わくわく館の中庭に手を入れた 4方の部屋の窓に囲まれて いろんな緑が雑多に植えてあるそこの 真ん中辺りに砂利の小山があって それをどうにかしなければというのが Hさんの一番の気がかりなのだ
中庭には水道がないので 台所から長いホースをひっぱって ザルに入れた砂利を洗っては 犬走りのコンクリを埋めていく作業 Hさんが掘る係りで わたしが洗う係り 一緒に作業しているうちに その場で自然と役割分担が決まるようになった
けれど その半端じゃない量に 大仕事の予感がひしひし 次第に口数も少なくなり 腰は痛くなり 別の作業でブレイクを入れないと とても続かないのだった
なのでわたしは 朝のうちいつもの家具捨て場で拾ってきた 椅子やテーブルを洗い Hさんは 延び放題のバラを剪定 それからお昼を作って食べながら 途中まで掘った庭を眺めた
ちょうどあの掘った辺り あそこに桜の木を植えようよ ほんとだよねいいよねえ まるでもうそこに 枝を広げた桜の木が見えるようだけど 苗木を植えても すぐ花が開くとは限らない
でも 春になるたびに 初めての桜を待つのも悪くない
|