正確に言うと、王貞治を超えるチャンスを与えられるのか、と言う事です。
西武ライオンズの新外国人選手カプレラが驚異的ペースでホームランを打ちまくり、
このままの勢いなら王さんの持つ55本の年間ホームラン記録の更新は確実と見られます。
しかし、果たしてそうなった時に投手陣から勝負してもらえるのか、今から注目の的です。
と言うのは、過去に日本のプロ野球ではタイトルや記録が絡んだ時の悪質な四球合戦、
特に外国人選手への四球作戦が物議をかもして来ました。
有名なところでは、まず南海の野村克也(現阪神監督)と三冠王を争った阪急のスペンサーへの敬遠攻撃です。
野村と同じ南海の投手陣だけならまだしも、直接タイトル争いと関係のない他チームまでがスペンサーに
露骨な敬遠で打たせまいとし、激怒したスペンサーはバットを逆さまに持って打席に入りましたが、
それでも勝負しようとしませんでした。外国人のスペンサーにはタイトルをとらせまいとして、
日本人である野村に日本球界がこぞって味方したと言われても当然でしょう。球史に残る醜い事件です。
また、件の王さんの記録絡みでは、あの阪神のバースに対する巨人投手陣の態度が問題となりました。
55本にあと1本と迫って迎えた阪神の最終戦が巨人戦、しかも当の王さんが当時監督。
バースを全打席四球で歩かせた巨人投手陣への指示は、王さん本人によるものなのかコーチなのか、
それとも球団フロント、更には球界上層部によるものなのか、いまだに真相ははっきりしません。
個人的には、私にとって子供時代のヒーローであり今でも敬愛する王さんの意向ではなかったと信じたいですが、
しかし非難の的になった事は事実です。
そしていかなる運命の巡り合わせか、今年、カブレラが所属する同一リーグのライバル球団の監督はまたしても王さん。
記録更新がかかった時、ダイエー投手陣は勝負するのか。いや、そもそも西武以外のパ・リーグの他球団は
どういう対応をするのか。バース事件の当時はまだそれほど日本野球がアメリカに注目されてはいませんでしたが、
今や野茂やイチローがメジャー・リーグで活躍する時代。”国産”の記録を守ろうと醜い対応をした日には、
海外から非難される事は請け合いです。もうそういう時代ではないと信じたいものですが、果たしてどうなる事でしょう?
考えてみれば王さんも実は外国人(台湾人)だし、そして最多勝記録、最多安打の金田、張本は在日韓国人、
連続試合出場記録の衣笠は黒人とのハーフ、更に言えば年間最多勝はロシア人のスタルヒン(あと稲尾)、
年間最高打率記録保持者はバースです。国産主義にこだわる割りには純血の日本人はいませんね。皮肉なものです。