日常些細事
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| 2004年01月05日(月) |
おみくじを待つ人(初詣�供� |
初詣といったらおみくじである。 境内には大勢の参拝客を当てこんだ臨時のおみくじスタンドが数箇所設けられていて、いかにも高校生のアルバイトといった感じの若い巫女さんがお客を捌いている。どのスタンドもおみくじを求める人が列をなしていた。 そのうちのひとつに私も並ぶ。 並んでいる人の表情は様々だ。 私の5人前にいた初老の男性は家から一杯ひっかけてやって来たらしく、赤い顔をしてご機嫌である。家族らしい、少し離れて立っている4人連れの男女(奥さんと娘と長男夫婦といったところか)に大声で話し掛け、ひとりで笑っている。 4人の方はこのお父さんを連れてきたことを少々後悔しているようで、話し掛けられても他人の振りをしてそっぽを向いていた。 対照的だったのは私のすぐ前にいた男性。年は40代半ばぐらいか。使い込んだグレーのコートのポケットに両手を入れ、首をすくめるようにして立っている。時々大きな溜め息をつく。いかにも 『生活に疲れました』 といった後姿である。 行列はなかなか進まない。 すこしいらいらしてきたころ、ようやく赤ら顔のお父さんのところまで順番がまわってきた。 ここのおみくじは、直径20センチほどある8角形の箱をしゃかしゃかと揺することから始まる。箱の中には番号のついた木の棒が入っていて、揺すると箱に開けられた小さな穴から棒が1本出てくる。その棒に書かれた番号のおみくじを巫女さんが渡してくれるという仕組みだ。1回100円。 赤ら顔のお父さん、酔った勢いで猛烈に箱を揺さぶっている。その時間が結構長い。周りを笑わそうとしているのか、おみくじの箱をカクテルシェーカーのように振ったりもする。 お父さんの家族はいつのまにか居なくなっていた。 おいおい。早くしろよな。 うんざりして私がそう思った時、 前に立っているグレーのコートの男が、小さく唸るように、 「はよせいやー(早くしろよ、の岡山弁)」 と言うのが聞こえた。 その声は、まるで地の底からふつふつと湧き出る熱い溶岩みたいに怒気を含んでいた。 男の前に並んでいる善良そうな老夫婦がぎょっとしたように振り返ると、また慌てて前を向いた。 ふたりの背中がありありと緊張している。 おとーさーん。早くおみくじ引いてくれ。 にわかに緊迫してきた行列の先頭で、しかし相変わらず赤ら顔のお父さんはうれしそうに箱をしゃかしゃかさせているのだった。
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