絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


後ろを向くな、前を向くな         2002年04月25日(木)

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いやぁ〜〜、ばてましたわ。(^^;

火曜日ですが、友人のグループ展に行かねばと準備していたら、チビが寝坊の上、どうしても保育園に行きたくないと言うので、ついでに連れていきました。
約束は「疲れた」「飽きた」「いやだ」と言わない。

まず上野にGO!
プラド美術館展、国画会展を見ました。
プラドを見終わった時点で、チビは飽き気味。

感想は……。やっぱり現地で見た方が面白いですね。
ベラスケスのラス・メニーナス見たい。
あれは不思議な絵です。誰かが『ヨーロッパ史上ベスト3に入る一点』とのたまっていましたが、認めます。画集で見る限りでは分かりませんが。


現地で見ると、土着さが分かると面白いんですよね。
ドイツのグリューネバルドの磔図はやはり教会にあってこそ。
フラアンジェリコも修道院にあってこそ。
ファン・アイクの神秘の子羊しかり。
フランス絵画も、山ほどあってその中からセザンヌやマネが出てきたんだなぁ。最初はヘタだしサロンに嫌われてたんだな……って。

プラド美術館の近くには、やっぱりピカソのゲルニカの美術館があって欲しいですね。

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前回、時間切れで追い出されたので常設展の版画を是非じっくり見たかったのですが、今回もなんかいそいそと駆け足で。
やっぱ昔のテンペラはいいですねぇ〜〜。
19世紀に入ると、いきなり色とりどりの明るい絵になりますが、やっぱ14〜16世紀くらいの絵に惹かれます。

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国画展は友人が初入選したので。
団体展はたいてい疲れますが、国画は結構好きです。チビは同じく飽きていたようですが、いっちょ前に「この絵はいい絵だね」とかゆってます。

参考になる絵は写真を撮りました。
以前は描いていたんだけれどね。

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友人のグループ展は西荻窪のマンションの1階にある画廊で。
思ったより小さいところで、友達のうちに遊びに行ったような気分でした。
チビもすっかりくつろいで、お菓子をもらったり、漫画を読んだりしてました。
帰りの電車では爆睡。お昼寝もなしだったからね。

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次の日は最低最悪。
体が動かない。頭がいてー。思考能力ゼロ。
絵を描く気力も文字を書く気力も、パソコンに向かう気力も何もなし。
ほとんどぼーっとしてました。情けない。

でもチビは、保育園で元気に遊び、夕方以降もはしゃぎまわり大人と一緒に夜更かし。あぁ、子供は一晩寝れば回復するのね。

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洋なし(ペン)
木曜日はお休みの人が多かったので、割と暇で。
珍しくテンペラを持っていかずに、ペンと鉛筆だけで絵を描いている。

テンペラ下地の上にインクで影付けし、ハッチング。
モチーフは同じく洋なし。
でも……。白は失敗だったかも。
技法的にも、テンペラの上にアクリル絵の具はまずいかなと思う。
でもインクの上の油層もまずいし。
まぁ、実験だったので進めましたが、一番まずかったのは、描きすぎた黒の上に、白でハッチングしたことかな。

なんか甘いしもたるんですよね。

ペン画はなおせない。だから描きすぎに注意している。
注意しているうちが花なのかも。
白で消せると簡単に考えていると、ますます安直に墨をのせ、鋭い感じがなくなってしまう。
ペンだと確かに、木炭やコンテデッサンと違って空間は浅い。

でも、3次元的な形を得るために、ペンの鋭さをなくすのなら、浅い方がましだな、と思いました。

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硬いなら、硬いで通してもいい。
欠点をなくすために長所がつぶれては何もならない……。
「線が硬い」と批評したら、途端に描けなくなってしまった生徒さんに、今日はそんなことを言ったような気がします。

それはあなたに言ったのか、自分に言ったのか。
前回個展でいろいろ言われたけれど、それが効いているなんて、わたしはみんなに好かれようとしていたのか?いろんな意見を受け入れ、それにそんなにも応えたいのか?

全ての人に好かれることはできない。
全ての人に好かれることはできない。

全ての人に好かれる必要はない。

人の展覧会や出世話を聞いて、途方もなく羨ましく焦るとき。
前を向くな、後ろを向くな、紡がれる言葉は諸刃の剣、
静かな泉、感性を信じるしかない、と。

そんなことを思いました。道を歩きながら。


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◆参考リンク
アート・オブ・ドリアン
ディエゴ・ベラスケス Velazquez, Diego (1599-1660)
 ┗ラス・メニーナス(女官たち) Las Meninas

by HPY


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