ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2004年10月27日(水) OTHER SIDE

子ども達を送り出してから
今日は何から手をつけていいのか解らず
とりあえず洗濯をしながら
ぼーっとテレビを見ていた
その中で竹の籠に和紙を貼り
柿渋で染めた容器が出てきて
それを壁紙に応用できないかと思った

元の下のコの部屋は
よくある茶色の繊維壁で
キラキラした金が混じっていて
印象がとても暗いのが気になっていた
以前本職に見てもらった時は
溶剤を使わないと剥がせないと言われ
専用の道具も必要みたいで
手が出せない気がした

もともと繊維の壁だから
和紙が貼れたとしても
結局同じことだと思いなおし
ムスコが工作で使うような
軽い紙粘土をつけたらどうだろうとか
あれこれ考えているうち無性に
今の壁を剥がしたくなって
古いノミでこすってみた

割合に厚い繊維は
その下のモルタル状のなかに入り込んでいて
すっきりとは落とせないけれど
仕上げにやすりをかければ
なんとか綺麗になりそうな雰囲気
床はクロスを剥がしてから拭いただけで
畳の部屋と同じように
もう一度丁寧に洗わなければならないので
やるならこのタイミングが丁度いい

もうそれからは夢中で作業
音楽が必要と思い
昔のCDを引っ張り出した
久々にレッチリやドラゴンアッシュで
作業はどんどん進む
勢い余って指を擦り
血を流しながらも
やめられない止まらない

お昼で帰った上のコの第一声が
は?
だったけれど次には瞳を輝かせ
制服のままで参加しようとしたので
着替えてマスクをするように指示
壁ひとつあげるから選びたまえと言うと
一番面積の広い所を指差し
乙女座らしく几帳面に
角から綺麗に剥がして行った

5時間目を終わって帰った下のコは
すぐに友達の家へ遊びに行ったものの
夕飯を待つ間も
食べ終わってからも
わたしが剥がした続きをごつごつ
音が響くので
夜はやめようということになり
後はまた明日のお楽しみ

昨日はすっかりしぼんでいたけど
夕べ夢の中に
素敵な生活をしているひとが出てきて
しみじみそれが羨ましかった
そのひとはガラス工芸の作家で
色とりどりのモザイクタイルみたいな庭石や
作品を展示したレンガ造りの一角
すりガラスの中に赤いキューブが浮かぶ
家の中のオブジェなど
生活の全てにオリジナルの手作りが溢れていた

ここまでするには
どれだけの手間と時間が掛かるだろう
到底わたしには無理だと
打ちのめされた夢だった
壁紙を剥がしながら
その夢がありありと浮かんできて
誰だか知らないその人は
わたしの望むビジョンのひとつを
具体化してくれていたのだと思った


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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