Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?それまでこれから


2003年09月05日(金) 復讐と誤読

★ウルトラマンA 第48話「ベロクロンの復讐」をレンタルして観た。10数年ぶりだが、実に面白い。市川の書いたシナリオは皮肉に満ち満ちているし、菊地昭康の演出も異様なアップをはじめ、全編にわたってケレン味たっぷりの仕上がりとなっている(菊地氏がウルトラシリーズで演出した作品が全部で2本だけなのが惜しい。もっと受け持ってもらいたかった)。普通、こんな演出をやられても鬱陶しいだけだが、今回のような異色回にはまさしくもって相応しく思える(特撮シーンのボクシングと相撲風味の擬斗だけはやりすぎな感もあったが・・・)。女ヤプールの「勝った者は負けた者の・・・」のセリフには「A」を喧嘩降板した市川の怨念が滲み出ていて非常に印象深い。唐突に終わるラストシーンも出色の出来で、エースファンには堪えられない優れた作品であることを再び実感した。

★北野武版の「座頭市」が公開されるらしく、某日新聞にデカデカと宣伝広告が載っていた。例によって芸能人の絶賛コメントも載っていたのだが、その中の1人、中川家の弟・礼二の言っていることがどうもおかしい。一応、著作権のことがあるので原文をここに書くのは控えるが、文章が途中で空中分解してしまっているのだ。文をあくまで純粋そのままに読むと、前半では北野監督の器用さを褒め称えながら、後半では映画そのものの評価に論旨がすりかわってしまっている、ということになる。例えて言うなら、どこかの店でカレーライスを食べたあと、「とてもハンサムで背も高く、スパイスの効いた美味しいカレーです」とコメントする、”前半はカレー屋の店主の評価、後半はカレーの味の評価になっている支離滅裂な女子高生の文章”と同じようなものだ。これはおそらく元々の礼二のコメントを変な具合にはしょってしまったために起こってしまったミスであろう。せめて文頭に「北野監督は」と付け加えておけば前後の流れも多少はスムーズに繋がっただろうに、このままだと前半部分の主語が”映画”だと誤解されても仕方がないと言える。こんな文章をそのまま紙面に載せてしまう広報担当は問題大ありである。某日新聞を採っている方、あるいは他の新聞でも「座頭市」の広告が載っているものをお持ちの方は是非ご一読願いたい。


橋本繁久

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