小泉政権発足から丸1ヶ月、今のところ私の評価では、プラス項目は先のハンセン病控訴断念の英断、
そして従来の利権構造にメスを入れる改革の方向性にリーダーシップを見せた事、
一方マイナス点は官邸機密費問題に関する塩川財務相のボケかトボケかわからない発言、
そして真紀子外相の独断先行外交と言うところでしょうか。
ことに親米そして親台湾的傾向を見せる小泉首相と、父角栄元首相がらみで反米親中的感情を露わにする
真紀子外相との外交政策を巡る閣内不一致は、国の根幹に関わる問題だけに重要です。
また、小泉首相自身、靖国参拝や集団的自衛権、そして歴史認識問題に関して、彼の見解はひとつの見識、、
彼自身の信念として仮にいいとしても、でもそれで中韓との善隣友好はどう折り合いをつけるつもりでいるのか。
中韓の言い分を全て是として日本が謝罪と賠償を繰り返す土下座外交が良いとは決して思えませんが、
さりとて現実問題として隣国とどう関わっていけば良いのか難しいところです。
ところで、野党マスコミの政権評価はどうか、というと、発足以来の高支持率に持ってきて、
この度のハンセン病控訴断念へのますます世論の賛辞で、いよいよもって苦しい立場に追いこまれているところでしょう。
まあ野党はまだしも、これまでずっと反権力のポーズで売ってきた一部の自称進歩派マスコミは、
そのタテマエからも、また首相のタカ派的性格への警戒感からも、素直に首相のリーダーシップを肯定する気にはなれず、
例えばかのハンセン病裁判控訴断念にしても、「首相の人気取り」と言いた気な本心がありありです。
確かに世論の風頼みの政権としては当然そういう計算がないわけはないでしょう。
でもそれを批判するマスコミにはまた別な思惑があって評価したくないのだからどっこいです。
こう言う態度を見せられると、却って控訴断念したのが残念みたいな気分があるのかとも疑わしくなります。
進歩派の弱点は、常に弱者の味方を装いながら、実は弱者がずっと弱者のままでなければ困る事です。
何故なら彼らのアイデンティティは常にそこ、つまり弱者は正義であり、そして、
その弱者を支持する自分たちもまた常に正しい、ということにしかないからで、
そのためには弱者はずっと弱者である必要があるからです。
こうした欺瞞性が徐々に彼らの信頼性を失わせつつあるような気がします。
正義を最も危うくしているのは実は最も正義を信じる者自身であるのかもしれません。