絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


ドローイングと微熱         2002年02月14日(木)

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火曜日。
夜中、咳が出てなかなか眠れない。

水曜日。
チビが39.4度の熱を出し、急いで小児科へ連れていく。わたしは呼吸科のある病院に行こうと思ってたんだけれどあさって以降に後回し。

木曜日、出勤日。
今日はドローイングのおケイコ。
みんな思ったよりずっとずっと面白そうに生き生きと描いていたので、少々あてられた。熱出そう。

一番最初にタブローよりドローイングの方が向いているなとそれを勧めた感性の彼女は、予想以上にすばらしい。何より楽しんでいる。どんどんどんどん意欲的になっていて、興奮がびしばし伝わってくる。
これは是非50枚は描いて欲しい、と思う。

もうひとりの彼女は、なにやら辛そう。
そしてわたしも辛い。
なにしろ隣に感性でばりばり描く人がいるからなぁ。
思いや形を貯めてじっくり派のわたしともう一人の彼女はそりゃやりずらいだろ。あてられちゃう。なんて刺激的な。
わたしは何が描きたいのか自分でも狙いが定まらない状態だから、みんながいなくなってから落ち着いて描きたいものを捜していた。

そうしてまた、懐かしい感覚が甦る。
この微熱状態、結構いいね。懐かしい。咳で肺がゼロゼロ言う感じが分かる。そんなのもまた。
懐かしいなんて可笑しいかな。

この懐かしさ、昔のわたしが喫茶店で、イチイチ書き綴っていた思いだ。
思いのほか鮮やかに現れ、わたしを魅了する。

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描きたいのが定まってきた。
わたしが描きたいのはやっぱ人物か。
抽象でもなく、植物でもなく、顔でもなく、人型のシルエット。背景の群舞。あぁ、いいね、いいね。

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神はわたしに死ねとおっしゃる。
トイレに行く時そんな気持になって、劇的に盛り上がる。
死にゃぁしないんだけれどさ。熱に浮かされている。
50枚の荒行を、わたしもやってみようと頑張ったが、今日は10枚しかできなかったよ。

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基調色はテールベルト。この色が好き。
バーントアンバーは嫌いだ。茶が濃すぎるもの。
何故か教室内に置いていた顔料に、茶色はバーントアンバーしかなかった。急いでバーントシェナ(赤口)を買って満足する。

白は袋で買う。小瓶、すぐになくなっちまうからなぁ。

よっぽどアクリル絵の具も買おうかと思ったけれど、またしても思いとどまる。油絵の下絵もドローイングもスケッチも、テンペラ絵の具で充分だ。

愛してるよね、この絵の具。

昔は一向に使いこなせなくて手間ばかりかかって苦痛だったけれど、今はこんなに便利な絵の具はないと思っている。

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一週間も待って手に入れたエスキース帳は、思ったより使い辛い。以前のようにクラフト紙を切って使おうと、これも購入。1枚40円。四六判。

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最近わたしがキャンバスにトライして描き棄てたもの。な?んだ、ドローイング、紙にやればいいんじゃん。どうして気がつかなかったのだろう?今まで。
そうすればもっとたくさん描き飛ばしていける。

描きたいものを固めていく。その作業にいつも色つき紙にドローイングしていた。忘れていたよ。
考えが固くなっていた。楽しみも忘れていた。
最近のわたしは、過去の足跡をたどって、なぜこの道を選んで通ったのか、ひとつひとつ確かめているようだよ。

そして数々の懐かしい感覚。
咳をしても。微熱とともに。
きっと何にも代え難く大切なものなんだろうな。

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今日は久々にホルスト・ヤンセンの画集を見た。
みんなにも見せたら、割と評判が良かった。
美しく鋭く、不安定にゆらぎながらやわらかく存在感のあるライン。
20世紀でもっとも美しい線だと思う。

by HPY


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