和田山へ古物を見に行った 前回訪れたのはいつだったか あれから展示会で古物を売ったりして 見るものの範囲も随分広がった
あまり興味のなかった陶器も 古伊万里のしっとりした色合いが なんて素敵なんだろうと再認識 豪華な色使いの九谷もいいけれど 嫌味なく取り入れるには 余程のセンスが必要かもしれない
町家の部屋づくりに勤しんでいる友人は 掛け軸や箪笥や火鉢に時計と 手に入れたものをきっかけに いろんな知識も着々と仕入れていて わたしの視点とはまた違うから その感想を聞くのも楽しい
特に掛け軸は どんな絵が現れるだろうと するすると広げて見る瞬間がたまらない 上の方は裂けていたり穴だらけだったり とてもそのままは掛けられないと思う先に 簡素な鶴一羽や しっとりと嫌味のない色合いの虎が出てきて 思わず声を上げてしまう
たまたま先日訪れたお店に 絢爛豪華な虎の掛け軸があって 入り口を入ってぎょっとしたのを思い出した そういうものを置いて 小奇麗に出来た新しいスペース けれどしょせんはそれ風であって 底の浅いコンセプトは そのまま居心地の悪さにつながっていた
和室のしつらいは 引き算の美しさだと聞いた それを考えるとおよそ今のものは 誰にも解りやすく これでもかというような 押し付けがましさに溢れている気がする
一枚の絵の空白のスペース 部屋の中の何もない空間 そこをないままにするためには どうしたらいいんだろう むしろ あるものと同じくらいの密度で ないがあるっていう感じなのか
なんだか和をきっかけに 禅問答に入り込んでしまいそうだ
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