あっという間に月末 間近に特別公開を控えているので どうやらまた 販売しながらの締め作業は無理そうと 書類を持ってわくわく館へ 5日には渡さなければならないから 今日中に目途をつけたいところ
お客さんが増えて どうしてもその日の集計が終わらず 先送りにしているせいで 単純な計算ミスもぽろぽろ そんなのがひとつひとつクリアになっていき 何とか5時には大方終えた
それはともかく ちょっとした楽しみを入れようと お昼にランチのコースを食べた 誰かが作ってくれたものをいただく もうそれだけで嬉しく 目新しさも楽しめたのだが お店を出た後味はあまりよくなかった
カルパッチョにキャベツ 塩気の強すぎるクリームパスタ グラニュー糖が掛かりすぎて がしがしと氷を割るみたいなブリュレ どれも小さなことなのだが ちょっと日常を離れた優雅さを味わうには どうなのかという思いが 皿が進んで行く度に積み重なった
我慢して食べようとしたHさんの 料理の中の髪の毛を指摘した 茶色い強毛は明らかに彼女のものではなく 店長は謝って新しい皿に替えてくれた それは彼のものでもなさそうで 思わず最初に対応してくれた女の子の頭を 眼で追ってしまったのだった
気を取り直し味わいながら わたしだったらもう少しのお詫びを プラスするだろうなと考えていた しばらくして グラスワインをもう一杯注ぐとか デザートにもう少し楽しみを追加するとか
そう思うのは あまりにもあっさりした 詫び様だったせいかもしれない けれどたぶん その髪の毛の一件がなかったとしても お店の印象は変わらない 自分で作ったものを きちんと味わってみればすぐ分かることだ
日々流れるようにお客さんを迎える中で そのお客さんにとっては たった一度の来店が全てなのだ そう解ってはいても つい心を失ってしまうことがある ひとりの売り場をふと振り返ると 忙しくて切り捨ててしまったことなどが浮かび ちりちりと胸が痛んだ
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