Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?それまでこれから


2003年10月24日(金) 老兵の哀歌

小泉総理が中曽根元首相に引退を勧告し、中曽根がこれを拒否したことでまたもや自民党が揺れている。昔に例えれば田中角栄のような存在である中曽根が、若造の小泉(と言っても60を越えているけど)に引導を渡されるのが面白くないのはわからないことではない。しかし、これから先も議員活動を続けることは間違いなく老醜を見せることに符合するであろう。「立つ鳥あとを濁さず」の精神でいけば、これほど良いタイミングの引き際はないのではないか。
そもそも中曽根の政治家としての役割は、バブルがはじけた10年以上前に既に終えていると言ってもいい筈である。あの独特のタカ派政策は日本の景気が良かったからこそ通じたものであり、従って現代の厳しい風潮においてはセピア調のそしりを免れないないだろう。自民党自体も彼が総理を務めた20年前とは大きく様変わりしている(あるいは様変わりしていると有権者に思わせようとしている)。中曽根の影響力だって低下しているだろう。もし今議員を辞職すれば、人々の記憶にはそれ相応の実績を残した人物として、若干のセンチメンタルな感情から生じる甘美な惜別の情とともに後世まで残るに違いない。そう考えれば、寧ろ今こそが辞める絶好のチャンスなのだ。歴戦の政治家・中曽根にとって男を上げるか下げるかの最後の分岐点がここにある。できることなら老兵は醜態などさらさずに、哀歌でも歌いながらイキに去っていってほしいものである。


橋本繁久

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