武ニュースDiary


* このサイトはリンクフリーです。ご連絡はいりません。(下さっても結構です。^_^)
* 引用は、引用であるとわかる書き方なら、必ずしも引用元(ココ)を表示しなくても構いません。
* 携帯からのアドレスは、http://www.enpitu.ne.jp/m/v?id=23473 です。
* 下の検索窓(目次ページにもあり)からキーワードでDiaryの全記事が検索できます。
* バナーは世己さんから頂きました。
* Se inter ni estus samideanoj, kontaktu al mi. Mi elkore atendas vin, antauxdankon!


目次|前の記事|新しい日記


2010年03月04日(木) GQ取材記��

長い後半の翻訳にとりかかる手が止まるようなできごとが!
筆者の方莉さんがこの翻訳を見て、ブログに記事を書いているのだが、
なんと、方莉さんは日本語がとっても上手な人だったのだ!
いくらほめてくれたとはいえ、緊張して筆が止まってしまいました。
でも、メールで話もさせていただき、もう一度気合いを入れて再開です。



イメージ

「LOVERS」の録音技師である陶爺(陶おじさん)が初めて金城武に会ったのは、
ウクライナでのことだった。
「彼は入ってきて戸口に立っていた。長い髪が肩にはらりとかかり、
米軍の軍服のような服を着ていた。
そこにいた若い女性たちの胸はばくばくして舞い上がったと思うよ――
彼の姿は人の心を揺さぶるんだ。確かに――びっくりするほどかっこいい」
陶爺は回想する。
「今まで見た中で、唯一、アニメからそのまま飛び出してきたようなスターだよ」
「生身の人間じゃないみたいなんだよ。独特の神秘的な雰囲気があってね」
そのとき、陶爺が自分の印象を金城武に直接話すと、金城武は声を出して笑ったという。

「映画は、まず姿が必要だ。それは天からさずかるものだ。
次に物語のレベルが高くなくちゃいけない」と陶爺は言う。
「金城武のような“どう撮ってもハンサムな”男優は今は少ないね」

「ぼくの外見がいいって言ってるの? ぼくに騙されてるだけだよ」
金城武はまじめくさって言う。
「姿の善し悪しはね、たぶんこういう仕事だから、目立つので、強調される機会が多いんですよ」

「イメージがいい」と「演技がうまい」と、どちらを評価をされるほうがいいかと尋ねると、彼は即答した。
「どちらも誉めているんでしょう、どっちもうれしい」
すぐに一瞬考えて、
「肩書きは人が決めるもので、姿がいいと言われようが演技がいいと言われようが、
いい評価でありさえすれば、この業界で、より多くのチャンスを得る大きな助けになります。
扉を開く鍵のように」

16歳でデビューするとすぐ芸能事務所と契約した。
まだ幼い高校生の人生は完全に一変した。
ちょうど新生児の誕生のごとく、芸能人としての人生がゼロから始まった。
その母親はすなわち、スター養成に長けた芸能事務所である――
彼女は彼の名前を、中国人が受け入れやすい「金」姓に巧みにスライドさせたのだった。

「彼は自分のイメージを保ち、人々の自分に対する期待を維持しなくちゃならなかったんじゃないかな。
それは昔は彼にプラスに働いた。
事務所も、他の人たちとはある距離を保つように言ったのかもしれない。
いずれにせよ、彼は自分のイメージに非常に気を遣い、
知り合いと食事をするときには、写真を撮らないでほしいと頼んでいたものだ」
陶爺は金城武をそう語った。
「私が思うには、彼は有名になって以後、そのもともとの気質と個性を
基本的には極力もともとのままに保ってきた。現実には、自分を閉ざし始めたんだよ。
彼自身と、その気恥ずかしいと感じる気持ちは関わりがあり、本人もそれがきらいではないのだ。
月日とともに、1つの公式となり、彼が演じる世間に対する決まったイメージとなったんだ」

この気恥ずかしさは、あるいは己を知る聡明さからも来ているのかもしれない。
陶爺のことを話すとき、金城武はそわそわしながら尊敬の念をもらす。
あたかも何か神のシンボルのことを語るかのように。
彼は以前、自分の出た映画「ターンレフト、ターンライト」を陶爺に見せ、意見を求めたことがある。
「自分の映画はめったに見ないですね。
見るときでも、映画全体の撮影のスピードとか角度とか、そういう他のものを見てしまう……
やっぱり恥ずかしいです、映画の中の自分を見るのは」
彼は言うのである。

インタビューの間、彼は何度も自分は演劇学校出身でないと口にした。
演劇学校出身の俳優と共演するときは、プレッシャーを感じてしまう。
「あの人たちの演技は真に迫っていて、『投名状』と『赤壁』の撮影では、
中国の有名な俳優が大勢出演していて、話や話しぶりだけで、もう違う。
あの声の大きさなんか全然違うので、物怖じしていない、
自信を持ってそこにいるなあと感じて、本当に大きな刺激になりましたね。
ぼくらの話し方が全然力がないように聞こえてしまう」
金城武はばつが悪そうに、傍らのマネジャーをちらりと見る。

「彼の心には、飛躍が必要になっているんだろう」と陶爺は話す。
「私は彼に、もう少しリラックスするようにと言うんだ。
年とともに、もっと力を抜きなさい、そんなに自分を閉ざすなとね。
彼のやる役は受動的なものが多い。それは彼が綺麗だからだよ。
だから人を叩く場面があったとしても、普通は女に先に襲われてとか、
何か事情でやむを得ずという場合だ。
主体的に打って出る役に挑戦することを覚えなくちゃいけないと思うよ。
スターとして、彼は前途洋々だと思うね」

Lico 役者として、何かめざす目標がありますか?

