ゆりゆり日記
ただ知ること
過去にあつめたカケラで出来る絵は
その瞬間瞬間ごと
いつも完璧だということ
そうして明日を未来を生きていく

2006年05月09日(火) 麻の喪服

ヤフオクで落とした
黒い麻の5つ紋入り単が届いた
材料用としてはちょっと張り込んだ買い物で
数日悩んだ末
白麻はよく見るし人気もあるし
汚れていても漂白可能だが
黒は自分では染められないと判断
最初から少し高めの設定だったせいで
競わずに落とすことができた

それは喪服とあったのだけれど
正式の礼服に麻はおっけーなのか気になり
あちこち調べまくった
地方の斎場で
麻の喪服がセットになっているのを見た他は
夏の喪服は絽か紗との説明がほとんど

もともと喪服を着る習慣は
白の麻を着るところから始まったらしく
今でも韓国では
生成りに近い麻を着るらしい
特に現在の礼装として扱われている黒の一式は
呉服屋さんの仕掛けによるものと解った
シワになる麻が非礼との情報もあったものの
それがどういう所以なのかは定かでない

なるほど
例えばここらに来て初めて知った
節分にその年の恵方を向いて
巻き寿司を丸かぶりという習慣が
どうにも不自然だったけれど
もともとはなんの云われもなく
海苔屋さんの仕掛けだったというから
商魂は文化をも変えてしまうのかもしれない

着物は実に質のいい麻で
薄すぎず適度にハリもあり
それでいて光にかざした時の透け感と
墨のようなしっとりした色合いが絶妙だった
そのまま羽織ってみると
思わず背筋が伸びるような
とくべつな清潔感があった

喪服としてポピュラーでないなら
解いても後悔せずに済むだろう
むしろこんな素敵な麻を
普段に着られるようにしたい
形へのイメージはないけれど
憧れにも似た感情だけは
たっぷり湧いてくる


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ゆりすこ [MAIL] [吉祥堂]

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