絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


好きなもの         2002年04月03日(水)

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始動したいんだけれど、なかなか手が動かない。

気持ち的には盛り上がっているのだが、手が動かないんじゃ話にならない。


好きなもの考。
絵のテーマはいつもしっくりこなかったような気がする。
わたしは何が好きなの?描きたいものを自由に描けと言われたら、何を描くの?
好きなものを描くのが一番描きやすいし、描いてて楽しいはず。
だったら好きなものって、一体何なの。


自分の好きなものを考えるだけなのに、迷路に入ってしまうなんてね。


昔は……。人だった。動きを見るのが好き。
歴史と音楽は人に通ずる。
友人関係をはぐくむのは苦手だけれど。


植物。建物。光。
日々変化していくのは感動的だし美しいと思うけれど。どの程度好きなのかな。どの程度身近なのかな。もしかして愛してはいないんじゃないかな。利用したいだけなんじゃないかな。ちょっと屈折しているかも。


創造あるいは妄想。
これはあんまり好きじゃない。自分の夢も他人の悪夢も好きじゃない。
特に団体展にある他人の妄想には吐き気がする。

同じ吐き気でも、ホルスト・ヤンセンやオットー・ディックスならいくらでも吐かせて頂きます、つー感じだけれど。(^^;


単純に好き!つーもの、なかったなぁ。
絵を描くテーマ、好きなものを描こうと思ったら袋小路。

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ネイティブアメリカン。
迫害され、同化を迫られる。そこで辛うじて伝える独自の文化。
ワンピ風に言うならば、
「(死ぬくらいなら)簡単だろう!?文化を捨てるなんて!!」

そういえば、神戸の震災の時にも同じ様なことを思った。
「他の土地に移り住めばいいのでは」

わたしにとっては、土地とはその程度の価値しかなくて。

故郷を愛する人にとって、故郷がどういう意味を持つか、最近やっていたテレビ番組で少し垣間見た。下町のほとんどの住民がその土地を出た、その元住民達を追ったインタビュー番組。

天安門事件で国を出た中国人の作家を、NewsWeekの記者が危惧していた。
「言葉の通じない外国で、彼は作家としてのアイデンティティを保つことができるだろうか?愛する祖国を出て、彼は書くテーマを見つけられるのだろうか?中国語で書くのか?英語で書くのか?中国語で考えるのか?英語で考えるのか?彼の作家生命は終わりだろう」という感じだったと思う。

アイデンティティ?
それがどれほど大事だかは、その頃は知る由もなく。

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昨日の「知ってるつもり」は面白かったな。
カエサル(シーザー)の話。最近古代史に興味がある。あんまり詳しくないんだけれど、独裁者で悪いヤツなのかと思った。そりゃネロか。


貴族出身でもなく、庶民の出。古代民主政治の実現を目指し、戦争も連戦連勝。
ガリア人(フランス辺り)を征服するも、自治はガリア人に任せ、宗教も言葉も祭りもそのまま。法律や新しい技術や文化を持ち込んだけれど、民族を根本から変えようとはしない。同化政策はしない。


同化政策ってムリあるものね。早期反乱は間違いない。
そもそもどうして強国はすぐに同化政策をとりたがるのか。(アメリカもそんな感じに見える)
いや、どうして彼は同化政策を進めなかったのか。そっちの方が気になった。
言葉?いっしょじゃないと困るでしょ。困るときは強い方に合わせるのが普通。
自治?支配するなら中央からローマ人持ってきた方が支配らしい。


その番組はシーザーを美化しすぎのような気すらしてきた。
特権階級の元老院(いかにも悪役っぽい)を、ローマ市民が投票で退けたりするしさ。


シーザーの顔が入った古代のコインに、彼の考えが刻まれていて、その言葉は「寛容」。他人の考えを認めよ、という事。
それは、「自分が自由にした元反逆者が、その後自分への刺客になるとしても、わたしは彼を自由にする」「その人には自分とは違う考えがある。それをわたしは認める」という事。晩年の言葉。なんかすげぇ人。


なんかすげぇ人。(@▽@;


ちなみに「賽は投げられた」もこの人の言葉。
今度本を探してみようかな。


塩野七生がゲストで出ていたけれど、はぁ、あんな顔だったのか。
いや、顔よりもしゃべり方が……。ちょっと違和感〜〜(^^)。



by HPY


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