Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?それまでこれから


2003年03月01日(土) 一年以上ぶりにテレビの話をしよう

ここ数日撮り溜めておいたものやレンタルしたもの等を一括して視聴。以下にその感想を記す。

○シャーロック・ホームズの冒険 「高名の依頼人」
最近、特に気に入っている作品。10年程前にも好きで観ていた記憶があるのだが、流石に個々のエピソードは覚えていない。そのおかげで今回もまた新鮮な気持ちで作品と接することが出来たのだから”忘れる”という行為もあながち捨てたもんじゃない。

それにしてもこの番組に臨む製作スタッフの熱意ある取り組みには毎度々々感心してしまう。驚嘆すべきことに、19世紀イギリスの独特の雰囲気をほぼ完璧に再現しているのだ(と言っても本当にその時代の空気を感じたことはない。当たり前の話だが)。あの、ロンドン特有のどんよりとした空模様。霧がかった街並み。足早に行き交う人々、それに群がる乞食。ややもの悲しいオープニングのチェロ。リズミカルな音色を刻む馬車。立居振舞が麗しい英国人紳士と淑女、そしてその口元から流れ出るこれまた麗しいネイティブイングリッシュ(勿論私たちは日本語として聞いているわけだが翻訳スタッフが逐次正しい日本語に訳しているのでドラマの品格は保たれている)・・・我々の歴史的好奇心を巧みにくすぐり、見事に熱気溢れる奇妙な推理冒険の旅へといざなうのである。

少々前置きが長くなってしまったので感想を急ごう。今回の敵(?)は掛け値なしの卑劣漢・グルーナー男爵。ストーリーには推理物としての面白味はあまりないが、このグルーナーを徹底的な悪人として位置付け、正義の使者シャーロック・ホームズとの対決色を強めることによって娯楽作品として成功している。自らの身辺を探り始めたホームズに危険だからやめろとのたまうグルーナー(つまり痛い目にあわせるぞ、と脅迫しているのだ)に対して、即座にグルーナーのタバコの吸い方の下品さを指摘するホームズ、そして罠にかけるつもりが逆に罠にかかってしまったワトソンの大ピンチに燦然と登場するホームズ(しかも重症の体に無理をおしてである)のかっこよさ。ゴロツキ・クルーナーの最期はかつての情婦に頭から硫酸をかけられるという哀れなものであったがその始終を同じく僅かに硫酸が付着したグルーナーの肖像画に焦点をあわせて描写処理する演出も良い。カタルシスを感じさせる最も優れた手段である勧善懲悪劇として非常に良く出来た作品であった。題名でもある高名な依頼人の正体は最期まではっきりとは明かされなかったが、ラストに写った紋章を見る限りイギリス王家並の高貴族であることには間違いなさそうだ。

○未来警察 ウラシマン 「挑発! 南の島に吹雪」
ハワイで雪を見たいという理由だけで吹雪を起こさせるルードビッヒはやはりただの悪党ではない。原因調査に乗り出すリュウの前に現れる老練の刑事、その名もコロンボならぬコロンダ。演ずるは内海=則巻センベエ=賢二。「キャッツ・アイ」の課長もそうだけど、この人は今回のような少しやかましい上司の役が良く似合う。経験に裏打ちされた熟練の冴えをみせるコロンダと、若さとカンだけが頼りのリュウのでこぼこコンビ、これが不思議な異化作用を引き起こす。2人の活躍で事件は無事解決。ハワイでのバカンスが再開されるが肝心なところでへまをやらかしたリュウは独り包帯巻きで海辺に取り残される。これぞシリアスとコミカルの間を縦横無尽に跳躍する「ウラシマン」の王道ストーリーなのだ。

○逆転! イッパツマン 「ピンチ一発 大逆転」
大好きなシリーズの第1話。初回ということで各キャラクターが登場する折に名前の字幕が写るのが妙な統一感を醸し出す。ギャグのほうは出だしだけあってまだノリきれてない感もするがそれでも一発ギャグは最高の切れ味を見せる。初っ端から山本正之節が全開なのも嬉しい。シリーズ全体ではあまり使われなかった武器・レインボールの勇姿が見られる点においても貴重である。

