Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?それまでこれから


2003年11月27日(木) コマーシャルの墓穴

中部電力の「コミュファ」のコマーシャルはいただけない。
特にラストでタレントの優香が商品名を連呼するバージョンは悪趣味に近い。

知らない人(多分いないと思うのだが)のために一応説明しておくと、このコマーシャルは中部電力の光ファイバーの接続サービス「コミュファ」の販促のためのもので、BGMと供にカウ・ボーイ風の衣装をつけた優香が「コミュファに入ろう」だの「まだ入ってないの?」だのと言いながら縄に見立てた光ファイバーを家やマンションに投げ込む、といった風体のものである。

私がこのCMを嫌う理由は主に3つあって、ひとつ目には商品名を連呼するのが嫌だ、ということが挙げられる。広告は今やイメージで勝負する時代だというのに、「商品名(サービス名)を連呼して視聴者の頭に名前を焼き付けさせる」という手法はあまりにも前時代的で古臭い。旧体制の匂いがこびりついている様で何だかとっても気味が悪く感じるのだ。
2番目の理由はこのCMに優香を起用したことである。断っておくが、私は別に優香が嫌いなわけではない。では何故これがいけないかというと、優香はもう「コミュ・コミュ・コミュファ」などと言うべき年齢ではないからだ。あるいは「コミュ・コミュ・コミュファ」とカメラ目線で(しかもドアップで)言うにはメディア的に新鮮味が薄すぎるからである。この意見には賛同してくれない人も多いかもしれない。だが、考えてみて欲しい。これが例えば米倉涼子であった場合を。多分違和感の度合いは高まるであろう。では、もう一歩踏み込んで、松島菜々子が「コミュ・コミュ・コミュファ」という役だったらどうか。違和感はもっと増幅されたのではないのだろうか。要するに一定量マスコミに出た人間には必ず「すまし」た部分が出来上がっており、それ故珍奇な行動を取ると、どうしても変な違和感が生じてしまうのだ(もちろんお笑い関係の人間は除くが)。そしてその違和感はタレントのメディアに露出した年数×量に奇麗に比例する。
これは「ヤフーBB」の広末涼子にも言えることであり、コマーシャルの最後、彼女は「BBしよ!」というのだが、今さら広末に「BBしよ!」と言わせるのは不憫である。まだ若いとは言え、彼女は少なくとも7年以上はテレビの風にさらされ続けてきたのだ。こんなセリフはもっと駆け出しの、そこら辺にいるグラビアアイドルに言わせれば良いのである。それでは知名度の面で困ると言うのなら、彼女達に「コミュ・コミュ・コミュファ」とか「BBしよ!」などと言わせてはいけない。普通の日本語を喋るコマーシャルにするべきである。

そして理由の第3は(これが一番重要なのだが)このコマーシャルの放映量がオカシイぐらいに多いということである。中部電力はこの「コミュファ」の宣伝に気張りすぎるほど力を入れているらしく、1日に流される「コミュファ」のコマーシャル量は異常なまでの乱発傾向にある。提供・スポット併せてもう何遍見たか分からない。現在、中部地方はテレビをつければ「コミュ・コミュ・コミュファ」の状態である。コマーシャルは沢山の人に見てもらうのが目的だから、より多く電波に乗せようと言う考えは間違ってはいない。しかしそれも程度問題で、過ぎたれば優れたコマーシャルでも嫌悪感のほうが強くなってくる。まして「コミュファ」のような出来の悪い作品なら、例え商品自体が優れていたとしてもコマーシャルのみを見れば悪感情を持たれてしまうだけであり、当該の理念から考えれば全くの逆効果である。企業はここらへんのことをよく踏まえて、でしゃばり過ぎず、かといって引っ込みもせず、良い按配で効果的な宣伝をすることに知恵を絞るべきである。特に、その商品に自信を持っているのなら。


橋本繁久

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