- 2009年07月28日(火) 高速船
函館から青森へ。 青函航路を1時間45分で航行する船がいた。
その名もナッチャン。 ウォータージェット推進の大型フェリーだ。 登場して脚光を浴びたが燃料費高騰であっという間に姿を消した幻の航路。 それが夏だけ復活中と聞いて早速乗船しに行ってみた。
ガラス張りのターミナルから飛行機に乗り込むようなタラップを経て船内へ。 立派なロビーや十分にくつろげるシート。 明るい船内に圧倒されながら出港時間を待つ。
船体は軽量化のためアルミ製で、ところどころに無垢の素材が見えていたりする。 それがなんとも言えず格好よくて、見とれてしまう。
煙突から少し黒い煙を吐いたあと、定刻に出港。 スローで走った湾内を抜けると気持ちいい位に加速していく。 窓から見える海の景色が流れていて、普段ではありえない感覚だった。 津軽海峡を35ノットで横切る。 青函連絡船の時代には考えられなかったスピードだね。
9000kw×4台。 船体のサイズに比べれば不釣合いなくらい大きなエンジンが船底で一生懸命回る。 心地よい小刻みな振動と、はるか彼方まで続く太い航跡。 とにかく記憶の中に刻んでおこう、と思った。
燃料の消費は半端じゃない。 2時間ちょっとで軽油10トンが燃えてしまう計算で、素人勘定でも維持が大変なことは理解できる。
もし、青函トンネルがなくて昔と同じように連絡船の時代なら。 もし、北海道行きの飛行機の運賃が高価であったら。 もし、…。
船は陸奥湾に入ると減速し、定刻で青森港へ。 ちなみに帰りは在来型のフェリーにしたけど時間はかかるし退屈だし。 旅行で乗るなら倍の値段を出してでもアルミの高速船に乗るべきだと思った。
日本のどこかで、いつまでも就航していればいいのに…。 あれからずっと、ナッチャンに恋をしている。
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