○家政婦は見た!
これまた大好きなシリーズ。今回も見事なドロドロっぷり。表向きは清廉かつ善良な人物の、実は虚飾に満ちた人生。彼をつなぎとめていたのは愛でも肉親の情でもない、ただのお金だったという悲劇。上流階級に与する人物の典型的な崩壊劇をシニカルな視点で捉えつつ、あまりジメジメと描かないところがミソ(ドロドロではあるけれど)。ただ今回は相手があまりにも可哀相だったので見ていて居た堪れない気持ちにもなった。このシリーズで個人的にベストの作品は大空真弓が熟女を演じた話なのだが、なかなか再放送してくれない。というか再放送されても単に気付いてないだけなのかもしれないが。

○帰ってきたウルトラマン 「ウルトラマン夕日に死す」「ウルトラの星光る時」
全ウルトラマンシリーズ中最も衝撃度が強い前後編のひとつである。今までに何度も見ているが卑劣なナックル星人には今でもはらわたが煮えくり返る思いがする。坂田兄妹を失った新マンがナックル星人によって張り付けにされ、連行されてゆくシーンで前編は終わり。こんな絶望的な「引き」の描写で終わってしまっては本放送で見た視聴者たちはさぞかしショックだっただろう。その代わりと言ってはなんだが後編は前編での溜飲がいくらか下がる展開となっている。ナックル本星で処刑のときを待つ新マンの前に初代ウルトラマンとウルトラセブンが颯爽と駆けつけるのだが、このときの頼もしさと言ったら!坂田兄妹を失った新マンに対してまるで「お前は決して独りじゃないんだぞ」と励ましているかのようだ。そしてその「励まし」を受けた新マンがたった一人でナックル星人にリターンマッチを仕掛けるのもポイント高い。以降のウルトラシリーズでは主役のウルトラマンがピンチに陥るとすぐさま先代のウルトラマンが駆けつけて共闘を展開するパターンが多くなる。娯楽作品としてはそれでも良いかもしれないが、今回のような私情が深く絡んでいるケースにおいてはやはり主役1人で決着をつけるのがベストである。この再戦で新マンがナックル星人にあびせたストレート・パンチほど血沸き肉踊るシチュエーションはない。まさしく上原正三が帰マンのために用意した事実上の最終回として、本作品は完結の域に達したのである。
話題は変わるが最近「帰ってきたウルトラマン」はDVDが発売されたり、テレビブロスで特集記事が組まれたり(私は読んでないけど)とつぶさに熱気を帯びてきたようである。ドラマパートがしっかりしている作品なので是非再評価してもらいたいものである。

○レディス4 (2/28日分)
涙、涙の高崎一郎降板の日。1983年のスタート時より今日まで番組を支え続けた彼がいなくなるのは相当の痛手だ。思えば、午後4時という、最も気だるい時間を気だるいままに突き抜けた気持ちにさせてくれる稀有な番組であった。高崎氏の流暢な英語発音は耳ざわりがよく、その滑らかな語調を聞くのが毎回の楽しみであった。降板の理由は健康状態が思わしくないからと聞いているが、これからはゆっくり休養して、元気になったらゲストでもいいからこの番組に返ってきてほしいものである。久米宏だっていったんニュース・ステーション辞めてまた返ってきたんだから(ちょっとケースが違うけど)。何はともあれ、本当にお疲れ様でした。

○めちゃイケ (数取団+笑わず嫌い後半)
前回の笑わなず嫌いは期待に反して消化不良の点が多かったのだが今回はかなり楽しめた。特に面白かったのは「カンニング」というコンビ。自虐ネタは古くからよくある手法だが開き直って無茶苦茶言うあたりが新鮮。太ったほうの人(名前失念、失敬)がもうちょっと滑舌をよくすれば充分ゴールデンでも通用するコンビだと思う。それ以外でもマギー審司の見せ掛け手品ネタも面白かった。ふかわも久々に本領発揮。そうなんだよ、もともとふかわはこういう笑いの系統なんだよな。彼が駆け出しの頃にやっていた電波少年の「無敵のセールスマン」なんて本当に面白かったもの。それがいつからか変なポジションに変わっちゃって私としてはいつもじれったかった。まあ、ハングリー精神があんまりなさそうなので、弱肉強食の芸能界には本来的にあわないのかもしれないけど、あの独特の空間を作れる人間はそうそういない。個人的には応援しているので是非頑張ってほしい。ともあれ、今回のめちゃイケは総じてなかなかの出来であったと言えるだろう。


橋本繁久

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