ライン。線。ジェッソ。好きの結論。 2002年04月04日(木)
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へこへこに疲れたな。今日。
何が好きか?なんて考えていたら、絶対的に愛しているものはなかった。
強いて言えば、昔も今も、場末の喫茶店で孤独に身をゆだね、煙草をくゆらせながらスケッチするのが好きかな。
なんとなく物哀しい、たまらない気分も。ちょっと胃が痛いのも。
そんな事が懐かしく好き。
あとはライン。線。
うん、線が好き。何よりも好き。
色なんていらなかった。最初は。モノクロ。ペン画。ライン。線。それだけで充分だった。今は色を持っている。じゃあ、絵の具で何がしたいのか。
線が描きたい。絵の具の色の上に線が。
線は何で描けば良いのか。
インクは下塗りに向かない。下描きに使う鉛筆は硬すぎる。
絵の具のラインは濃度が難しい。
黒色はなんとなく黒すぎる。
茶色に赤味や緑味を混ぜて描くも、複雑だと音を上げてしまう。ルドンの模写をしている生徒さんがいて、彼女は最初さほど意にそぐわないようだった。特に愛着もなく、薦められるがままにその絵を模していく。
今日ぽつりと。
よくよく見ると、いい絵だねぇ……って。
なんか目から鱗。
愛しているものなんて知らない。全面的に愛しているものなんて無い。
愛しているものには必ずどこかに憎悪が宿っている。
それが場所や人、モノであっても。
あぁ、それでいいんじゃないかな。惚れるより慣れろっつーか、嫌々ながらも離れられない、そんな愛もあるんだろうな。
それがわたしと絵、わたしと活字。
珈琲や煙草、自由に見えて怠惰な時間、街、人並み、駅、バイク、ネオン……。
何を描いてもいいんじゃないかな。
切り取るような、現実の風景を切り取るような絵を描いてもいいんじゃないかな。
前回の個展では、びっくりしたような、ボディブローのような、他人の目や意見を忘れられずに、悪夢のようにひきづっていたりしたけれど、この辺で振り切ってもいいんじゃないかな。
飛行機に乗れなくてもいい。
それでも自分の絵が大事に思えるのなら、それでいいんじゃないかな。
そんなことを思えるようになったよ。石膏地を捨てるかもしれない。古典技法を捨てるかもしれない。混合技法は捨てるかもしれない。テンペラは捨てなくてもいい。これは使いやすい簡便な絵の具だから。
今日、初めて試したクサカベジェッソ。油絵・テンペラ用。何年か前に新製品としてサンプルをもらった。今頃使ってみる。
従来のジェッソに比べて、キメが細かく滑らかだ。
えっ??と思うほど滑らかで。
一層塗りだとワトソンの目がはっきり出て、ジェッソを塗ったことを忘れてしまうほど。
石膏地作るのに費やした時間、凝るのもいいけれどそんな余裕がない。
はじけて飛んでいってしまう画像をつなぎ止めるため、既製品を応用するのもいいんじゃないかな。
……と思わせるほど、クサカベジェッソ(軟練)ぴたっと来たよ。
by HPY
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