夕べ深夜に買い物に出た ちょうど出ようと思っているところへ 友人がメールをくれたので 少し遠回りをしてふたりで歩いた 涼しいけれど湿気が多いせいか あまり爽やかな空気ではなかった
おしゃべりをしながら もう閉店して暗くなった 量販店の広い駐車場を抜け その先にあるスーパーを目指していた 左手にはコインランドリーの建物 そこを通り過ぎるとき 若い女性の声が何かを言った
わたしはてっきり 建物の陰に誰かがいて 携帯でも使っているのかと思い 通り過ぎながらそちらを見ると エアコンの室外機があるだけだった 友人にそのことを告げると 子どもも亡くなってるんだからやめて と突然スタコラ先を急いだ
少し前にその駐車場で事故があり 小さな子どもが亡くなった 随分前には量販店の店長が 駐車場に停めた車の中で亡くなっていたそうだ そしてごく最近 そのお店は火事に見舞われて しばらく閉店していたのだった
けれど聞こえたのは女性の声と思ったので そんな事件とも結び付けようがなく わたしの右側を歩いていた友人は 言われてみれば聞こえたような気がする程度 姿が見えないとなれば 何と言っていたのか もっとちゃんと聞いておけば良かったけれど せいぜい5文字程度の単語が 言葉の繋がりの中から浮き出てきたような感じだった
キクの気配を感じることはあっても いわゆる霊感などはほどんどない 今の家だって 独り暮らしだった家のお母さんが 亡くなったままの状態をそのまま借りたぐらい どちらかと言うと超鈍感なわたし 怖いのはむしろ死んだ人よりも 生きている人間の方だと思っている
肉体という乗り物を持つ存在が 自分でも把握できない無意識に 突き動かされてしでかす事の方が よっぽど恐怖だったりする もちろんそれが 予測できないような 素晴らしい結果に繋がることもあるけれど
その後 いつもの持病が悪化して 背中を踏んでくれと言う友人に従った この症状を出さずにはいられないほど ストレスを溜めてしまう無意識を どうにかしろよと思いながら 渾身のちからを込めて 見えないものと向き合ったのだった
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