憧れていたその背中に、一度だけ触れた。 触れることが許される、そんな関係に辿り着いた。
ゆっくりゆっくり。
足元を確認しながら、 貴方の表情を確認しながら、 自分の気持ちを確認しながら。
ゆっくりゆっくり、仲良くなっていった。
普通に話せるようになったのはつい最近。 まだ、下の名前では呼べない。
でも、一緒に笑い合う中で、触れることが許される。 冗談を言いながら背中を叩くことを許される。 そんな関係にまでなれた。 よく考えれば、すごいことじゃないか。
憧れていた。 温かい空気に憧れていた。 温かい空気の向こう側にぼんやりと見えるものを、この目に映したいと思った。
今、ほんの少しだけど、見えるようになってきている。 見せてくれるようになってきている。 憧れていた人が、出逢った頃よりも近い存在になっている。
だから、怖いんです。
夢を描いているだけだったら、傷つかない。 憧れているだけだったら、この想いを大事に出来る。 『受け入れてもらえない』と、泣く必要もない。
現実は、怖い。
でも、貴方が貴方でいる限り、私は貴方を想ってしまう。 伝えないままこの胸にしまいこんだままだったら、きっとずっと想ってしまう。
想いは、相手に伝えてこそ、初めて現実になる。 初めて、私の自信になる。
今はまだ伝えられる想いではないけど、 今の私には、貴方へ以上に想える人はいないようです。 悩むのも、不安になるのも、切なくなるのも、貴方を想うからなのです。
ゆっくりゆっくり進んできた。 この想いを捨てたくはない。 今の私には、大切な大切な、温かい想いなのです。
焦る必要はない。 私は私。 それでいいじゃないか。
|