武ニュースDiary


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2009年12月20日(日) 智族GQ12月号��

続きです。


独居者

2007年、北京・門頭溝での「投名状」の撮影は、ちょうど極寒の冬にぶつかった。
彼が現場に着くと、スタッフたちが寒風の中でがたがた震えながら、笑って言った。
「地獄へようこそ。Welcome to hell」
最初は中国語で、2度目は英語で。
一日の撮影が終わるたび、特殊メイク師の劉吉は最新の注意を払って、
この「ひげだらけの賊」から、ひげを1つ1つ外していくのだが、
金城武はあまりに時間がかかるのが辛くて、
テープをつかむと、えいっと一度に取ってしまった。

一度に数千人が登場するあるシーンで、副監督は軍隊をまるごと動員し、
近景で撮る殺戮シーンを指揮した。
金城武は短刀で将軍を倒し、その首(作り物の)を手で掲げる。
血が一滴一滴と首からしたたる。
彼は高みへ駆け昇り、「ウォーー」と叫ぶのである。
首が体から切り離されたばかりらしく見せるため、劉吉は斜面に身をひそめ、
カットがかかるたびに急いで駆け上がって、その頭の中に「血」を注ぎ込んだ。
金城武はその首の持ち主の将軍役の俳優が自分の隣に立っているのを見て、
怖じ気づきながらも面白がって興奮している。
まるで大きな子どものようだった。

化粧室では、水の入った紙コップが灰皿代わりになっていた。
彼はポケットから小さい携帯用の金属の灰皿を出すと、苦労して蓋を開け、
吸殻を突っ込んだ。
俳優・金城武は、昔のことはあまり覚えていないが、
初めて出たドラマのことはいつまでも記憶に新しい。
「草地状元」というタイトルで、撮影は台湾南部の田舎で行なわれた。
四、五十人乗りの大型バスに乗って3時間半、その間はずっと寝ていた。
真夜中に現場に着くと、監督が言った。「なぜ来たんだ、出番はないよ」
出番がない? しかしもう帰るバスがない。
二、三十元払って軽食を食べ、夕飯とし、夜は一人っきりで恐れおののきながら、
四方が全面、鏡のホテルの部屋で眠りについた。

その後も何度も行っては何度も戻った。
やっときた出番は1カット、台詞は「そんなことない」。
30数回繰り返し、監督は何度も台本を投げ捨てた。「まじめにやれ」
金城武は言った。
「そんなことありません」「そんなことないです、すごくまじめにやっています」
「ぼくの台詞も『そんなことない』だったので、
そのときのことはすごく心に残っているんですよ」
彼は情景描写が上手で、手足の動作まで加えて、一生懸命きちんと説明しようとするが、
それはまた、ただ独り言を言っているだけのようでもある。

チャン・イーモウ、チェン・カイコーと一緒に78年、電影学院を卒業した録音技師の陶経は、
金城武の、数少ない大陸映画界の親友だ。
金城武は「LOVERS」のスタッフたちと同様に、彼を陶爺(じい)と呼び、
陶経は金城武を小金(シャオジン)先生と呼ぶ。
この映画の撮影から1、2年は、金城武は北京に行くことがあると、
必ず陶爺に連絡を取り、一緒に食事をした。
ただ1つの彼の頼みは、「今日はちゃんとした格好をしていないから、
来る人たちに写真を撮らないように言ってくれますか」ということだった。
互いによく知り合った後は、食卓で話題を提供し、みんなを楽しませようとした。

「彼は本当に子どもっぽくて、ずっとはにかみ屋だし、うまく世渡りすることが苦手なんです。
それに受け身なんです。撮影の後、みんなで食事をするたびに、やってきても、
どの席に座ったらいいのかいつまでもわからずにいる。
そのとき、もし、小金先生、こっちにおいで、と言ってやれば、彼は大喜びでやってきて、
すごい心配事を代わりに解決してもらったとでもいうかのようですよ。
一度彼と近しくなれば、大勢の人の中であなたを見かけると必ず自然に近寄ってくる。
どんどん親しくなっていきます」

ウクライナでの撮影の合間に、陶経は100回以上ある韓国ドラマを2つも見てしまった。
金城武はといえば、日本から持ち込んだ各種様々な電機器具を据え付けた
自分の部屋に戻りたがった。
「自分自身とのつきあい方を知らない人がほとんどですが、彼は上手に1人で過ごせる。
もし、わくわくさせてくれるような相手が誰もいないなら、
彼にとっては、1人でいる方が、無理に付き合いをするより気楽なんです。
彼は1人のときにどうすればいいかを知っているし、
どうすれば自分が快適になれるかも知っている」

家では、この「オタク」はほとんどの時間をゲームをして過ごす。
「オタク」は東京では自分たちの特殊な集まりを開いており、
仲間の誰かの家に集まって、それぞれ持ってきた自分のノートパソコンで、
ネットをつなぎ、めいめいがモニターに向かって一緒にオンラインゲームをするのである。

彼は自分のイメージを使ったゲームが好きで、例えば「鬼武者」がそうだ。
「愉快だし、光栄ですよ。ワア、自分の顔がそこにある、それにすごく面白いし、
自分で武器を扱うわけではなく、他の人がやってくれる。最高だと思います」

テレビはいつも見るわけではないが、いったんつけると、ずっと見てしまう。
そして見るもの何にでも、強烈に興味をそそられるのである。
「どこかのレストランを紹介していれば、そこに行ってしまいますね。
そしてオーナーと仲良くなろうともする。
台湾のショッピング番組のテレビ局にチャンネルを替えたら、
このホウキはどうしてそんなに素晴らしいのかとか、
この洗濯機は本当にそんなにすごいのかとか」
セールスレディが「今お買い上げの方には、すぐお届けできます」と言おうものなら、
すぐ買いたくてしかたなくなる。
1年後になって、テレビでは相変わらず「今お買い上げの方には、すぐお届け」と
言っていることに気づくのだ。  (続く)


うーん、つけひげは「赤壁」のときで、「投名状」は自前だから楽だと
本人が言っていた、という記事があったような気がするが……?



 BBS   ネタバレDiary   22:20


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