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2001年07月12日(木) 人間をダメにする言葉


硬い話題が多いんで、たまには少し違う事も書いてみましょうか。

私は、占いとか予言とかは全く信じない性質です。
でも、そうだとしても、そもそも人間自体がそのような「言葉」から
全く自由に生きられているわけではないと思います。
言葉というものは、どれだけ人間を拘束するものであるか。。。

いきなり話が変わるようですが、
阪神タイガースの野村監督と言うのは、選手を貶したり、悪口しか言いません。
私は阪神球団の体質に構造的問題があり、
たとえ野村に変えて誰を監督にもって来たって
所詮ダメ虎はダメ虎のままだと思っています。
が、それはともかく、ただ野村がいけないのは、
もともと負け犬根性が染みついていて、
自分でも自分をダメだと思っているような選手たちに、
お前はダメだ、としか言わない点です。
野村としては単に「事実」をそのまま述べているだけであり、
だから野村の意図では、それに発奮して成長するようにという、
彼なりの指導法なのかも知れません。事実、ヤクルトではそれでうまく行きました。
でも阪神では、彼が「ダメだ」と事実を言うと、
それは「ダメのままでいろ」或いは「ダメになれ」という暗示や命令になって、
選手を束縛してしまっていることです。
こう言う指導法や教育法は、果たしてベターなんでしょうか。

去年オリンピックの女子マラソンで優勝した高橋尚子選手、
彼女を指導したことで一躍脚光を浴びた監督のことを
ある番組で特集していたのをみました。
彼は、選手をとにかく誉めて、
良い面を十二分に引き出す事を指導法としているようです。
でもこう言う事には否定的反応を示す日本人が多いです。
選手を甘やかすとか、何とか。
野球で言うと、広岡あたりが言いそうなことです。
でもこの話を聞いていて、個人的に切なくなりました。

私事ですが、私は子供の頃、親や教師から、殆ど誉められた事がありません。
欠点や失敗ばかり常に指摘されて、結局ダメだダメだと言われてました。
だから本当にダメになってしまった、、、、と言うと、
なんだか言い訳じみていて嫌ですからあまり言いたくはありません。
実際、ダメな事は確かにダメだったのでしょう。
でもなんであんなにネガティプに言われ通しでいなければならなかったんだろう、
と言う憾みは今でも持っています。

精神分析の創始者・フロイトが言っています。
彼は、子供の頃から親に常に鼓舞され、
それによって自信を与えられてきたそうです。
だからそれが今現在の自分の自信の根源になっている、と。
勿論、過剰な期待を持たれて、それが重荷になって
却ってダメになってしまう人もいるでしょうから、それはケースバイケースです。
ただフロイトは、精神疾患の原因には幼児期のいろいろな出来事が
トラウマになっていることを見出した人です。
ネガティプに言われて続けていると、結局、それが暗示なってしまい、
どんなに頑張っても所詮自分はダメかもしれない、と言う自信のなさに繋がって、
本当にダメになってしまう事も多々あるのではないでしょうか。
ダメだダメだって言っていると、それが暗示的に命令や予言になって、
本当に人をダメにしてしまうかもしれません。


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