情報誌を見て連絡いただいたお宅に 古着物を取りに覗った 出掛ける予定があるそうなので 朝からの訪問となったが 箱に詰まった着物を前に お話はいつまでもとまらない
捨てることができないままだった着物は 業者からお話しがあっても断わり 知り合いにあげるのも迷惑かと ゴミの有料化を前に それでもいくつかは処分されたそう もう少し早かったらの言葉に 台風のあと随分沈静化していた 着物を救わなきゃの気持ちが 再びふつふつと湧き上がってきた
ご縁がなかったものは仕方がないけれど 今度の感謝祭では 着物を解いて服を作るということを もっと沢山の人に知ってもらいたい そうして箪笥の中の着物を もういちど手にして 記憶に埋まったあれこれに 光を当てて欲しいと思う
着物にまつわるあれこれは 業者がお金を払っても渡せないくらい 大切なものなのだろう なのに 初めて会ったわたし達に 惜しげもなく提供してくれる それはひとえに 大事に使ってくれる人がいるならとの 有難い思いからなのだった
湯のしをした綸子の小紋や ウールの羽織 用意したまま使わずとってあったという お宮参り用の子どもの着物 浴衣や同裏など 未使用の生地もあった どれも綺麗で きちんと仕舞われていたことが覗える
わたし達にとっては当たり前の 解いて洗って縫う過程も 具体的に解りやすく展示するという 友人からのアイデアをもとに 縫うという雰囲気も込みで ディスプレイに工夫を凝らしてみたい 話し合っていると イメージがどんどん膨らんで やることも増えてくる
無理のない範囲でと 改めて確認しつつ 展示用の古いトルソーも ヤフオクで落としたし 気分は次第に盛り上がってくるのだった
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