワールド(リメイク版) 作詩/河岸亜砂 作曲/菊池俊輔 編曲? 歌/水森亜土
これは93年春に映画として「アラレちゃん」が復活した際に、新に作り直されたバージョン。と言っても作詞・作曲は全く同じでアレンジが別な人(名前を失念してしまった)なのと、こおろぎのコーラスが抜けているのが変更点。でもこの変更がはっきし言って痛かった。新アレンジを施した人には悪いが、やはりたかしまあきひこは偉大だった。この曲にはオリジナルのような「勢い」がない。軽快さが足りない。なんか間延びしている印象を受ける。 こおろぎの見事なハーモニーに聞きぼれている私にとっては、彼らが不在なのも何とも不味い。やっぱ高揚感が足りんよ。水森亜土が健在なのは誠に喜ばしきことだがどうせなら彼らにも参加してほしかった(もう解散した後だと思うけど)。
●わいわい行進曲 作詩/河岸亜砂 作曲/菊池俊輔 編曲/たかしまあきひこ 歌/小山茉美.コロムビアゆりかご会
「ワイワイワールド」に代わって主題歌を務めた曲。非常に良く出来ているのだが、先代があまりに良すぎたので今ひとつ・・・な曲。いや好きなんだけどね。小山茉美も上手いし。でも、いかんせんインパクトが足らんのだよねぇ。う〜ん何とも残念だ。でも冒頭のアラレとセンベエの掛け合いは文句なしに大好きだ。物凄くノリノリなんだよね。
●あれあれアラレちゃん 作詩/冬杜花代子 作曲/サタンタ 編曲/たかしまあきひこ 歌/水森亜土、こおろぎ'73
「アラレちゃん」を見てひとしきり笑った後に待っているのがこのエンディングである。オープニング・本編のとんでもない勢いがウソのようにウイットに富んだ歌が静かに、穏やかにかなでられる。ここら辺のさじ加減はお見事としか言いようがない。水森亜土の歌唱はどこか寂しげでさえある。「ホントは (これナイショ) ロボットよ」のところなんかグッと来るもんなぁ。アラレちゃんは天真爛漫だし、人間じゃないことなんか歯牙にもかけてもないだろうがそれでも一応他人には言えない秘密があるわけで、そのつらさをこの歌詞は上手く体現できていたと思う。「ワイワイワールド」とこの曲は表裏一体、両方聞いて初めてその真価がわかる。
●アラレちゃん音頭 作詩/満都 南 作曲/菊池俊輔 編曲/たかしまあきひこ 歌/小山茉美、コロムビアゆりかご会
キタ!「ワイワイワールド」に勝るとも劣らない強烈なインパクトのある曲が!!私が小さい頃、盆踊りで踊る曲といったらもっぱらこれか「一休さん」の夏祭りバージョンだったね。地域によってはいまだにこの2曲を盆踊りで使っているとこもあるんじゃないのかな?それぐらい知名度も高いし、曲としても完成されている。もうこれ以上、音頭系で優れた歌曲は生まれないだろうねえ・・・時代が時代だし。歌詞なんか相変わらず無茶苦茶だけど(文字通り”めっちゃんこ”だな)そんなことの有無を言わさぬ凄みがあるもんね。どこまでも陽性。親しみやすく、馴染みやすい。そして小山茉美が完璧にアラレちゃんになりきって歌っているからかなわない。素晴らしすぎる。これ以上何を望めと言うのだ。克目して聞くべし。あ、忘れていたが内海=センベエ=賢二の合いの手も重要なポイントですよ。「あ、それぃ!」となんとも小気味良いのだ。
●いちばん星み〜つけた 作詩/河岸亜砂 作曲/菊池俊輔 編曲/たかしまあきひこ 歌/水森亜土
情感たっぷり、メローな歌。この曲聞いて感傷的にならない人はいないんじゃないかって思うほどセンチな感じだね。でも私は否定しない。むしろ好き。誰もが幼き日に過ごしてきた日常。大人になった今ではそれは過去のことでしかないけど、あの日々の思い出はどこまでも暖かく優しく人を包み込んでくれる―この曲はそれを奇をてらわず表現している。ああ、私は小さい頃、何を考えていたのかな。
●摩訶不思議アドベンチャー 作詞/森由里子 作曲/池毅 編曲/田中公平 歌/高橋洋樹
凄いぞこの曲は!イントロのリズムの良さ、あれは一体何なんだ?カッチョ良すぎる!んでもってシンバルの音だよ。「ボォォ〜ン」て奴ね。タイミングが絶妙に良いんだよね。そして怒涛の本編に突入する。構成が完璧だなあ。歌詞も良いぞ!いかにもわくわく感を焙り出してくる感じで魑魅魍魎、奇々怪々、摩訶不思議な世界を筋斗雲にのった孫悟空が駆け巡る姿がありありと浮かんでくる。一番の聴きどころは「Let's try try try・・・」からの解放感溢れる歌唱だね。 またまた余談だが冒頭の燃え盛る太陽の炎のタイトルバックもこれから始まる大冒険へのマグマの如き胸の高鳴りを予兆させて見事にマッチしていた。
●ロマンティックあげるよ 作詞/吉田健美 作曲/池毅 編曲/田中公平 歌/橋本潮
ついにこの曲がきたか・・・ウルトラ級に好きだ、この曲。歌っているのはブルマ役の声優さんではなく、橋本潮という人なのだが(他では『エスパー魔美』などが有名)曲のイメージは完全にブルマから視聴者、特に少年へのメッセージである。ティーン・エージャー必聴の歌だよなあ。厭世的な現代の子供達に対する痛烈なカウンター・パンチになっている。「もっとワイルドに もっとたくましく 生きてごらん」てのはつまり悟空のように生きてごらんと言っているわけである。悟空のように素直に、変に構えたりせず、格好もつけず、穿ちもせず、正直に―と言ってもバカというわけではなく―生きなさいよ、そうすれば「ロマンティックあげるよ(意味深長)」なのである。悟空の取り巻きの中では最古参のブルマの独白だからこそ実に説得力のあるメッセージになっている。「大人のフリしてあきらめちゃ」、奇跡は起こらんよ!
あとがき 「え?もうこれで終わり?」とか思っている人、いるかもしれませんが(100%いないが)これで終わりです。「まだ『DRAGON BALL Z』とか残ってんじゃん!」いう人もいますと思うけど(2000%いない byイエローキャブ社長)私自身「Z」以降の曲はあんまり好きではないのです。やっぱりアニメソングは80年代までだよなあ。渡辺宙明、渡辺岳夫、菊地俊輔、小林亜星、山本正之らが第一線で活躍していて、歌手のほうも水木一郎、ささきいさお、串田アキラ、子門正人、大杉久美子、堀江美都子あたりがバリバリやっていた頃が一番良かった。アニメと曲は決して乖離せず、アニメソングは本編を盛り上げ、本編はアニメソングをより魅力的なものに仕上げていた。「あの頃は良かった」なんて絶対言いたくないんだけど、それでも今のアニメソングはなあ・・・と嘆かずにいられない21歳大学生(どんな肩書きや・・・)なのであった。
橋本繁久
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