黒雲が北の空に広がった早朝 郷公園に向かう直線道路を 自転車で走っていると 一瞬雲の切れ間から 光が差し込んで 建物のある付近を照らした
いつも見慣れている風景の中に スポットライトが当たった 誰も見ていないその情景が あまりにも綺麗で 思わず胸がいっぱいになった
昨日準備しきれなかった荷物を持って 何度かコウノピアと 駐車場の販売テントを往復するうち パッキングした商品を積んで 観光協会の車がやってきた
途中で午後から手伝ってもらう予定の Hさんがナイスタイミングで来たので 朝から販売をお願いし わたしは行ったり来たりする間 宮様がご購入になる商品のことで 県の秘書課の人と打ち合わせ コウノピアに足止めされて気が気じゃなかった
お昼にご購入決定の商品を持参し 代金を戴き領収書とおつりの準備 それからいちど包装した商品の値札を全部はずして お渡しするのは3時と言う とてもそれまでじっと待っている訳には行かず ゲートの外へ移動できるタイミングを 事務所の人に誘導してもらった
放鳥の瞬間はひとり金庫番だった けれど最初の一羽は テントの中からでもよく見えて 一度円山川方向に飛んだあと ぐるりと旋回してサービスしてくれたし 他の二羽はお互いを意識するように 空中で優雅に舞っていた 野生よりはどこか頼りなく 風に煽られそうなのもいたりした
来る人はみんな コウノトリが目的なのだけれど それはいつものコウノピアも変わらない 本当についこの間まで 売れなくて困っていたのがうそのよう 切れそうな気持ちをようやく繋ぎながら やっとこの日が来た
稼げない間に辞めなくて本当によかった けれどいつかこの盛り上がりも消える コウノトリグッズも目新しいものでなくなる その時は コウノトリがもっと 身近な存在になった時だろうけれど
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