金城武 ぼくは、最終目標なんか持たないで、今の一時一時を
楽しめるようになるのでいいのじゃないかなと思ってしまうんですよね。
今、この映画に出るチャンスがあるのだから、その映画の中身を、
あるいはそこでの人との出会いを十分に楽しめると思うんです。

Lico あなたは、俳優の身分から一歩踏み出す考えはありませんか?

金城武 もちろん役者をちゃんとやりたいと思います、だって好きだから。
他のことをやってみたくないかと聞かれれば、ないわけじゃないけど、
まだ自分にはできないと思う。
まだskillsが足りない。技術がそこまで行っていません。
波があって、20歳のときは監督になりたいと思ってました。
でも、当時のぼくは、「すげえやつ」になりたかっただけで、
20歳のときの「監督になる」というのは観念にすぎなかった。
30歳を越えて、ずっと映画をやってきて、チャン・イーモウに出会い、ピーター・チャンに出会い、
ジョン・ウーに出会い、どんどん規模が大きくなって、わあ! 数千人も、となったら、
監督なんかやりたくない、こんな大変だなんて、と考えるようになりましたよ。

映像を創り出すことはとても面白いと思う。で、役者としてそれをするチャンスがある。
まず、自分の役をあれこれ解釈する楽しさがあるし、
第二に、映画作りの環境に飛び込んで、自分が見てみたかったこと、
つまり、どうやって照明をするのか、どんなレンズを使うのか、
どんなスピードで撮るのかという技術的なことと、
同時に本当にいろいろな役者達の演技法を見ることもできる。
ぼくは演劇学校出身ではなく、ただ、他の人がやっていることを見て経験から学んだだけ。
たくさん見ることは吸収することで、そこから学ぶことができます。
ぼくにそれ以外のことができるかどうか、自分自身わからない。
だけど、自分にあるもの、それは役者であるということなんです。
だから、あのとき歌を歌うことはやめたんです」

金城武はテーブルの角の位置に腰掛けている。
左手には銀色の指輪が2つ、薬指と中指に。
右手の1つは中指にはめてあった。
指輪には簡単な筋が刻まれ、純銀の光沢を放っているが、落ち着いた光だ。
左腕に淡いコハク色の数珠をはめている。
「なんという石か知らない。会社の人たちはみんなしているんです。
みんながしてるからしてるだけ」

「この指輪は先生が送ってくれたものでもあるんです。幸運を呼ぶんですよ」と彼は言った。
「信じます?」私は聞く。
「こういうことは信じたほうがいいですよ」
と指輪をはずした。私が見せてほしいと言ったのだ――
彼は手で弄び、巧みに時間を引き延ばし、結局手渡してはくれなかった。
彼は右手から抜き取った指輪を左手の指にはめ、左右の手の指輪を眺めて冗談を言った。
「最近どうって聞かれたら、婚約したよと答えるんだ。3人のどれにするか考え中だとね」

「これはアメリカのスーパーで買ったんです」
金城武はうつむいて、着ているTシャツを見た――胸には6つの小さなポケットが並んでいる。
どれにも銀色の金属をはめこんだおおいがついている。
私はプライベートのときの服装について質問を重ねたが、彼は全然重要視していなかった。
「いつもおしゃれにしているわけじゃないです。
まず着心地がよくて簡単で、それから安いもの。
でも、自分で分かったんですけど、たいていの場合買って帰ってからこう思ってるんですよ、
『これはひどい。どうしてこんな服を買っちゃったんだろう』って。
そんな風に思うことってないですか? ぼくは街を見て歩くことははあまりしないから、
買うときはいつも思い付き。足がだるくなってしまう」

「女の子と街に遊びに行く時は、あまり忍耐力がないほうですか?」
私が聞くと、
「まず、行きませんね」と金城武は言った。

金城武の話す声には深い溜息が交じっており、日本語の影響をうっすらと感じさせる。
声は低く、発音ははっきり、正確だ。
思っていた通り、端正な顔だち、深い瞳、息苦しく感じさせるほどの男前の人だった。
浅黒い肌は健康で穏やかな輝きをたたえている。
言葉やアイデンティティの問題をしばしば口にしたが、
熱心なようにも、うんざりしているようにも見えた。
そういった意地悪で抽象的な問題に直面すると、
彼は突然、ごめんなさいと言い、一種、うきうきしたような、
かつ哀願するような声で尋ねるのだ。
「あなたがぼくなら、どう思います?」
彼は情景描写が巧みで、声もよく、情緒もたっぷり。
手足の動作まで加え、きちんと説明しようと一所懸命な子どものようだ。  (続く)


 BBS   ネタバレDiary  0:30


前の記事|あさかぜ |MAIL

My追加