ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2005年11月06日(日) 理想のリカバー

あまりにもいろんな事がありすぎ
全部はとても書ききれないが
寝ても寝ても疲れが抜けず
売り場から製作へのシフトが
どうしてもうまく出来なかったのを
吹き飛ばしてくれるような一日だった

その中でひとつ
まるでデジャヴのような一件が起きた
毎年シーズンには
牡蠣を買っているお店で
初めて食事をしたのだが
眼の前に座った友人の器から
茶色の髪の毛が出てきたのだ

済みませんすぐにお取替えします
そう言って器を下げた女の子は奥に引っ込み
少し時間が掛かることを
もう一度謝りながら告げにきた
しばらく待ったあと
その器だけでなく
汁椀と香の物まで新しいのを持って
お店の奥さんがやってきた

嫌な思いさせてしまって御免なさいね
いつも細心の注意を払っているつもりなんですけど
今度は安心して召し上がってください
そう言いながら
注文していない蒸し牡蠣を盛った皿を
お詫びにとテーブルに置いた
そしてさりげなく
初めて訪れたのかどうかを聞き
牡蠣の話なんかをした

こういう時
マニュアル的に理想の対応なんてのは
まずないだろうと思う
先日といい今日といい
続けてわたしの眼の前で起きたのが
偶然としてもできすぎていて
とても大切なことを
学ばせてもらっているのだと思えた

料理の中からズルッと髪の毛が出てくるのは
改めて体験してみると
相当ショッキングな図だった
それは例え料理が新しくなったとしても
すぐに消えるものではない
詫びの言葉
ちょっとした楽しみのプラス
そのことを離れて
お客さんの気分を解す何気ない会話

これは先日の店を
遥かに上回る対応で
理想的なマニュアルなんてないにしろ
かなりの好印象だった
料理は素材の味を生かした
とても美味しいものだったし
また機会があれば訪れるだろうと思う

けれど個人的には
会計の時に聞きたい言葉があった
ぜひまたお越しください
ミスをリカバーしてさらに
同じお客様をもう一度望む気持ちを込めた
その言葉に背中を押されて
帰りのドアを開けることができたら
もっと清々しくなれるような気がした


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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